1 :
名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止
2017/06/18(日) 00:03:20.40 ID:rzv+NVD+
【十年前】
花陽ママ「はい。熱いから、ふーふーってして食べてね?」
花陽(5歳)「うん」
ママぱな「いただきます♪」
フー フー
花陽「…」ハフハフ
花陽(たきたてごはんは、ふっくら、つやつや。あつあつで、とってもおいしい…だから、だいすき♪)
【翌朝】
花陽ママ「はい。お弁当」
花陽(でも…たきたてごはんは、もっていけない。おべんとうにいれても、おひるには、さめたごはん)
花陽「おにぎり?」ワクワク
花陽ママ「ふふふ。何が出るかは、お昼のお楽しみ♪」
花陽(だけど…ごはんをおにぎりにすると、なかになにがはいってるか、わくわくして、たのしい。だから、あつあつじゃなくても…おにぎりは、だいすき♪)
【幼稚園】
凛(5歳)「かよちんのおにぎり、きょうもおっきいにゃー」
花陽「えへへ」
真姫(6歳)「おむすび…」
りんぱな「えっ」
真姫「おにぎりじゃなくて、おむすびっていうのよ」ドヤァ
凛「おにぎりとおむすびって、ちがうのー?」
花陽「えーと…さんかくのが、おむすび?」
凛「じゃあ、さんかくじゃないのが、おにぎり?」
真姫「えーと、えーと…」
花陽ママ「確か、おむすびは三角だけだったと思うわ。おにぎりは三角でも三角じゃなくてもおにぎり。だから花陽のは、おむすびでもおにぎりでもいいのよ」
まきりんぱな「へー」
花陽(うめぼし、おかか、こんぶ、しゃけ、たらこ…いろいろあって、なんでもおいしい♪)
2 :
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2017/06/18(日) 00:05:45.10 ID:rzv+NVD+
【九年前】
あんじゅ(小3)「えっ。えりちゃん、うめぼしキライなの?」
絵里(小3)「う、うん。あと、のりもキライ…」
希(小3)「えー?…おいしいのに」モグモグ
にこ(小3)「えりちゃん」
絵里「にこちゃん…」
にこ「にこのおにぎり、あげる!」
絵里「おにぎり2こ、くれるの?」
にこ「ちがう。にこが、おにぎりをあげるの!」
絵里「そっか。…でもエリチカ、のりキライだし…」
にこ「はい。おにぎり」
絵里「あ。…のりじゃない!?これなに?もじゃもじゃ…」
にこ「とろろこんぶっていうの。体にいいんだって」
絵里「へー。ありがと…なかみは?」
にこ「たべればわかるわよ」
絵里「いただきます…」パク
絵里「(わかめのまぜごはん…)おいしい♪」モグモグ
【八年前】
穂乃果(小3)「おかあさーん」
ほの母「なあに?穂乃果。早く寝なさい」
穂乃果「おなかすいた…」グー
ほの母「もう。ごはんをちゃんと食べないから変な時間におなかが空くのよ」
穂乃果「だって…ピーマン入ってたんだもん」プクー
ほの母「しょうがないわね…食べたらちゃんと歯をみがいて寝るのよ?」
穂乃果「はーい…」
ジュー
穂乃果「なに?すっごくいいにおい!」ワクワク
ほの母「焼きおにぎりよ」
穂乃果「おいしそう♪」
ほの母(焼きおにぎりは、三角でもおむすびって呼ばないわよね…だいたい焼き“おにぎり”って言ってるし)
3 :
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2017/06/18(日) 00:07:15.05 ID:rzv+NVD+
雪穂(小1)「おねえちゃんだけ…」ジーッ
穂乃果「ゆきほ!いっしょにたべよう。半分こ♪」
雪穂「わー」キャッキャ
ほのゆき「いただきます♪」
穂乃果「おいしいね♪」ハフハフ
雪穂「おいしい」モグモグ
【七年前】
ベリッ
海未(小4)「ああっ、また海苔がちぎれてしまいました…」シュン
穂乃果(小4)「あれ?こっちじゃなかった…まあいいや」ベリッ
ことり(小4)「おいしい♪」パリッ
海未(たまに、コンビニのおにぎりを食べることがあったのですが…いつも、ことりだけ開けるのがとても上手で、内心うらやましかったのを覚えています)
