ロシアのサンクトペテルブルクにある「ワグネル」の拠点=昨年10月撮影、AP
ロシアのプーチン政権の「闇の軍隊」と呼ばれ、ウクライナ侵攻にも参加している民間軍事会社ワグネルの元指揮官男性が、北欧ノルウェーへの亡命を申請した。欧米メディアによると、男性はウクライナで目撃した戦争犯罪を証言する意向。民間人殺害や同胞の超法規的処刑など、ワグネルの残虐行為が明らかになる可能性がある。
男性は昨年7月からワグネルの戦闘員となったアンドレイ・メドベージェフ氏(26)。今月13日にロシア北部からノルウェーに入り、現地の国境警備隊に拘束された。ロシアの人権団体がロシア脱出を支援したとされる。
英BBC放送によると、メドベージェフ氏は派遣されたウクライナで「多数の人権侵害と戦争犯罪を目撃した」と主張。ワグネルは昨年夏以降、「恩赦」と引き換えに刑務所の囚人を戦闘員として主にウクライナ東部に送り込んでおり、メドベージェフ氏もかつて服役していた。
ワグネルの組織内では戦闘員をハンマーで殴り殺すなどの「私刑」が横行しているとされ、ロシア社会でも問題視されていた。
ワグネルを率いる実業家プリゴジン氏はメドベージェフ氏が元戦闘員だと認める一方、「捕虜を不当に扱う危険な人物」と主張した。ワグネルはプーチン政権による鉱山開発や武器輸出の利権に絡んで、中東やアフリカでも暗躍しているとされるが、実態は明らかになっていない。
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