空き家が右肩上がりに増えているにもかかわらず、居住地を焼き畑的に広げながら住宅を大量につくり続ける日本の状況を私は「住宅過剰社会」と称していますが、
この背景には、産官民がつくり出した構造的な問題が関わっています。
国は経済対策として都市計画規制を過度に緩和して住宅を建てやすい政策を続けてきました。市町村もとにかく人口を増やしたいと開発規制を過度に緩和してきました。
住宅・建設・金融業界は、住宅をつくり続けることで収益を確保し、売りっぱなしの構造から根本的に転換していません。住宅購入者側は、車に乗れなくなった時の生活や相続後の空き家化リスクは遠い将来のこととして家の購入に動きます。
このように、国も自治体も産業界も私たち国民も、家を「つくる」ことばかりに目を向け、
つくった住宅を「引き継ぐ」「たたむ」ことに目を向けてこなかった――。そのツケが一気に噴出しているのが今の状況なのです。
車や家電のような使い捨てできる消費財の感覚でとにかく住宅をつくり続けてきた高度経済成長期の後始末問題とも言えます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2e4f81795a291be2a48ebb5470f374eba2025c81?page=2