ことり「これベルマークついてるから、明日学校に持って行こう♪」
チョキチョキ
穂乃果(私、気づかないで何枚か捨ててたなぁ…もちろん、ベルマークをきれいに切り取るのもことりちゃんが一番上手なんだよね)
【六年前】
ツバサ(小6)「ツナマヨ、エビマヨ、牛カルビにオムライス♪」
英玲奈(小6)「むう」
ツバサ「英玲奈ちゃん?どうしたの?」
英玲奈「情緒がないな。おむすびといえば、もっと昔ながらの…梅、鮭、とり五目などが良い」
ツバサ「えー?お肉やツナマヨは昔からあるわよ?」
英玲奈「いや、昔というのはコンビニがなかった時代の話だ」
ツバサ「そんな時代に生まれてたの?」
英玲奈「生まれてはいないが…」
ツバサ「ふーん。まあいいわ。食べましょ♪お肉のやつあげるわ」
英玲奈「ありがとう…」
パリッ
英玲奈(まあ…これはこれで美味しいが)モグモグ
4 :
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2017/06/18(日) 00:09:55.31 ID:rzv+NVD+
【五年前・九月】
凛(小5)「かよちん!かよちーん!」タタタッ
花陽(小5)「凛ちゃん…どうしたの?」
凛「なんと!?今話題の!あれが!凛のお弁当に!ついに!?」
花陽「え!?な、なに?」ドキドキ
凛「入ってませんでしたー><」
花陽「えぇ…」ガクッ
凛「もう夏休みも終わったし給食があるからお弁当は必要ないにゃ」
花陽「そ、そうだね…」
凛「でも、噂のあれを買ってきたのは本当だよ!今日、凛の家に来て一緒に食べようよー♪」
花陽「何を買ったの…?」
【放課後】
凛「凛の大好物といえば?」
花陽「ラーメンだよね?」
凛「そう!そして、かよちんの大好物は?」
花陽「炊きたてごはん♪」
凛「それもあるけど、炊きたて以外は?」
花陽「おむすび…かな?」
凛「そう。なんと!かよちんと凛の大好物が夢のコラボだよー♪」
チーン
花陽「えーと…何?」
凛「チキンラーメンおにぎりと、カップヌードルおにぎり!」
花陽「へー」
凛ママ「まあ、言わずと知れたインスタント…冷凍食品だけどね」
凛「早速、みんなで食べよっ♪」
ママりんぱな「いただきます♪」
花陽(要するにカップめんのスープの味のおにぎりなんだね。それっぽい具も入ってる)
5 :
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2017/06/18(日) 00:11:05.20 ID:rzv+NVD+
凛「おいしいにゃ♪」ハフハフ
凛ママ「意外といける」モグモグ
花陽「確かに美味しい…けど」
凛「なにー?」
花陽「これ…おにぎりの形にする必要あるかな?」
凛ママ「確かに…特別食べやすくもないし…この容器があって辛うじておにぎりの体裁を保ってるけど、過剰包装気味で冷凍庫がすぐいっぱいになっちゃうわね」
凛「言われてみれば…普通のピラフみたいにしていっぱい入ってたほうがいいかもにゃ」
ママりんぱな「…」
【四年前】
ミカ(中1)「んー」フキフキ
ヒデコ(中1)「ミカ?…何してるの?」
ミカ「いや、赤飯おにぎりってあるじゃん?」
フミコ(中1)「おいしいよね。私も好き♪」
ミカ「確かに美味しいし好きだけど…ベルマークついてるじゃん?」
ヒデコ「ファミマのやつはそうだね」
ミカ「それで、赤飯おにぎりって海苔ないからフィルムが直接中身に触れるじゃん?」
フミコ「それでベルマークの部分を洗ってたの?」
ミカ「そう。あたためると、もち米だからベタベタになっちゃうんだよ。内側が!食べ終わってからベルマーク切り取ったらハサミまで洗わなきゃいけないじゃん!?」
ヒデコ「あたためる前に切り取ればいいんじゃない?」
ミカ「そしたらフィルムに穴があいちゃうじゃん!なんか容器にうつして温めなきゃじゃん!?」
フミコ「な、なるほどね…そしたら今度は使った容器を洗わなきゃいけないと」
ミカ「穂乃果はどうしてる?この問題!」
穂乃果(中1)「んー」
ヒデコ(穂乃果んちは何といっても和菓子屋…言わば、もち米のプロ!)
フミコ(穂乃果ちゃんなら、何か私たちには思いつかない画期的な方法を知ってるかも!?)
