自民は安倍を批判する籠池憎しの感情を抑えきれないで、
慎重になるべき民間人の証人喚問という暴走をして自らドツボに嵌ったな
籠池氏証人喚問は、自民党にとって「危険な賭け」 --- 郷原 信郎
アゴラ 3/18(土) 7:11配信
「危険な賭け」に出た自民党
もし、偽証の制裁を覚悟の上で行った国会で、「昭恵夫人から100万円受け取ったとの話が虚偽であった」と認めさせることも、
虚偽だとする明確な根拠を示すこともできなかった場合には、逆に、籠池氏の証言が重みをもつことになる。
それは、安倍首相にとって最悪の事態になりかねない。
自民党としては、国会での圧倒的多数の「数の力」で偽証告発に持ち込もうという考えかもしれないが、
議員証言法では、証人の告発は、委員会の3分の2の賛成が必要である。衆議院予算委員会では、
委員長を除く49名の委員の3分の2は33人であり、自民党の30人だけでは足りない。
少なくとも、公明党の委員3人(うち一人は弁護士)の賛成が必要だが、
それを得るためには、偽証と認めるだけの十分な根拠が必要となるであろう。
過去に、国会での証人喚問の結果、偽証罪で告発された例は相当数あるが、
国会が不安定な状況であった昭和20年代を除けば、かなり慎重に行われており、
その大部分は、その後、検察当局の捜査の結果、偽証の事実が明らかになった
(国会での偽証の疑い以外の別の犯罪の容疑で捜査が行われた結果、国会での偽証も明らかになった)というケースだ。
果たして、偽証罪での告発に持ち込めるのか、自民党は、「危険な賭け」に出たと言わざるを得ない。
議会証言を偽証告発することの困難性
証言が「虚偽」だということを、刑事手続で認定される程度に立証するということは決して容易ではない。
籠池氏が「昭恵夫人から100万円を受領した」との証言を維持した場合、その証言を「偽証」で告発するのであれば、
予算委員会として、授受の反対当事者である昭恵夫人の供述を得ることが最低限必要であろう。
自民党は、昭恵夫人の証人喚問ないし参考人招致を覚悟のうえで、籠池氏の証人喚問を提案したのであろうか。
もし、籠池氏が100万円の現金受領を維持し、偽証で告発して検察での捜査にゆだねた場合、
昭恵夫人の側で、「授受があったとされる当日、そのような金額の現金を持参した可能性がない」ことの立証のため、
安倍家の個人的な資金の動きを示さなければならなくなるが、果たしてそれは可能だろうか。
美濃加茂市長事件では、我々弁護人は、融資詐欺での告発まで行ってNを徹底追及した結果、
Nの供述の信用性に「合理的な疑い」があるとされ、一審判決では証言の信用性が否定され、現金授受が否定された。
しかし、その一審判決の「N証言の信用性を否定する判断」は、控訴審では、不当にも覆されているのである。
今回の籠池証言について、偽証告発が行われ、処罰まで行われるためには、
逆に、「籠池証言が虚偽であること」が「合理的な疑い」を容れない程度にまで立証できなければならない。
立証のレベルは、美濃加茂市長事件で弁護人が行ったN証言の虚偽性の立証を大きく超えるものとなる。
昨日、籠池氏が、昭恵夫人からの100万円の受領の話をしたと報じられてから、
2、3時間後には、竹下国対委員長が「証人喚問」のことを言い出したというのは、拙速であった感は否めない。
私が助言する立場であれば、まず、野党側の参考人招致の話を受け入れ、
参考人として十分に籠池氏の話をしっかり確認した上で、上記の点等について、
籠池参考人供述の不合理性を追及するネタをしっかり用意した上で「証人喚問」に臨む、という戦略を勧めたであろう。
安倍首相にとっては、極めて重要な証人喚問になるのであるから、
実際に、証人喚問で籠池氏への尋問を担当する予算委員会の自民党議員には、大変なプレッシャーがかかることになるであろう。
やはり、籠池氏証人喚問は、自民党にとって「危険な賭け」である。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170318-00010007-agora-pol&;p=1