長文のスレ立てるのは初めてだから文章に所々おかしい所があると思うけど、気にせず読んで欲しい
去年の夏の約一ヶ月の事を書くから少し長くなる
気の長い、ヒマなヤツだけ聞いてくれ、信じる信じないも読む人の自由だ
だけど、この話はオレが去年の夏、確かに経験した事だ
去年の夏、姉の旦那の実家に遊びに行った
海も近いし、静かないい所だった。
旦那はと言えば三ヶ月の単身赴任で、その夏も御盆の時に帰ってきただけだという。
義父母と義兄夫婦の住む母屋は別にあり
だからオレにとっては、姉と、それぞれ8歳と5歳になる姉の息子と娘だけの、いわば気楽な夏だった。
ある日の夕方、姉は姪の幼稚園のお迎えに甥は小学校の友達と遊んでいて俺一人の時だった、インターホンが鳴って俺は玄関に向かったドアを開けると1人のおばさん恐らく60手前ぐらいの山田と名乗るおばさんがそこに立っていた
話を聞くと隣町に住んでいてよくこの辺に街商をしてるらしい、その山田と名乗るおばさんは藁人形のようなものを俺に渡してきて、「お代はいらないこれはサービスだから受け取って」みたいなことを言ってそそくさと帰っていってしまったしばらくして幼稚園子お迎えから姉が姪を連れて帰ってきた姉に先程の事を伝えると藁人形や仏具などを売り付けているらしい。それなのになぜ俺には藁人形を無料で提供してくれたのか不思議に思った。
俺は机に藁人形を置いて風呂に入った、しばらくして風呂から出て廊下に行くと姪とすれ違った。
よく見ると胸に先程机に置いたはずの藁人形を抱いている。 その藁人形がそんなに気に入ったのか、オレは軽い気持ちで聞いてみた。
けれどそれには答えずに、姪はとっとと自分の部屋に入ってしまった。
いつもは素直ないい子なのに、なにかイケナイ事を聞いただろうか、オレは。
夕食の後、先の気まずさを取りなそうと、またあの人形を話題にあげて誉めあげた。
すると流しで洗い物をしていた姉が耳ざとく聞きとがめて、改めて娘に問い質した。
一瞬しまったかな、と思ったが、藁人形をくれた山田さんが街商するものは全て神社や寺から拾ってきた物をそのまま売っているらしい、どこかでダニでもついていたら大変だ。思い返してみるとおばさんは「𓏸𓏸神社に古くからあるもの」と言っていた
その神社は姉の家から子供の足で20分くらいの山の中にある。
山の中と言っても斜面を石段が続いており、中腹の辺りに神社の境内が開けている
相当古くからあるらしく、姉の義父母が子供の頃からすでにあったそうで、
いつからあるのかはよく知らないということだ。
なにやら由緒ありげな神社だが、神主、管理者は常駐しておらず
普段は町の方に住んでいるそうで、何かの行事のときにだけ上がってくるらしい。
その神社、オレもここへ来た最初の日に散歩がてら散策してみた。
境内のの右手を入った所に、左右と背面を板、全面を木で出来た格子でかこった、
幅120㎝、高さにして160㎝くらいの物置みたいなものがある。
格子の上部は40㎝程開いていて、そこから破魔矢やウチワ、御札、注連縄、それから人形、ヌイグルミと、
普段ゴミと一緒に捨てるには、なんとなくはばかられるような物が入れられている
おそらく、ある決まった日に神主の立ち会いの元、処分されるのだろう。
どうやら山田さん(おばさん)は、そこからあの人形を持ち出したらしい。
神事に疎いオレも姉と顔を見合わせて、ヤレヤレ困った事をしてくれた、と思った。
すぐに神社に返さなければ、とは思ったが既に日は落ちている
田舎の夜は暗い。
それに石段の登り口までは街灯もなく、車一台がやっと通れるような道だった。
だから翌朝、朝食を食べる前に、姉とオレ、そして姪と三人で行こうという事になった。
その間、姪は始終無言だったと記憶している。
夜中、姉に割り振られた部屋でオレは寝るでもなく、起きるでもなくうつらうつらと天井を見ていた
するとスーッと襖の開く音がした
さすがに田舎の夜の静かさの中で弛緩していたオレはビクっとした。
襖の方を見ると、小さな黒い影が立っていた
甥だった。
甥は枕元で、隣の部屋で話し声がする、お母さんを起こしても起きないという、妹がいないとも。
姪は自分の部屋は持っていたが、夜は母親の部屋で共に寝る
その部屋に姪がいない、真夜中だぞ?