ヒフミ「…」ゴクリ
穂乃果「うち、もち米と小豆っていつもたくさんあるから、よく赤飯炊くし…コンビニとかの赤飯おにぎりは買わない」
ミカ「あ、そう…」ガクッ
ヒデコ(まあ、そうなるよね…)
6 :
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2017/06/18(日) 00:16:07.75 ID:rzv+NVD+
【三年前】
にこ(中3)「絵里」ガチャ
絵里(中3)「ありがとう…それは?」
にこ「おにぎり。絵里、海苔は苦手でしょ。だから高菜で巻いてみたの」
絵里「えーと…時代劇でサムライが」
にこ「それはカタナ」
絵里「東北楽天のエースがMLBニューヨーク・ヤンキースへ」
にこ「それはタナカ」
絵里「ヒデコ、フミコ、ミカはみんな名前が」
にこ「カタカナ」
絵里「あの子たち、苗字はないのかしら?」
にこ「知らないわよ!いいからさっさと食べなさい!」
絵里「タカナって何?」
にこ「菜っ葉の漬物よ」
絵里「いただきます」パク
シャキシャキ
絵里「おいしい…けど、これって手で持って食べると漬物の汁が…」クンクン
にこ「嗅がなくていいから、おしぼりで拭きなさいよ…はい」
絵里「ありがと」
【一昨年】
希(久しぶりの東京!都会の空気や…そしてウチも今日から高校生!)
希(一年)「にこっち!エリち!久しぶり♪」
えりにこ「!」
にこ(一年)「…誰?」
絵里(一年)「知らない人ね」
希「ちょっとー!?二人ともウチを忘れちゃったん?ひどくない!?」
にこ「いや、だから誰なのよ」
絵里「たぶん知らない人だと思うけど…私は絢瀬絵里。あなたの名前は?」
希「東條希!ほら、いたやろ?小学生の頃、同じクラスで…」
7 :
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2017/06/18(日) 00:18:04.89 ID:rzv+NVD+
にこ「聞いたような名前だけど…東條って、もっと目立たなくて地味な子だったわよ」
絵里「そうね…こんなにテンションが高くなかったと思うわ」
希「だーかーらー!あれから三年以上経ってるんやし、ウチだって変わるよ!でもウチは二人のこと、すぐわかったのに…」ブツクサ
にこ「ま、あんたがどうしてもっていうならコンビニのおにぎり二個くらいで友達になってやってもいいけど」ドヤァ
絵里「私、赤飯のおにぎりがいいわ」
希「小学校以来の再会で積もる話も無しにいきなりコンビニでおにぎり買ってこいっていうような関係は東京では友達っていうんかな?」
にこ「冗談よ、冗談。よく生きて帰ってきたわね」
絵里「島流し?に行ってきたのよね?」
希「島流しやなくて島根や、島根県!」
にこ「コンビニで売ってるワッフルの…」
希「それはマネケン!」
絵里「こうやって両腕をぐるぐる」グルグル
希「それはマエケン!」
絵里「ふふふっ。東條さんって面白い人ね」クスクス
希「いや、キミたちが勝手にボケたんだよね?」
【昨年四月】
穂乃果「ねえねえ、いいでしょ?ゆーきーほー!」
雪穂「もー!それくらい自分でできるでしょ?高校生にもなって…」
穂乃果「そう、私は高校生!ああっ、ついに私も高校生だよー♪だからお弁当が必要なの。それも、ただのお弁当じゃダメなんだよ。わかるでしょ?」
雪穂「はいはい。タダじゃないならそのへんのコンビニか弁当屋さんで買いなよ」プイッ
穂乃果「ちがうー!私に必要なのは、雪穂がお姉ちゃんを想って、愛情をこめてにぎってくれるおむすびなの!」
雪穂「はぁ…もう。まさか三年間毎日私に作らせるつもり?」
穂乃果「え、そんなに毎日作ってくれるの!?雪穂やさしー♪」
雪穂「い・や・だ!…明日だけならいいけど、毎日なんて作らないからね!」
穂乃果「ホントに作ってくれるんだ!?やったー!雪穂大好き♪」ギュー
雪穂「わ。こ、こらっ」チュ
雪穂「!?」
穂乃果「えへへ。雪穂ー♪」
雪穂「ば、バカっ!あっちいけー!」グイグイ
ピシャ
8 :
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2017/06/18(日) 00:21:57.62 ID:rzv+NVD+
(・8・)
9 :
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2017/06/18(日) 00:22:29.10 ID:rzv+NVD+
穂乃果「雪穂ー!開けてよー><」ドンドン
雪穂「…まったく///」
【翌朝】
雪穂(えーと…まず、お姉ちゃんが好きなのはツナマヨだっけ。ツナ缶なんてあったかな?)
