【悲報】恋文、二段目の引き出しに収まらなくなり三段目に突入
【悲報】海未ちゃん、引き出しの鍵をなくす大失態。なお、鍵は開いている模様
【朗報】ことりちゃん、海未ちゃんのお部屋で遊びたい模様
【悲報】海未ちゃん、ことりちゃんのお願いを泣く泣く断り疑われる
【悲報】ことりちゃん、突然海未ちゃんのお部屋に遊びに来る
海未「私はお茶を持ってきますね」
ことり「あ、いいよぉ」
海未「遠慮なさらず。ゆっくりしていてください」
ぱたん
ことり(海未ちゃんのお部屋久しぶりかも……集まるときは大体穂乃果ちゃんのお部屋だったし)
きょろきょろ
ことり(でも、あんまり変わってないみたい……
あんまり小物とか置かないもんね)
ことり(……あれ?机のところに何か落ちてる)
かさっ
ことり(紙……というか便箋?誰かへのお手紙なのかな?)
そわそわ
ことり(……誰に書いた、どんなお手紙なのか気になる……)
でもことりちゃん随分前から気がついててコッソリ確認して溜まってる量が増えてることに喜んでるのもいいぞ
すっ
ことり(海未ちゃんごめんなさい……冒頭だけだから!どんな内容か確認するだけだから!)
ことり(どれどれ……)
『●●●へ
突然、私から手紙を貰って貴女はきっと困惑しているでしょう。今更、お手紙交換をやるような年齢でもありませんしね。
こんな形で想いを告げる、臆病で卑怯な私を許してください。』
ことり(ラブレターだ……まごうことなきラブレターだ……この綺麗で整った字は間違いなく海未ちゃんの文字……海未ちゃんが書いたラブレターだあ……)
ことり(手紙なのに、この砕けた書き方……宛名は黒く塗り潰されてるけど、よほど親しい人なんだね……)
ことり(誰なんだろう……)
ぱさ
ことり(……もうちょっとだけ……)
『いつからとか、どうしてとか、いくら考えても分かりませんでした。いつの間にか私は貴女を目で追っていて、貴女のことを想わない日はなくなっていたのです。
それが恋と呼ばれる感情だと気付いたのはそれからしばらく経ってのことでしたが。
おかしいでしょう?恋愛もののドラマや映画を破廉恥だと恥ずかしがって見なかった私が、まさか恋に落ちてしまうだなんて。』
ことり(おかしくないよ……海未ちゃんだって女の子だもん。恋に落ちちゃってもおかしくないよ……)
『最初は、色々と妄想もしました。もし告白をしたなら、付き合うことが出来たなら……寝る前に一人で考えて悦に入ることもありました。
でも、恋をして楽しかったのは最初の内だけでした。』
ことり(え、ええ!?一体何が……)
『この恋が叶うはずがないと、分かってしまったのです。
そう判断した理由は、幾つかあるのですが、それを書き連ねても意味がないのでここでは割愛しましょう。
とにかく、私はこの恋を諦めたのです。』
ことり(諦めちゃだめー!そんな簡単に諦めちゃだめだよ!理由もちゃんと書いてよぉ!思い違いのところが絶対あるって!)
『諦めたからと言って、電源が落ちるように恋心がなくなるというものでは、勿論ありませんでした。頭ではそれを理解していました。
それでも、月日を経るごとに少しずつ小さくなって、今はひどく痛んだとしても、いつかは思い出に変えられると、そう思っていたのです。
でも、だめでした。日に日に、貴女への想いが膨らんでいって、この胸からはち切れんばかりになってしまったのです。』
ことり(海未ちゃん……)
『貴女を想うと胸が苦しい。貴女を想うと夜も眠れない。私は貴女のことを、本当に、どうしようもなく、好きなんだと思い知りました。
嘘だと思うかもしれませんが、本当のことです。』
ことり(嘘だなんて思わないよ……海未ちゃんの字が、あの海未ちゃんの字が震えてる……これを嘘だなんて、絶対に思わない)
『叶わない恋を抱え続けるのは、苦しいです。捨てられない恋心を持ち続けるのも、苦しいです。夜も眠れないほど辛いです。
だから私は、こうやって貴女への手紙をしたためています。』
ことり(え?)
これさ、恋しちゃっても仕方ない女の子だもん
ってよくある言い文句を見る度に思うんだけど
男女関係なくね
男も恋愛するだろ
『貴女への想いを書き綴れば、少し楽になります。重たい心の一部を吐き出せるからでしょうか。いずれにせよ、慰めにしかならない手慰みです。
だからこれは、恋文のように綺麗なものではありません。
叶わない恋心を貴女に押し付ける、汚ならしい呪いの手紙です。解呪のできない呪いを、私は貴女に今、押し付けています。』
ことり(…………)
『嫌ってくれてかまいません。恨んでくれてかまいません。絶交されたって、文句は言いません。
ただ、貴女を好きでいることだけ、どうか許してほしいと願います。
ごめんなさい。
例え何があっても、私は貴女のことが、ことりのことが心の底から大好きです。
海未より』
ことり(海未ちゃん……)
ぐすっ
ことり(こんなの、悲しすぎるよ……)
ことり(このことりって人も、海未ちゃんに想われてることに気付いてないみたいだし!こんなに想われてるのになんで……)
ことり(………………………………)
ことり(……………………(・8・)ん?)
ことり(海未ちゃんの想い人の名前は『ことり』)
ことり(海未ちゃんと親しいことりって名前の子は私だけ)
ことり(つまり海未ちゃんの想い人=私)
ことり(………………………………)
ことり「わ、わたし!?///」ボッ
ことり「え、えー……///そんな……海未ちゃんが私のこと……///」モジモジ
ことり(っていうかさっきの特大ブーメランだよね……ことりの背中にぐっさりブーメランだよね……)
とん とん とん
ことり「!!!///」ドッキーン
ことり(海未ちゃんが帰ってきちゃった!あわわ、手紙を元のところに戻して……!)
がちゃ
海未「ごめんなさいことり、遅くなりまさかた……お茶菓子を探していまして……」
ことり「い、いーのいーのだいじょーぶよー!」
海未「えっと……?それならいいのですが……」
ことり(肝心なところで誤魔化すの下手すぎるよぉー!)