【竹中平蔵】"日本版オランダ革命"に取り組め
ダウンロード&関連動画>>@YouTube 非正規雇用は80年台から一貫して増えているわけで、小泉政権になってから増えたわけではありません。ずっと増え続けています。
にもかかわらず、世界同時不況(リーマンショック)が起きて、「派遣」の問題がクローズアップされています。
「派遣切り」という言葉は、一部のメディアがつくった言葉ですけれども、それで今の雇用問題は説明できません。
なぜならば、派遣は雇用者全体の2.6%を占めているに過ぎないからです。派遣の人たちが一部契約を打ち切られているという問題が起きていることは事実ですが、
それは雇用者全体のうち、2.6%を占めている労働者の変動の問題ですから、5%台という高い雇用・失業問題の本質は、実は別のところにあるのです。
要するに、問題は正規雇用者が守られ過ぎているために、その反動として権利の保護が手薄な非正規が増えてきたということです。
したがって、制度的格差の解消に手をつけないと、この問題は解決しません。そのためにはどうしたらいいでしょうか。
まさに労働市場の抜本改革です。労働市場の抜本改革をやっていないから、格差が生じているのです。
小泉内閣の大きな改革は、不良債権の処理と郵政民営化です。その次の労働市場の改革も非常に重要なことなので、安倍内閣に引き継ぎました。
日本版オランダ改革をやって欲しいと。オランダは労働市場の大きな改革を実行しました。労働市場の改革で大切なことは、
同一労働同一条件を実現すること、その一方で労働者が長時間労働と短時間労働について自由に選べることなど、多様な仕組みを作ることです。
フルタイムで働きたい人もいれば、家庭との両立のために、あるいは今は子育てに忙しいから、一日三時間の労働にとどめたいという人もいます。
「働き方の多様性を認めながら、それでも労働者としての権利は、同じように守られている。解雇のときは同じような条件が適用されるし、
同じように年金にも失業保険にも入れる。当然、働いている時間が短い人は、年金の額は少ない。それでも年金に入れる。」
・・・それが目指すべき日本版オランダ革命です。そういう改革を実行していないから、格差が生じてしまっているのです。