ガチャ
雪穂(あった、これだ。えーと、あとは…やっぱり梅干しかな?)
ギュ
雪穂(あ、あれ?…ごはん多かったかな…なんか大きくなっちゃった)
雪穂(うわ、ツナの汁が出てきた…こんなに水分あるんだ…ど、どーしよ)アタフタ
雪穂(よし。海苔を巻いてごまかそう…)クシャ
雪穂(中2)「ふー。なんとかできた…」
穂乃果(一年)「おはよー雪穂。朝から何してるの?」ファー
雪穂「何してるのじゃないよ、もう…お姉ちゃんがおにぎり作れっていうから」
穂乃果「作ってくれたの!?ありがとー!初めて雪穂が作ってくれたお弁当だね♪」
雪穂「ま、まあ…ね」
穂乃果「わ。大きいおにぎり…」
雪穂「お、おなか空くかなって思ってさ。二個で足りる?」
穂乃果「この大きさなら足りるよ。雪穂の愛情の大きさを感じるなぁ♪」シミジミ
雪穂(慣れなくて加減がわからなかっただけ…まあいいか。喜んでるみたいだし)
穂乃果「えへへ。お昼が楽しみだなぁ♪じゃあ、行ってきまーす!」ガラッ
雪穂(お姉ちゃん…あれをことりちゃんや海未ちゃんの前で食べるのかな。私が作ったって知られたら恥ずかしいかも///)
【音ノ木坂】
穂乃果「えへへ。なんと!今日は愛妻弁当だよっ♪」
ことり(一年)「ふんふふんふふん♪」クネクネ
海未(一年)「イーヤーサーサ♪」クルクル
穂乃果「ハイサイじゃなくて愛妻!」
ことり「穂乃果ちゃん、まだ十五歳だよね?」
穂乃果「結婚はしてないけど、一緒に住んでる可愛い妹がいるでしょ?」
海未「ああ、雪穂が作ってくれたんですか」
穂乃果「その通り!じゃーん♪」
10 :
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2017/06/18(日) 00:28:48.10 ID:rzv+NVD+
ことり「わ。大きなおにぎり…」
海未「二個ありますね。食べきれるんですか?」
穂乃果「えへへ。中身は何かなー♪」
ポタ ポタ…
穂乃果「えーと…これって結構な惨事…?」
ことり「まだお昼なのに」
海未「さんじ、とは…これいかに」
穂乃果「ま、まあ後で洗うとして…」ポイ
穂乃果「とにかく食べちゃおう。いただきまーす♪」パク
穂乃果(汁気が多くてごはんが…しかもこれ、ツナの水分?でマヨネーズも薄めたみたいになってるなぁ)モグモグ
ことり「穂乃果ちゃん…」
海未「穂乃果…」
穂乃果「あ、アハハ…まあ、雪穂の愛情が詰まってるから美味しいよ!」モグモグ
ことり(それもまた…)ウルウル
海未(愛、ですね…)シミジミ
穂乃果「さ、さあ。次は何かなー?」ガサ
穂乃果(よかった、今度は汁漏れとかないみたい)ホッ
穂乃果(海苔も控えめに巻いてある…たぶん、こっちが後で作ったほうかな)パク
穂乃果(ああ、きっと最初のは忘れてたんだね。塩使うの…でも雪穂、今度は塩つけすぎだよー)シクシク
穂乃果「ごちそうさま…」グッタリ
ことり「大丈夫?穂乃果ちゃん…」
海未(その翌日から…しばらくの間、穂乃果の昼食は市販の菓子パンや惣菜パンになりました)
【今年四月】
雪穂(あれから…お母さんに教わって練習して。せめておにぎりくらいまともに作れるようになろうって…やっぱり、一番大切な人のお弁当は私が作ってあげたいじゃん?)