オレと甥は隣の部屋、つまり姪の部屋へ様子を見に行った。
部屋の前に来て耳をそばだてると確かに話し声がする
腰にしがみつく甥が妹の名を呼んだ
とたん話し声がピタリととまった
そーっと襖を開けた
姪が真っ暗な中、膝に何かを置いていた。
入り口の電灯のスイッチを入れた
膝に置いていたのは、あの人形だった。
姪は眩しそうに、半ば呆けた顔をしてこっちを見ていた。
オレと甥は、しばし呆然と立っていたが、とにかく姪を姉の部屋に送る事にした。
姪の布団をめくり、姪をその上に寝かせると、さすがに姉も目を覚ました。
オレも気が付かなかったが、姪はあの人形を持っていた
その髪の毛の感触に吃驚したのだろうと思う
姉は小さく悲鳴を上げると、姪の手から人形を取り上げると、放り投げた
人形は壁に当たりボタッと落ちた。
オレのいる角度から見ると、落ちた人形は姉の事を睨んでいるように見えた。
怪談噺が好きで、いろいろ聞きかじったし、あちこち凸もした
だから虚実含めて大抵の事には驚かないつもりだったけど
その時は、何かホントにヤバいんじゃないかと思った、 何かほんとに良くないことが起こるんじゃないか、と。
正直、怖かった、出来れば荷物まとめて東京に帰りたいほどに。
あまり寝付けないまま夜を過ごし、翌朝起きると昨夜の計画通りにオレ達は神社に向かった
例の箱の前に立ち、姉は姪を促した
意外にも姪はすんなりそれに従った、多少は抵抗するとも思ったのだが
その前で手を合わせ、社の前でまた手を合わせて、オレ達は神社を後にした。
その日姉は、明日は姪の幼稚園でお泊まり保育があるというので、
町まで新しいパジャマを買いに姪と出掛けていった
オレと甥は二人でテレビゲームをして過ごした
姉が用意しておいてくれた昼食を食べた後、オレ達は再びゲームに興じた。
と、突然、二階のトイレで水を流す音がした(その家は一階と二階それぞれにトイレがあった)
姉と姪は出掛けている、甥は今、目の前でゲームをしている
オレは甥をそこに残して二階へ様子を見に行った
トイレのドアは少し開いていた、だが中には誰もいない
念のため他の部屋も調べてみたが、やはり誰もいない
あるいは前に入った時に、水洗のコックが不完全に戻っていたか
昨夜の事があったから、妙に神経質になっている
こういう時こそ判断を誤る、まず第一に合理的、科学的に考える事、直感で物事を判断してはいけない
やがて夕方になり姉と姪が帰ってきた、二人とも別段変わった様子はない
夕食の際、姪は妙に口数が少なく、また姉も姪も少し食欲が無いようだった
その事を問うと、なんでも二人とも口内炎ができていて沁みるんだそうな。
姪の口を開けさせて見てみるとなる程、咥内に赤い血膨れのようなものがいくつか見受けられた
昼に何か刺激物でも食べたのかと重ねて問うと、ざる蕎麦だと言う
夏の疲れが出たのだろうと姉は言うが、二人同時にとは、何か釈然としないものを感じながら、その日は終わった。
翌朝、朝食の折りに姉の顔を見ると、首の下、鎖骨の辺りに赤い斑点が幾つもあった、
毛細血管が浮き上がったような、小さな蜘蛛の巣のような斑紋だ
さらによく見ると、袖無しのブラウスから覗く二の腕にも同じ様な斑紋がある。
オレは結構な酒飲みで、健康診断の際にはいつも肝臓を指摘されるので知っている
蜘蛛状血管腫、血管の塊である肝臓が詰まることで、血液が他の経路へバイパスするためにおこる症状らしい
しかし姉は酒は一滴も飲めない
また、これまでに一度も肝炎などを指摘された事はないはずだし、輸血をしたこともないと言う
姪は今朝は大人しく食べ物を口に運んでいた、口内炎はもうひけたと言う
面白いな
どういう人生歩んだらここまで読ませる気のない文章書けるんだ
昼近くになり、しきりに体のダルさを訴える姉は、姪を幼稚園に送りに出た
姉達を玄関で見送った後、オレは甥とブラリとその辺りへ散歩に出掛けた
まだ暑い陽の盛りだったが、太陽の下を、雑貨屋で買ったアイスなどを頬張りながら歩いていると、
まさに日本の夏休みという感じだ
水田に広がる青い稲穂が風に揺れて涼しげだったと覚えている
何の気なしに足があの神社の方に向いた
長い石段を登り、社の前に立つとオレは小銭入れから五円玉を出し、甥にも渡して賽銭箱に入れると手を合わせた
その後、あの箱に向かった
人形がなかった
様々な物が捨てられた、その一番上に置いたあの人形がどこを見ても無い。
528 :本当にあった怖い名無し:2007/08/27(月) 04:35:41 ID:Ke3p+1fDO
これは告発ではないよ、全然
その村の歴史
いま、自分達が住んでいる街、100年、わずか百年前はどうだったのか
少し調べてみるといい
無駄なことは全てはぶく
およそ200文字、やはり、それで終わらせたい
先を急いでいる人がいるし、オレも少し疲れたやはりあの時の事、思い起こすのは少しシンドイ
結果的に言うならば
姉は死んだ、そして姪も
はっきり言って、あの家族は崩壊した
残ったのは、甥と彼の弟だけである
オレは甥を連れて家に戻ることにした
帰ると姉は既に戻っており、日当たりををしたと言って、茶の間で横になっていた。
姉の家と言っても、主のいない部屋を他人が勝手に覗くのも気が咎める
オレは甥に頼んで姪の部屋を調べてもらう事にした、あの人形がないかどうかを。
15分程で甥は戻ってきたが、オモチャ箱から押入まで探したけど、人形など無いと言う
それならばそれでいい
だいたい、昨日は町へ買い物、今日は幼稚園なのだから神社に行く時間などあるわけないのだ
それよりも今考えなくてはならないのは姉の事だ、オレは人形の事は考えない事にした
姉のところへ行くと自室で休んでいるよう促し、明日にでも病院に行くことを提案した
それでオレの出来る事は全てだった
料理も洗濯も家事は何も出来ないに等しい
結局その日の夕飯は甥と店屋物をつつく事になった。
夕食を食べ終わると程なくして電話が鳴った、出ると姉の旦那だった
彼は三日おきに電話を掛ける事にしている
オレは一瞬、姉の事を言おうか迷ったが、出先の相手に心配を掛けるのも悪い
夫婦の間で必要な事なら、姉自身が話すだろう
姉に替わると互いの近況報告が始まったようだ
受話器置いて、姉は再び自室に戻って行った
漏れ聞こえてきた会話の様子から自身の身体の事を話した様子は無いようだった。