あなたの位置情報履歴を1セント以下の少額で買いたいと言われたら、どう思うだろうか。
その履歴には、あなたが訪れた場所の正確な緯度と経度や、その時刻に至るまでが記録されている。そんな個人情報が政治や医療、レストランなど、多くの分野の広告主の手に渡るのを想像してほしい。
位置情報ベースのマーケティングと分析を手がけるReveal Mobileは、まさにユーザー1人当たり1セント以下の少額で「GasBuddy」からデータを購入することに同意した。GasBuddyは、ユーザーが地域で最も安価なガソリンスタンドを見つけられるように支援するアプリだ。
GasBuddyのようなサービスを提供する無料アプリには代償が伴う。ユーザーはプライバシーポリシーに隠された条件を認識することなく、自分のデータを提供することに同意するからだ。The New York Times(NYT)は米国時間12月10日に掲載した調査報道記事の中で、この手のアプリが広範に流通していること、そして、家庭や病院、学校、オフィスでユーザーを追跡する機能を備えていることをとりあげている。
Your Apps Know Where You Were Last Night, and They’re Not Keeping It Secret - The New York Times (英文)
https://www.nytimes.com/interactive/2018/12/10/business/location-data-privacy-apps.html
位置情報データは天気予報やスポーツのスコアなど、一見無害なサービスを提供するアプリから抽出される。これらのアプリは通常、サービス(例えば、現地の天気予報)を提供するためにユーザーの位置情報を取得した後、その位置情報データをこっそりマーケターに販売する。
GasBuddyの広報担当者は声明の中で、「GasBuddyはガソリンを必要とするユーザーに、地域のガソリン価格やガソリンスタンド情報、ガソリンスタンドへの経路案内を提供するため、位置情報データを利用する。無料アプリなので、広告とデータライセンシングに依存している」と述べた。
2017年に提出された裁判所文書によると、GasBuddyは1000人のユーザーにつき9.50ドルで位置情報データをReveal Mobileに販売することで合意したようだ。この契約は2017年3月1日から実施され、GasBuddyはユーザーの緯度、経度、IPアドレスに関するデータと収集されたデータのタイムスタンプをReveal Mobileに提供した。
このアプリは、開かれていないときも、ユーザーの位置情報を利用していた。GasBuddyは1000万台以上の「Android」端末にインストールされている。
名前などの個人情報はそれらのデータに含まれていなかったが、GasBuddyはユーザーの「Ad-ID」を提供していた。Ad-IDは、オンラインでユーザーを追跡する広告に使用されるユニークなコードだ。
2017年の7月〜9月に送付された請求書を見ると、GasBuddyは1カ月当たり450万人以上のユーザーの位置情報データをReveal Mobileに提供したようだ。Reveal Mobileはそのデータに月額4万ドル以上を支払った。
裁判所記録によると、Reveal MobileのGasBuddyへの支払いが何カ月にもわたって滞ったことを受けて、2017年11月、契約書と複数の請求書が公開文書になった。GasBuddyが訴訟を提起したとき、Reveal Mobileの負債額は21万9326ドル31セントに達していた。
GasBuddyは2018年1月、訴訟を取り下げた。同社はこの訴訟に関するコメントを控えた。広報担当者は、ユーザーが設定で位置情報追跡からオプトアウトできるようにしていると述べた。
GasBuddyとの係争にもかかわらず、Reveal Mobileは今も地震警報ツールや天気予報アプリ、複数の地方ニュースアプリなど、500種類以上のアプリに自社の位置情報収集コードを組み込んでいるという。Reveal Mobileにコメントを求めたが、すぐに回答を得ることはできなかった。
プライバシー問題に対する国民の懸念の高まりを受けて、米国の議員は連邦データプライバシー法案の策定に着手した。この法案は、5月に発効した欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)を参考にしている。
Mark Warner上院議員(民主党、バージニア州選出)は、「企業が収集している個人データ、それがどのように扱われているのか、そして、そのデータにはどれだけの価値があるのかについて、米国人は何も知らされていないことを示す驚愕の証拠だ。消費者は自らのデータを代償としているが、それが公正な取引なのかどうかを知る術はない」とツイートした。
2018年12月12日 13時09分
CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/35129932/