雪穂「はい、お姉ちゃん。お弁当」
雪穂(まだまだ料理のレパートリーは多くないし、おにぎり中心のお弁当だけど…)
穂乃果「いつもありがと。雪穂♪」
雪穂(一年前の…あのひどい出来のおにぎりから、ずっと変わらず…お姉ちゃんは一度だって私が作ったお弁当を残して帰ったことがないんだよね)
穂乃果「えへへ。雪穂がお料理上手になってくれてよかったぁ♪」
雪穂「まあ、あのままってわけにはいかないからね…お姉ちゃんには美味しい物を食べさせたいし」
11 :
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2017/06/18(日) 00:30:55.37 ID:JafP327v
支援
12 :
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2017/06/18(日) 00:31:50.31 ID:rzv+NVD+
穂乃果「私も負けてられないなぁ…雪穂が音ノ木坂に入ったら私の番だよね?」
雪穂「お姉ちゃんが私のお弁当作ってくれるの?」
穂乃果「もちろん!だから今から練習しとかなくちゃ!」
雪穂(お姉ちゃんは…少なくとも私よりは料理できるよね)
【音ノ木坂】
穂乃果「今日もっゆっきっほっがー。私のためにー。おにぎり作ってくーれーたー♪」
海未「な、何ですかその歌は…」
ことり「ふふふ。嬉しそうだね、穂乃果ちゃん♪」
穂乃果「えへへ。今日はこれだよっ!」
ことり「タケノコの炊き込みごはんだね。美味しそう♪」
穂乃果「ことりちゃんは?」
ことり「私は、おにぎり風オムライス♪」
穂乃果「おぉー!?なんかキャラ弁みたいで可愛い!」
ことり「顔を描いて、トサカもつけてみました♪」
海未「やりますね…私はこれです」
穂乃果「二種類!?」
海未「中華おこわと炒飯のおにぎりです。炒飯は事前に冷凍保存したごはんでもできますから」
穂乃果「な、なるほど。おにぎりって和・洋・中なんでもありなんだなぁ…」
ことほのうみ「いただきます♪」
絵里「ちょっといい?」
ことほのうみ「えっ」
穂乃果「…誰?」モグモグ
海未「生徒会長ですよ」モグモグ
ことり「お昼、一緒に食べに来たんですか?」モグモグ
絵里「いえ、私は…」
穂乃果「生徒会長さんのおにぎり、どんなのですか!?」
絵里「おにぎり?…私、おにぎりってあまり食べないのよ」
ことほのうみ「えぇ!?」
海未「信じられません…」
13 :
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2017/06/18(日) 00:33:29.74 ID:rzv+NVD+
穂乃果「外国人だから!?」
ことり「そういえば金髪だし…」
絵里「日本人よ。祖母がロシア人なの」
希「エリちは海苔が苦手なんだよね」
絵里「希!余計なことを──」
ことほのうみ「はい」
絵里「!…これは」
穂乃果「海苔がなくても」
ことり「おにぎりはできます♪」
希「三人とも海苔なしで揃えてくるとは…やるなぁ」
絵里「なるほど…参考になるわね」
海未「よかったら少し召し上がりますか?」
絵里「いいの?…じゃあ、ちょっとだけ…」
希(おにぎり食べて和んでていいのかなぁ…)
ことり「副会長さんは?」
希「ウチは…これや!」バーン
穂乃果「そ、それは…肉巻きおにぎり!?」
希「そう。おにぎりの中に肉を入れるタイプより圧倒的に食べにくい!肉だけに」
ことほのえりうみ「…」
希「いや、みんなして黙らなくても…誰か一人くらいツッコンでよ!」
花陽「な、なんでやねーん」チョップ
希「…いや、キミ誰?」
絵里「一年生ね…」
花陽「は、はい。私、小泉…花陽、です」
穂乃果「小泉さんのおにぎりはどんなの?」
花陽「わ、私は…これです」ドーン
希「でかっ!?…え、本物なん?」
穂乃果「ドッキリ用のネタグッズとかじゃないんだ…」
海未「海苔を巻いた白いごはんのおにぎりのようですが…」
ことり「すごい大きさだね…中身は?」
14 :
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2017/06/18(日) 00:34:08.43 ID:rzv+NVD+
花陽「梅干し、おかか、こんぶ、鮭が入ってます♪」
希「一つのおむすびに具が四種類!?」
穂乃果「この大きさなら充分可能だね!」
花陽「は、はい。あの…よかったら、生徒会長さんも…どうぞ」
絵里「い、いや…私は」ヒヤアセ
希「エリちは海苔と梅干しがry」
花陽「そ、そうですか…」シュン
