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ノチラ ★
2017/07/02(日) 20:30:42.45 ID:CAP_USER
空調機器メーカーの日立ジョンソンコントロールズ空調(東京都港区)が、生産現場の発電機やエンジン、ボイラーなどの排熱の利用可能温度をより低温域にまで拡大し、従来の2倍の温度差で熱回収が可能な「一重効用ダブルリフト吸収冷凍機DXS」を製品化した。今年度から省エネルギー法に基づく定期報告で、生産設備などの運転で生じる排熱を未利用熱と定義し、エネルギー源として活用すればエネルギー使用量から差し引くことができることになったことから、低温排熱の活用として注目を集めそうだ。
電気や燃料などを使って生産設備などを稼働させる際、投入したエネルギーの一部は稼働機器が生み出す熱に変換され、放出される。その排熱から温水を作り、エネルギー源として利用することは省エネの観点からこれまでも行われてきた。ただ、「温水を熱エネルギー源として使うには60〜70度が限界だった。しかし、エネルギーの有効活用の観点から60度以下の温水も熱源として使いたい、との潜在ニーズがあった」と同社事業企画室主任技師の武田伸之さんは指摘する。省エネルギーセンターが2000年度に行った調査研究では、工場などから出る40度以上の排温水熱は原油換算で241万キロリットルと推計され、このうち40〜59度が48.8%を占めている。
同社が製品化した冷凍機は、熱駆動ヒートポンプの一つである従来の一重効用吸収冷凍機をベースに改良した。
冷凍機は「蒸発器」「吸収器」「再生器」「凝縮器」の4つの熱交換器が一体化。蒸発器の内部は減圧されており、冷水を作るためのパイプが通っている。パイプに冷媒(水)を掛けると、パイプから熱を奪い、冷水を作る。この際に冷媒は水蒸気になり、蒸発器に連結した吸収器に送られ、吸収液(臭化リチウム水溶液)が水蒸気を回収する。次に、水蒸気を吸って薄くなった吸収液は再生器に送られ、温水による加熱で一部が気化され、水蒸気ができる。この気体は凝縮器に送られ、液化して蒸発器に戻される。「蒸発→吸収→再生→凝縮」の4工程を冷媒が循環する中、加温でのエネルギー投入は再生器のみで、残りではポンプが電力で稼働する程度だという。
製品化したDXSでは吸収器を2つ、再生器を3つ設置した。吸収器で薄くなった吸収液を「高温再生器」と「低温再生器」の2カ所へ並列で送り込む、パラレルフロー方式を採用。温水は高温再生器、低温再生器、「補助再生器」の順に送られて熱源として活用する。1回で終了していた加熱の工程を3回に増やす分、3つの再生器の能力や流量などを調整し、最も熱利用効率が良くなるようにした。
その結果、95度の温水を使って12度の冷水を7度に下げる仕様の場合、従来機では温水は75度で排出され、20度分の温水活用だったが、DXSでは排出温度は51度となり、44度分の熱をエネルギーとして回収。同量の温水から2倍のエネルギーを回収するため、温水を送り込む搬送動力を半減できた。温水用の配管サイズを従来機よりも細くでき、設備工事費の低減化にもつながるという。
「これまで使えずに廃棄していた60度以下の温水からもエネルギー回収できることで、未利用熱の活用が広がる」と武田氏は話す。未利用熱の活用が事業者のメリットとなるため、期待を寄せている。(経済本部 日野稚子)
http://www.sankei.com/premium/news/170701/prm1707010021-n1.html
電気や燃料などを使って生産設備などを稼働させる際、投入したエネルギーの一部は稼働機器が生み出す熱に変換され、放出される。その排熱から温水を作り、エネルギー源として利用することは省エネの観点からこれまでも行われてきた。ただ、「温水を熱エネルギー源として使うには60〜70度が限界だった。しかし、エネルギーの有効活用の観点から60度以下の温水も熱源として使いたい、との潜在ニーズがあった」と同社事業企画室主任技師の武田伸之さんは指摘する。省エネルギーセンターが2000年度に行った調査研究では、工場などから出る40度以上の排温水熱は原油換算で241万キロリットルと推計され、このうち40〜59度が48.8%を占めている。
同社が製品化した冷凍機は、熱駆動ヒートポンプの一つである従来の一重効用吸収冷凍機をベースに改良した。
冷凍機は「蒸発器」「吸収器」「再生器」「凝縮器」の4つの熱交換器が一体化。蒸発器の内部は減圧されており、冷水を作るためのパイプが通っている。パイプに冷媒(水)を掛けると、パイプから熱を奪い、冷水を作る。この際に冷媒は水蒸気になり、蒸発器に連結した吸収器に送られ、吸収液(臭化リチウム水溶液)が水蒸気を回収する。次に、水蒸気を吸って薄くなった吸収液は再生器に送られ、温水による加熱で一部が気化され、水蒸気ができる。この気体は凝縮器に送られ、液化して蒸発器に戻される。「蒸発→吸収→再生→凝縮」の4工程を冷媒が循環する中、加温でのエネルギー投入は再生器のみで、残りではポンプが電力で稼働する程度だという。
製品化したDXSでは吸収器を2つ、再生器を3つ設置した。吸収器で薄くなった吸収液を「高温再生器」と「低温再生器」の2カ所へ並列で送り込む、パラレルフロー方式を採用。温水は高温再生器、低温再生器、「補助再生器」の順に送られて熱源として活用する。1回で終了していた加熱の工程を3回に増やす分、3つの再生器の能力や流量などを調整し、最も熱利用効率が良くなるようにした。
その結果、95度の温水を使って12度の冷水を7度に下げる仕様の場合、従来機では温水は75度で排出され、20度分の温水活用だったが、DXSでは排出温度は51度となり、44度分の熱をエネルギーとして回収。同量の温水から2倍のエネルギーを回収するため、温水を送り込む搬送動力を半減できた。温水用の配管サイズを従来機よりも細くでき、設備工事費の低減化にもつながるという。
「これまで使えずに廃棄していた60度以下の温水からもエネルギー回収できることで、未利用熱の活用が広がる」と武田氏は話す。未利用熱の活用が事業者のメリットとなるため、期待を寄せている。(経済本部 日野稚子)
http://www.sankei.com/premium/news/170701/prm1707010021-n1.html