【シリコンバレー=佐藤浩実】米半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーは29日、2030年までに米バージニア州の工場拡張に約30億ドル(約3350億円)を投じると発表した。安全支援や自動運転技術を搭載するクルマが増えるにつれて、半導体メモリーの需要が伸びると見込むため。足元ではDRAMやNANDの市況は落ち着きつつあるが、長期的な需要拡大を見込んで設備投資に乗り出す。
首都ワシントンから西に約65キロメートルの距離にあるマナサスの工場を拡張する。まずは半導体製造に欠かせないクリーンルームを増設し、20年前半から生産を始められるようにするという。
マイクロンは具体的な生産能力を公表していないが、目安の一つとなるクリーンルームの面積は拡張によって世界で5%弱増える見込みだ。自動車に特化した研究開発施設も設ける。全体で1100人の雇用創出効果を見込んでいるという。
マイクロンはクアルコムやエヌビディアといった「ファブレス」の半導体メーカーと異なり、自社で工場を構えるのが特徴だ。米国のほか、日本や台湾などでもメモリーを生産している。韓国サムスン電子やSKハイニックスが競合にあたるほか、中国勢も内製をめざしている。
最近では中国の裁判所が台湾企業との知財係争を理由に、マイクロンの一部製品の中国での販売を差し止める動きもあった。ただ、ロイター通信によればマイクロンのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は同社の取材に対して「(米国投資と)最近の中国との貿易関連の問題とは全く関係がない」と話したという。
米投資会社のウッドサイド・キャピタル・パートナーズによれば、自動車向けの半導体需要は17年に380億ドルと前年比で26%増えた。今後も画像解析など自動運転に関わる用途を中心に増加が続く見込みだ。
2018/8/30 7:35
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34763680Q8A830C1000000/