穂乃果「大きさは尋常じゃないけど、小泉さんのが一番王道をいくおにぎりかな?」
海未「そうですね…白いごはんに海苔、中身の具も昔から定番の物ばかりですし…」
ことり「たまに食べたくなるよね♪」
花陽「は、はい。よかったら皆さんもどうぞ…」
絵里「みんな、どうしてそんなにおにぎりが好きなの?…確かに美味しいけど、このチャーハンやおこわ?はおにぎりにする必要がないように思」
花陽「な、なんということを…!」
希「まあ、確かに…この肉巻きおにぎりは普通にごはんの上に焼いたお肉をのせただけのほうが食べやすいやろね」
絵里「だったらどうして…」
穂乃果「おにぎりの形にまとまってると、ごはん粒がお弁当箱にくっついて残るってことがあまりなくて済むし」
海未「海苔を巻いておけば素手で食べられますね」
希「海苔なしでもラップやアルミホイルに包めばお箸を使わなくても大丈夫や」
花陽「それに、複数の具をただごはんの上にのせるより中に入れたほうが混ざらないように分けられます!」
ことり「大きさにもよるけど、逆に同時に複数食べたいときも食べやすいかも?」
絵里「ふーん…いろいろあるのね」
穂乃果「ぃよーっし!みんなでおにぎりのいいところをアピールして、入学希望者を増やそう!」
絵里「いや、おにぎりと入学希望者を増やすことは関係ないわよね?」
花陽「お、おにぎりで廃校を防ぐ…」ゴクリ
海未「そんなことが…本当にできるでしょうか?」
希「おにぎりで成功した話といえば“おむすびころりん”が有名やな」
絵里「聞いたことはあるけど…どんな話だったかしら?」
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1484579021/1-21 海未「おじいさんはおむすびを残らずネズミに差し出した代わりに、何でも願いが叶う“うちでの小槌”を手に入れたという話ですね」
穂乃果「ってことは…おむすびをどこかに投げ入れたら奇跡が起こるってこと!?」
15 :
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2017/06/18(日) 00:36:22.36 ID:rzv+NVD+
花陽「で、でも食べ物を粗末にするのは…」
絵里「そうね。確かアンデルセン?の童話では、親が持たせてくれたパンを泥水の中に投げ捨てて踏みつけた娘が地獄へ落ちるお話もあるし…」
ことり「有名な“パンを踏んだ娘”ですね」
希「“おむすびころりん”のおじいさんも、おばあさんが作ってくれたおむすびを一つも食べずに“ネズミの歌を聴きたい”ってだけで全部ネズミの巣穴に投げ入れたんやから…冷静に考えるとちょっとひどいかもね」
穂乃果「つまり、おにぎりで成功するためにはそれくらい大きなリスクを覚悟しないといけないってこと!?」
海未「投げ捨てるようなやり方はやめたほうが無難でしょうね。やはり食べ物は食べてこそ意味があるのですから…」
【高坂家】
穂乃果「わ、大きなおむすび…」
ほの母「え!?…ほ、穂乃果…いたなら声かけてよ。びっくりした…」
穂乃果「さっきも呼んだよ。お母さんって…それ、卒業アルバム?」
ほの母「そうよ」
穂乃果「小泉さんみたいに大きなおむすび…お母さんの世代にも、こんなすごいの食べてる子がいたんだね…」
ほの母「ふふふ。この子ね…穂乃果もよく知ってる人よ♪」
穂乃果「え!?…あれ、言われてみれば誰かに似てるような…誰だったかな?」
ほの母「さっき自分で答え言ってたじゃない」クス
穂乃果「え?…小泉さんみたいに大きなおむすび…あ」
『せんせー!みてみて♪ろーま!』
『ローマ?…あら、可愛いひよこさんねー♪どうしたの?』
『えへへ。あのね、おかあさんがかってくれたの♪』
ほの母「そう。幼稚園の小泉先生♪」
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1479222238/1-13 穂乃果「そ、そっか。それで見覚えがあったんだ…先生、若ーい!可愛い♪」
ほの母「当時は今ほどお米の品種は多くなかったけど…確か、このときのお米はササニシキ」
穂乃果「さくらんぼ?」
ほの母「それは佐藤錦ね。ササニシキは、ひとめぼれが台頭してくる前まで宮城県を中心に栽培されていた品種なの。味は淡白で粘り気が少なく上品な味わい…高級寿司店御用達の、最も和食に合うお米といわれていたのよ」
穂乃果「へー。全然知らなかった…」
ほの母「和食向きといわれる一方で、粘りが出にくい特徴を活かして炒飯にも向いてるんですって」
16 :
