家電製品が所狭しと並ぶ量販店。品ぞろえはもちろん日本の大手メーカー製が多数を占めていますが、高機能でスタイリッシュな欧米製、安さを追及した中国製などが、どんどん売れ筋商品に並ぶようになっています。
日本勢は押され気味かな、と感じる人も少なくないと思います。そんな中、新興の国産メーカー「アイリスオーヤマ」製の家電が売り場でじわじわ存在感を高めています。掃除機、エアコン、扇風機、電子レンジにふとん乾燥機、それに、LED照明といった、いわば家電の定番商品。
炊飯器の釜を取り外すとIH調理器になる1台2役のアイデア家電や、牛乳パックをセットするだけで自家製ヨーグルトができるユニーク家電もあります。
![【家電】なぜいま家電? アイリスオーヤマ、売り場でじわじわ存在感 [無断転載禁止]©2ch.net YouTube動画>1本 ->画像>3枚](http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/still/biz_0705_01_yoguruto.jpg)
家電は生活用品!
アイリスオーヤマの本社は仙台市。衣装ケース、園芸プランター、ペット用品、調理器具など、ホームセンターでよく見かける「生活用品」づくりがもともとの本業です。
家電製品への参入は、8年前。参入して2年後に東日本大震災が発生し、節電需要が高まる中、LED照明で注目されるようになりました。その後、商品の幅を広げ、家電の売上高は今では485億円。国内売り上げの40%を担う稼ぎ頭に成長したのです。
大山健太郎社長は「生活用品メーカーが、商品のラインナップを増やしていけば、家電づくりに行き着くのはごくごく自然なことだった」と言います。
極意は“引き算”開発
大手メーカーが撤退・縮小する家電で、売り上げを伸ばす極意は?
大山社長に聞いたところ、「引き算の開発」だと明かしてくれました。生活者目線に立てば、何よりも重要なのは手ごろな値段であること。そのためには、なくてもよい機能は思い切って絞り込む、それが引き算開発です。
ことし4月に発売したエアコンは、消費者にアンケートをして、ほかのメーカーの製品には付いているフィルターの掃除機能などを省いてコストを下げ、競合製品の3分の2程度の価格に抑えたといいます。
大山社長:ふつうは、他社よりも高機能な商品にしようと、技術をふんだんに活かした開発をすると思います。いわば、足し算の発想での商品開発です。私たちも『良いものを高く売りたい』とは思いますが、生活者が求めるのは『良いものを安く買いたい』なのです。
まず、お客さんに受け入れられる価格を最初に議論し、そのうえで、どの機能が必要で、どの機能は削ることができるか考えます。引き算の発想での商品開発なんです
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そして、「引き算開発」の実現に力を発揮してくれているのが、シャープやパナソニックなど大手メーカーを辞めた人材です。大手メーカーが本社を構える大阪の中心部に、あえて家電の開発拠点を設け、すでに70人の技術者を採用しました。
技術者は、生活用品を作ってきた生え抜き社員とチームを組み、共同で新商品の開発にあたらせます。
大山社長:高い技術を、新しい発想の商品づくりにつなげるには、異業種交流のような仕組みが必要です。『なるほど』というアイデアを絞り出し、『この機能はいらないんじゃないか』と考えるのは生え抜き社員の役割。それを踏まえ、大手メーカーで経験を積んだ技術者が、具体的な商品化へと力を発揮するんです。そのコラボレーションが、スピーディーな開発につながっていると思います。
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_0705.html