その履歴には、あなたが訪れた場所の正確な緯度と経度や、その時刻に至るまでが記録されている。そんな個人情報が政治や医療、レストランなど、多くの分野の広告主の手に渡るのを想像してほしい。
位置情報ベースのマーケティングと分析を手がけるReveal Mobileは、まさにユーザー1人当たり1セント以下の少額で「GasBuddy」からデータを購入することに同意した。GasBuddyは、ユーザーが地域で最も安価なガソリンスタンドを見つけられるように支援するアプリだ。
GasBuddyのようなサービスを提供する無料アプリには代償が伴う。ユーザーはプライバシーポリシーに隠された条件を認識することなく、自分のデータを提供することに同意するからだ。The New York Times(NYT)は米国時間12月10日に掲載した調査報道記事の中で、この手のアプリが広範に流通していること、そして、家庭や病院、学校、オフィスでユーザーを追跡する機能を備えていることをとりあげている。
Your Apps Know Where You Were Last Night, and They’re Not Keeping It Secret - The New York Times (英文)
https://www.nytimes.com/interactive/2018/12/10/business/location-data-privacy-apps.html
位置情報データは天気予報やスポーツのスコアなど、一見無害なサービスを提供するアプリから抽出される。これらのアプリは通常、サービス(例えば、現地の天気予報)を提供するためにユーザーの位置情報を取得した後、その位置情報データをこっそりマーケターに販売する。
GasBuddyの広報担当者は声明の中で、「GasBuddyはガソリンを必要とするユーザーに、地域のガソリン価格やガソリンスタンド情報、ガソリンスタンドへの経路案内を提供するため、位置情報データを利用する。無料アプリなので、広告とデータライセンシングに依存している」と述べた。
2017年に提出された裁判所文書によると、GasBuddyは1000人のユーザーにつき9.50ドルで位置情報データをReveal Mobileに販売することで合意したようだ。この契約は2017年3月1日から実施され、GasBuddyはユーザーの緯度、経度、IPアドレスに関するデータと収集されたデータのタイムスタンプをReveal Mobileに提供した。
このアプリは、開かれていないときも、ユーザーの位置情報を利用していた。GasBuddyは1000万台以上の「Android」端末にインストールされている。
名前などの個人情報はそれらのデータに含まれていなかったが、GasBuddyはユーザーの「Ad-ID」を提供していた。Ad-IDは、オンラインでユーザーを追跡する広告に使用されるユニークなコードだ。
2017年の7月〜9月に送付された請求書を見ると、GasBuddyは1カ月当たり450万人以上のユーザーの位置情報データをReveal Mobileに提供したようだ。Reveal Mobileはそのデータに月額4万ドル以上を支払った。
裁判所記録によると、Reveal MobileのGasBuddyへの支払いが何カ月にもわたって滞ったことを受けて、2017年11月、契約書と複数の請求書が公開文書になった。GasBuddyが訴訟を提起したとき、Reveal Mobileの負債額は21万9326ドル31セントに達していた。
GasBuddyは2018年1月、訴訟を取り下げた。同社はこの訴訟に関するコメントを控えた。広報担当者は、ユーザーが設定で位置情報追跡からオプトアウトできるようにしていると述べた。
GasBuddyとの係争にもかかわらず、Reveal Mobileは今も地震警報ツールや天気予報アプリ、複数の地方ニュースアプリなど、500種類以上のアプリに自社の位置情報収集コードを組み込んでいるという。Reveal Mobileにコメントを求めたが、すぐに回答を得ることはできなかった。
プライバシー問題に対する国民の懸念の高まりを受けて、米国の議員は連邦データプライバシー法案の策定に着手した。この法案は、5月に発効した欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)を参考にしている。
Mark Warner上院議員(民主党、バージニア州選出)は、「企業が収集している個人データ、それがどのように扱われているのか、そして、そのデータにはどれだけの価値があるのかについて、米国人は何も知らされていないことを示す驚愕の証拠だ。消費者は自らのデータを代償としているが、それが公正な取引なのかどうかを知る術はない」とツイートした。
2018年12月12日 13時09分
CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/35129932/