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2017/06/18(日) 00:42:01.37 ID:rzv+NVD+
穂乃果「お米がくっつかなくてパラパラに仕上がりやすいってこと?」
ほの母「そういうこと。…まあ、おにぎりの場合はコシヒカリとかのほうが向いてるのかもしれないけど」
穂乃果「うーん。まさかお母さんの卒業アルバムからお米の歴史がわかっちゃうなんて…すごいなぁ」
ほの母「ふふふ。まあ、当時はササニシキも今のひとめぼれくらい有名なお米で、私たちにとっては珍しい物じゃなかったけどね」
穂乃果(おにぎりを考えるときに、中身の具のことはよく話題になるけど…お米の品種とおにぎりの相性まで考えたことって無かったなぁ)
【翌朝】
雪穂「…ホントに今日はこれだけでいいの?」
穂乃果「うん。今日はお米を味わう日!それに私には雪穂の愛情があるからね♪」
雪穂「ふーん…まあいいけど///」
穂乃果「ありがと雪穂♪じゃあ、行ってきまーす!」ガラッ
雪穂「行ってらっしゃい」ファー
【秋葉原・UTX前】
穂乃果「おぉー!…す、すごい」ベター
\♪タイマイドゥーアイテーキベービ/
穂乃果「た、タイ米!?」
花陽「タイの一般的なお米は長粒種…いわゆるインディカ米ですね」
穂乃果「ちょーりゅー?いんでぃか?」
にこ「はぁ!?…あんた、そんなことも知らないの!?」
穂乃果「ご、ごめんなさい…」
花陽「日本で一般的に流通している、私たちが食べているお米のほとんどが短粒種、いわゆるジャポニカ米です。品種によってある程度特徴の違いはありますが、柔らかく粘り気があり、釜や土鍋、炊飯ジャーなどで炊くのに適したお米です」
にこ「そ。私たちが知ってる“ごはん”はジャポニカ米を炊いたものってわけ」
穂乃果「そうなんだ…じゃあタイ米は違うの?」
花陽「長粒種は本来、めん類のように鍋で、たっぷりのお湯で茹でて食べるんです。日本のお米のように炊いても美味しく仕上げるのは困難です」
穂乃果「そっかぁ…インドでもお米を作ってるって聞いたことがあるけど、私たちが知ってるカレーライスみたいなのを食べてるわけじゃないんだね」
にこ「そーね。インドのカレーライスの食べ方を日本のカレーライスでやったらドン引きだし」
花陽「右手で、カレーとごはんを混ぜながら食べるんですよね…」
穂乃果「アハハ…たまにいるよね。混ぜて食べる人…」
17 :
名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止
2017/06/18(日) 00:45:26.39 ID:rzv+NVD+
(・8・)
18 :
名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止
2017/06/18(日) 00:46:20.32 ID:rzv+NVD+
凛「おにぎりだったらやっぱり日本のお米だよねー?」
花陽「そうだね。日本生まれのおにぎりには、やっぱり日本のお米が一番♪」
穂乃果「よーし!早速おにぎりをアピールしに行こう!」ギュ
凛「にゃ?」
にこ「え?…ちょっ、どこ行くってのよ?」
穂乃果「インディカ米には負けないぞっ♪」グイグイ
凛「ま、また凛なのー!?><」ズルズル
【UTX一階】
にこ「どうするつもりよ?UTXの生徒じゃないと奥へは行けないわよ」
穂乃果「えーと…おむすびを投げ入れたら歌が聴こえてきたりしないかな!?」
花陽「おじいさんは最初はうっかり落っことしただけで、最初から故意じゃなかったけど…」
凛「何の話ー?」
穂乃果「じゃあ、投げるんじゃなくて…そっと置いてみよう。アルミホイルに包んであるから大丈夫だよね?」
ほのにこりんぱな「…」
「あら?…なにこれ?」
にこぱな「!」
凛「早速誰かが見つけたにゃ」
穂乃果「ネズミさん…じゃなさそうだね」
花陽「あ、あれは…」プルプル
にこ「優木あんじゅ!」
あんじゅ「おにぎり?…差し入れかしら?」
ほのりん「…」ジーッ
あんじゅ「ふふふ。そこの団体さん」
にこぱな「」ビクッ
あんじゅ「これ、あなたたちの落とし物?」
穂乃果「は、はい。…いえ、落としたわけじゃないんですけど…」
あんじゅ「そうなの?」
穂乃果「はい。食べてみてほしいなって…おにぎり、好きですか?」
あんじゅ「もちろん好きよ。おにぎり嫌いな人なんてそうそういないでしょ?」
にこ(海苔と梅干しが苦手な奴なら知ってるけど)
19 :
名無しで叶える物語(王都図書館司書室)@無断転載は禁止
2017/06/18(日) 00:48:11.93 ID:rzv+NVD+
