>>53のつづき
「内部文書は一瀬社長の言葉として、《私達は、本当に恵まれていると思いませんか》、《お客様のご来店によって支払われるご飲食の代金が皆さんのお給料になるのだと実感できていますか》と
いう問いかけで始まっています。しかし結論として提示したのは、《皆さんのご両親、兄弟、友人にもお店に来られる様に進めて下さい》と身内の来店を呼びかけるものでした。これにツイッターで
は、《従業員の身内にいきなりステーキ(註:原文ママ)を利用してもらうってポケットマネーで自社商品買って売り上げ維持するブラック企業と変わらないのでは》などといった異論が相次いだの
です」(同・記者)
張り紙と内部文書が話題となったことで、埋もれていた過去の事案も“発掘”されてしまった。一瀬社長は昨年7月、「坂上&指原のつぶれない店」(TBS系列・日曜・18:30)に出演したのだが、そ
の時に放送された内容が今になって論議を呼んだのだ。
「『つぶれない店』のテレビ画面をキャプチャした写真と共に、番組内容を紹介するツイートが『ブラック企業』という評価と共に広がっていきました。批判が集まったのが、一瀬社長が出席する朝礼
です。点呼が行われると、出席した社員は番号を叫ばなければなりません。10人でも100人でも点呼は行われます。そして一瀬社長が『声が出るのが遅かった』などと不満を感じると、何度もやり
直しをさせられるんです。TBSが放送した内容が紹介されたツイッターでは、《無意味》、《クソ朝礼》、《刑務所》と散々でした」(同・記者)
次の大戸屋だが、こちらは12月10日、「ガイアの夜明け」(テレビ東京系列・日曜・22:00)で自社の密着ドキュメンタリーが放送されたことが悪評の発端だった。
「どれだけ大戸屋が取材を歓迎していたかは、社のツイッターに《ついに今晩‼ 大戸屋が経済ドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」に登場します》、《あ〜!放送直前の今、とってもドキドキして
います‼ ぜひご覧ください》などと投稿されたことからも明らかです。内容は3人の店長に密着するというもので、残業時間の削減に苦労する様子をリアルに描いていました。ドキュメンタリー番組
としては質の高いものだったと思いますが、SNSでの受け止めは異なりました」(同・記者)
批判が集中したのは、大戸屋ホールディングスの取締役と株式会社大戸屋の代表取締役社長を務める山本匡哉氏(46)が、店長を叱責する場面だった。
「40代以上の会社員からすると、山本社長の叱責に違和感を覚えなかったかもしれません。罵声とか威圧するような雰囲気ではありませんでした。ただし店長に言った『本気になってる? 目が
死んでるんだけど』、『空回りなんだって努力が、このままじゃお店なくなるよ?』、『その時は当然、今まで頑張っていようが店主を降ろすしかないよ』などの注意が威圧的と受け止められたようで
す。ツイッターでは『残業時間の削減は全社的な取組であるはずなのに、山本社長は現場の店長だけに責任を押し付けている』と批判が集中しました」(同・記者)
専門家不在が露呈
ここで改めて、大戸屋に対して批判的なツイートを、いくつかご紹介しよう。
《経営者の人は現場で試行錯誤する店長さんに文句を言うだけでしたね、各店舗の店長さん達が可哀想でサービスを要求する気分になれないので、大戸屋に行く事は今後数年に渡って無いで
す》
《「このままじゃ店つぶれるよ」店主に放ったその言葉、社長にそのまま返されそうだ》
《社長が、調理時間の効率化や調理の並行作業の指示で1時間短縮とかマジ無能。人はロボットじゃないんだが。会社がお店に金かけないから現場は困ってる》
《大戸屋…ブラック企業過ぎる。というか、飲食店はこれが普通なのか?だとしたら、益々飲食店で働く若者は減ると思う。残業に対する感覚が麻痺しているし、社長もおかしい》
もちろん、批判一色というわけではない。《ブラック企業のようには思いませんでした》、《あれでブラックって叩かれるんだなぁ》、《言うほどブラックに感じなかったのは感覚がマヒしているのかし
ら》と大戸屋の姿勢に理解を示す投稿も少なくなかった。
だが最終的に、大戸屋は公式ツイッターで謝罪に近いニュアンスのツイートを投稿する。批判を無視することができなかったのだろう。
《「ガイアの夜明け」をご覧頂いた皆様、ありがとうございました。現在も残業時間を含め、働き方の改革中です。ご視聴頂いた皆様からのご意見を誠実に受け止め、社員の皆さんが健全に働け
る環境づくりを会社全体で取り組んで参ります。この度は貴重なご意見をありがとうございました》