おしなべて生あるものは、金閣のように厳密な一回性を持っていなかった。
人間は自然のもろもろの属性の一部を受けもち、かけがえのきく方法でそれを伝播し、
繁殖するにすぎなかった。殺人が対象の一回性を滅ぼすためならば、殺人とは永遠の
誤算である。私はそう考えた。そのようにして金閣と人間存在とはますます明確な対比を示し、
一方では人間の滅びやすい姿から、却って永生の幻がうかび、金閣の不壊の美しさから、
却って滅びの可能性が漂ってきた。人間のようにモータルなものは根絶することが
できないのだ。そして金閣のように不滅なものは消滅させることができるのだ。どうして人は
そこに気がつかぬのだろう。私の独創性は疑うべくもなかった。
明治三十年代に国宝に指定された金閣を私が焼けば、それは純粋な破壊、とりかえしのつかない破滅であり、
人間が作った美の総量の目方を確実に減らすことになるのである。
↑意味わからなくて草
人間は自然のもろもろの属性の一部を受けもち、かけがえのきく方法でそれを伝播し、
繁殖するにすぎなかった。殺人が対象の一回性を滅ぼすためならば、殺人とは永遠の
誤算である。私はそう考えた。そのようにして金閣と人間存在とはますます明確な対比を示し、
一方では人間の滅びやすい姿から、却って永生の幻がうかび、金閣の不壊の美しさから、
却って滅びの可能性が漂ってきた。人間のようにモータルなものは根絶することが
できないのだ。そして金閣のように不滅なものは消滅させることができるのだ。どうして人は
そこに気がつかぬのだろう。私の独創性は疑うべくもなかった。
明治三十年代に国宝に指定された金閣を私が焼けば、それは純粋な破壊、とりかえしのつかない破滅であり、
人間が作った美の総量の目方を確実に減らすことになるのである。
↑意味わからなくて草