「2025年問題」という言葉をご存知でしょうか。団塊の世代が75歳以上となり、医療や福祉の現場で人材不足が加速するとともに社会保障費の増大も懸念されています。専門家が見通す今後、そして業界で進む対策を取材しました。
(就職フェア担当者)
「うちの特徴は認定こども園と小規模保育園とどっちもあるんだけどもどっちが興味あるとかある?」
(参加者)
「私は小規模保育園が気になっています」
先月(2月)、岡山市で行われた福祉の就職フェアには会場のキャパシティいっぱいの70法人が出展。参加者に働きやすさや職場の魅力などをPRしていました。
(出展した法人の担当者)
「10年ぐらい前とくらべると、やはり人材不足というのを感じているところではあります。以前は新卒の方でも5~10人くらい毎年受けに来てくれていたが、最近は1人、2人来るか来ないか。昔は福祉業界だけでの人材の取り合いっていうのはあったと思うんですけど、今は一般企業との人材の取り合いっていうところになっているのは感じています」
さまざまな業種で人手不足が叫ばれていますが、特に福祉や医療の現場では、人材の確保が喫緊の課題です。
厚生労働省によりますと、1947年から49年のいわゆる第1次ベビーブームに生まれた団塊の世代は約800万人いるとされており、その世代全員が75歳以上の後期高齢者となる今年、国民の約5人に1人が後期高齢者に、約3人に1人が65歳以上の高齢者となります。
高齢化が一気に加速し介護や医療業界の人手不足は特に深刻化することが予想されています。これが2025年問題です。
人材派遣などを手掛けるパーソルと中央大学が行った調査です。
グラフは2030年のGDP予測値を前提に、現在の産業別の就業者数の割合が続いた場合の人材の不足の度合いを示しています。
緑で表示されている需要から黄色で表示されている供給を差し引いた場合、「医療・福祉」は「サービス」に次いで2番目に不足の度合いが大きく、187万人の労働者が足りなくなるとされています。
医療の分野では、コロナの流行以降度々起こっている医療提供体制の逼迫も懸念されています。
(岡山市立市民病院 今城健二院長)
「コロナ渦の前から2025年問題はしきりに言われていましたので、(医療機関の)機能の強化はとても大事だということですね。」
岡山市立市民病院の今城院長は、人材確保はもちろん機能分化と医療機関同士の連携による効率化も必要だと話します。
(岡山市立市民病院 今城健二院長)
「重症であるとかどうしても急性期の医療中心でないとうまくいかない。病気はしっかりと急性期病院で治療を受けていただいて、時間がかかる疾患も多いわけですからそういうものについてはゆっくり治療ができるような医療機関でしっかりおうちに帰る準備をしていただくと。機能分化とお互いの連携をうまくすることで、医療の逼迫が無いような形で地域をまわしていこうというのが2025年問題になってくると思います」
社会問題や経済に詳しい専門家は国の財政に与える影響も大きいと言います。
つづき
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rsk/1768217