ソニー・インタラクティブエンタテインメントは8月23日、プレイステーション公式ツイッターで、「PlayStatin 5」(以下、PS5)向けのVRシステム「PlayStation VR2」(以下PSVR2)の発売が2023年初頭であると発表した。
今年2月にヘッドセットやコントローラーのデザインが発表されていたPSVR2。グラフィックや操作性は前身機となる「PlayStation VR」から大きく進化しており、注目度が高いデバイスだが、ネット上では販売経路や転売対策に関する話題も多い。
PSVR2はPS5向けのデバイスであり、使用するにはPS5が必須となる。しかし、そもそも2020年11月に発売されたPS5自体が、今もなお日本国内で品薄状態が続いている。その一方で、メルカリなどのフリマサイトでは希望小売価格を上回る値段で出品されており、いわゆる“転売”が後を絶たない。PSVR2発売のニュースに対しても、ネットユーザーからは、
〈それよりもPS5を普通に買えるようにしてほしい 転売ヤー対策全然しないし〉
〈本当にps5が大量に出回るのかは分からないし、本体を手に入れてない人達は狭き門が2つに増えるだけになりそう〉
などと、まずはPS5を入手しやすくしてほしいとの声が寄せられているのだ。
さらに、PS5の値上げも発表された。9月15日から通常版が6万478円(税込み、以下同)、デジタル・エディションが4万9478円となり、いずれも5500円の値上げとなる。
家庭用ゲーム機は、発売からある程度時間が経つと、値下げされることがほとんどだ。PlayStation 4は、2014年2月に日本で発売(北米では2013年11月発売)。当初の価格は3万9980円だったが、2015年10月に3万4980円に値下げされた。ゲーム事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。
「普及を促すという目的でハードの値下げが行われるわけですが、PS5のようにハードが十分に行き渡っていない状況での値上げは珍しく、ユーザーの反発も少なくないでしょう」
PS5が値上げすれば、転売コストが上昇することとなり、結果として転売を抑止できるのではないかとの見方もある。
「5500円の値上げだと、単純に転売価格にその分が乗るだけになるだろうと言われています。とにかくPS5の生産体制を整えることが先決です」(藤井氏)
“転売ヤー”からは買いたくないけど、多少値上げしてもいいから、とにかく買わせてくれという声もある。ゲームファンの男性(40代会社員)はこう話す。
「PS5の発売から、何度も予約抽選に応募しているんですが、いまだに買えない。かといって、転売ヤーに儲けさせるのは絶対に嫌。なので、ずっと抽選を受け続けている状態です。もし、手に入りやすくなるんだったら多少の値上げもアリだと思いますよ。もう2万円くらい値上げしてもらっても構わないので、普通に買わせてほしいです」
PSVR2の価格については、まったく明らかになっていない。ちなみに、2016年10月に発売された「PlayStation VR」(PSVR)の発売当初の価格は4万4980円。現在販売中の「PlayStation VR Special Offer」は2万7478円だ。
「PSVRの最初の価格はPS4よりも高かったことを考えると、PSVR2もPS5の同等かそれ以上の価格になる可能性もあるでしょう」(藤井氏・以下同)
VRデバイスということでは、Meta社の「Meta Quest 2」が今年の8月に値上げしている。128GBモデルが3万7180円から5万9400円に、256GBモデルが4万9120円から7万4400円となった。
「メタバースに注目が集まっている昨今、本体のみでVR体験を楽しめるMeta Quest 2はVRの入り口として重要なデバイスだったはずですが、ここまで高価になってしまうと、さすがに広く普及させるのは簡単ではないと思います。PS5の生産が需要に追いついていないことを考えると、PSVR2に関しても入手困難となるのは必至。VRデバイスが一般的な存在になるには、まだまだ時間がかかりそうです」
PSVRが発売された2016年は「VR元年」と呼ばれたが、そこから6年経った2022年の今もまだ、VRデバイスは広く普及したとは言い難い状況だ。果たして、本当にVRを誰もが手軽に楽しめる時代はくるのだろうか──。
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