「8年後に韓国を世界初の自動運転国へ」。文在寅(ムン・ジェイン)政権の「未来自動車戦略」のキャッチフレーズだ。産業通商資源部など韓国政府は2024年までに自動運転を運転者の介入のない自動運転である「レベル4」に向けた制度を整え、2027年に高速道路など全国の主要道路で自動運転車の商用化を実現すると15日に発表した。「2024・2027」自動運転ロードマップで着々と進めれば世界初だ。
文在寅大統領はこの日京畿道華城市(キョンギド・ファソンシ)の現代自動車南陽研究所で開かれた未来自動車産業国家ビジョン宣布式に参加した。10日にサムスンディスプレー湯井(タンジョン)事業所を訪問し13兆ウォン規模の投資を引き出したのに続く「企業寄り」の歩みと解釈される。文大統領は「2030年に新車のうち30%をエコカーで占めたい。このために規模の経済に到達するまで政府補助金を維持する」と話した。また「性能検証と保険、運転者義務など自動運転関連制度を2024年までに整備し、3年後に通信・精密地図・交通管制・道路などインフラを備えて自動運転車を商用化する。2030年に未来自動車競争力1位の国になるだろう」とした。
一言でいえば、民間からエコカー・自動運転車が出てくれば、政府がインフラ・制度で後押しするという内容だ。このため政府は素材・部品に2兆2000億ウォンを投資し、民間部門を合わせて総額60兆ウォンを投入される。
◇自動車業界は歓迎半分、懸念半分
政府が推進する自動運転道路は車両と道路インフラが相互にコミュニケーションする「V2I」(Vehicle−to−Infrastructure)を意味する。ハイ投資証券リサーチセンター長のコ・テボン氏は「(今回のロードマップは)政府がV2Iをやるから、民間は自動運転車の技術開発と商用化導入時期を繰り上げろということ」と話した。
自動車業界では歓迎と懸念が入り交じる。現代自動車グループはこの日政府の発表に合わせ2025年までに自動運転部門に総額41兆ウォンを投じると前向きにこたえた。昨年初めに発表した2018〜2022年の5年間に23兆ウォンより18兆ウォン増えた。産業研究院のイ・ハング選任研究委員は「現代自動車グループが研究開発投資を1年に5兆ウォン、10年なら50兆ウォン以上している。どのように配分するのか今後を見なくてはならないが余力はあるように見える」と話した。現代自動車関係者は「政府のロードマップが揺らがないならば自動運転に全てを注ぎ込むだろう。技術開発より制度・インフラが後押しされなくて進みが遅かった」と話した。
専門家らはバラ色のビジョンよりはすぐに制度改善に出るべきと口をそろえる。米国の場合、アリゾナ州などでは数千台の自動運転車が道路でテスト中だ。それに対し韓国は80台ほどが臨時許可を受けてテスト中だ。許容したこと以外は禁止するポジティブ規制を適用したため新規産業に対しては閉鎖的にならざるを得ない環境だ。
また、自動運転技術は走行記録などデータが競争力になるが、韓国企業は足踏み段階だ。特に「レベル4」はビッグデータが必須だ。グーグルやウェイモなど海外の自動運転業者が人工知能(AI)と連係したデータ蓄積に死活をかけるのもこうした理由だ。
大徳(テドク)大学自動車学科のイ・ホグン教授は「すぐに高速道路で一時的にテストできるよう段階的に推進しなければならない。世宗(セジョン)・原州(ウォンジュ)スマートシティなどで条件付き自動運転のレベル3を運用できるようパイロット区域を導入する必要がある」とした。
政府は5年後に自動運転事故の責任・保険など関連法律をまとめるとしたが、難関は多い。大林(テリム)大学自動車学科のキム・ピルス教授は「レベル4が現実化されれば自動運転車は法的人格体とみるべきだ。制度だけでなく各個人の認識と社会的コンセンサスが必要だ」と話した。
◇「韓国、自動運転先進国より技術は3〜4年、制度は6〜7年遅れ」
続けて「韓国は米国など自動運転先進国より技術は3〜4年、制度は6〜7年遅れている。全般的にポジティブ規制からネガティブに転換が必要だ」と話した。
結局政府が障害物をどれだけ取り払うかがカギだ。今年初めに推進戦略を発表した水素ステーション構築だけでも全国の自治体各地で各種規制が取り上げられており構築に難航している。漢陽大学未来自動車工学科のソンウ・ミョンホ教授は「自動運転車の拡散は規制との戦いでもある。トップダウンで規制を緩和するという政府が『草の根規制』までどれだけ緩和できるのかが重要だ」と話した。
以下ソース
https://japanese.joins.com/JArticle/258591