ロシアによる軍事侵攻がウクライナで続く中、トルコ・イスタンブールで対面形式の停戦交渉を行った両国の代表団は29日、一定の譲歩に応じる姿勢を示した。ロシアの国防次官は、首都キーウ(ロシア語でキエフ)および北部チェルニヒウの周辺での軍事作戦を大幅に縮小する方針を明らかにした。対するウクライナ側は、安全の保証を条件に、ロシアが強く求めてきた中立化に応じる考えを示した。
両国の交渉団はこの日、イスタンブールで約3時間にわたり協議を続けた。その後、ロシアのアレクサンドル・フォミン国防次官は記者団に対して、「相互の信用を増幅」するため、ロシア軍は首都キーウおよび北部チェルニヒウの周辺での軍事活動を大幅に縮小することにしたと述べた。
フォミン次官は、「ウクライナの中立性と非核化、そして(ウクライナのための)安全の保証について、合意に向けた交渉が実務的段階へ移行していることを踏まえ、今日の協議で話し合われた原理原則を考慮に入れ、ロシア連邦の国防省は、相互の信用を増幅するため、そして交渉継続および前述の合意署名のために必要な条件を作り出すため、キエフとチェルニヒウにおける戦闘作戦を大幅に縮小する決定をした」と述べた。
ウクライナは中立化を提示
これに対してウクライナの交渉団は、ロシアが特に強く要求していた中立化を受け入れる考えを示した。
中立化とはこの場合、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)などの軍事同盟に一切参加せず、他国軍の駐留基地を国内に置かないことなどを意味する。
ウクライナの安全を保証する国の候補として、ポーランド、イスラエル、トルコ、カナダなどが浮上している。
ウクライナ代表団によると、両国が検討している和平案には、ロシアが2014年に併合したクリミアの地位について15年間の協議期間を設けることなどが含まれる。ただし、完全な停戦が実現しない限り和平合意は履行されないと、ウクライナ側は説明している。
ウクライナの代表団は、自分たちが提案した和平案には具体的内容が十分含まれており、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の直接会談を実施するに足りるものだと主張。ロシア側の回答を待っているところだと話した。両政府の代表団による対面での協議は、ベラルーシで今月7日に実施されて以来。協議を仲介しているトルコのメヴリュット・チャヴシュオール外相は、協議開始以来最も重要な進展が見られたと評価した。
チャヴシュオール外相は、両国が特定の懸案事項について譲歩し合い、共通認識に到達することを歓迎すると述べ、戦争は可能な限り速やかに終わらせなくてはならないと繰り返した。
外相はさらに、「もっと難しい問題」は今後、両国の外相同士が話し合うものと予想されると述べた。
(英語記事 Ukraine live page)
https://www.bbc.com/japanese/60913217