穂乃果「じゃあ、是非どうぞ!」
あんじゅ「いいの?…これ、あなたが作ったの?」
穂乃果「いえ、妹が作ったんです」
あんじゅ「あら、愛妻弁当?…ふふふ。うらやましいわね」
穂乃果「そうなんです♪私は毎日食べられますから!」ドヤァ
あんじゅ「じゃあ、遠慮なくいただくわ」パク
ほのにこりんぱな「…」ゴクリ
あんじゅ「おいしい♪中身は梅干しね」モグモグ
穂乃果「はい。うちで漬けた梅干しです!」
あんじゅ「海苔、ごはん、梅干しの黄金比…甘みの少ない昔ながらの梅干しが、ごはん本来のほのかな甘みを引き立てて…」
穂乃果「ほのか?」
あんじゅ「梅の実が育つのは樹上…言わば空!すなわち陸の稲、海の海苔と塩、そして空の梅が織り成す…陸・海・空の究極のおにぎり!」
にこりんぱな「おぉー!?」
あんじゅ「素晴らしいわ。あなたの妹さんにもよろしく伝えてくれる?」
穂乃果「はい!ありがとうございます♪」
あんじゅ「こちらこそ…私も負けてられないわね」
にこ「…はっ!?待って、あんじゅ!サイン…いや握手」
花陽「い、一緒に写真を──」
あんじゅ「はい」ギュ
穂乃果「え?…あ、どうも…」
凛「はい、おにぎり♪」
ほのあん「おに」パシャ
あんじゅ「またね♪」
スタスタ
花陽「ああっ!?そ、そんな…高坂先輩だけ…」ガクッ
にこ「くっ…おにぎりで勝たなければ与えられないってことなの!?」
穂乃果「さ、早く学校行こっ♪」ギュ
凛「先輩も行きますよー」ガシッ
花陽「ま、待って。おにぎりなら自信が…」ズルズル
にこ「私だって負けないわよ!時間さえあれば…」ズルズル
20 :
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2017/06/18(日) 00:49:55.72 ID:rzv+NVD+
【音ノ木坂】
理事長「これだわ…見つけた♪」
のぞえり「は?」
理事長「ほら、これ…おにぎりを作るための型よ♪」
絵里「それって…」
希「…手抜き?」
理事長「“時短”よ。これを使えば、誰でも簡単に三角おむすびが作れるし…」
絵里「でも、実際には握っていないのに、おにぎりとは…」
希「焼いてないカップ焼きそばみたいなものやね」
理事長「確かに…ですが、そう簡単に生徒が集まらないからこそ、この結果なのです。何か良い方法があるんですか?」
絵里「あらかじめ炊いておいたごはんを冷凍保存などして使えば…」
希「ごはんを炊く時間が節約できるから、おにぎりは手で握っても余裕やんな」
理事長「思いつきで行動しても、簡単に状況は変わりません。生徒会は今いる生徒の学校生活をより良くすることを考えるべきです」
希(結局めんどくさいだけなんやろな…この人)
【二年教室】
穂乃果「おにぎりだよ!おにぎり♪」
海未「おにぎり…が、どうかしたのですか?」
穂乃果「おにぎりならUTXにも勝てるよ!あのね、今朝──」
ことり(穂乃果ちゃんはUTXの…日本で一番人気があるスクールアイドルの人に、雪穂ちゃんのおにぎりをほめられたんだって)
穂乃果「これは宮城、こっちは山形県のお米なんだって!」
海未「このカタログに載っているようなお米を生産しているのは、プロと同じように努力し、真剣にやってきた人たちです!」
ことり「同じようにっていうか、プロだと思うけど…」
海未「穂乃果のように、いつも雪穂に作ってもらっているだけで、うまくいくはずないでしょう!?」
【屋上】
穂乃果「あーあ。いい考えだと思うんだけどな…」
にこ「高坂!」バーン
穂乃果「え?…あ、あなたは…?」
にこ「おにぎりで勝負よ!」
穂乃果「はあ。勝負…してどうするんですか?」
にこ「あんた、まさか今朝のあれでA-RISEに勝った…なんて思ってるんじゃないでしょうね?」
21 :
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2017/06/18(日) 00:55:25.18 ID:rzv+NVD+
穂乃果「それは…だって、あの人には実際ほめられたし」
にこ「あんたの“妹が”作ったおにぎりが、たまたまあんじゅ一人の好みに合っただけでしょ?調子に乗るんじゃないわよ」
穂乃果「雪穂が作ってくれるおにぎりは世界一おいしいですよ!」
にこ「フン…そこまで言うなら、私のおにぎりを食べてみなさいよ」
穂乃果「はあ。いただきます…中身は何ですか?」
にこ「食べてみればわかるわよ」
穂乃果(海苔も何も巻いてない、白いごはんのおにぎり…)パク
穂乃果「おいしい…けど、これ…具が入ってない?」
にこ「そう。これは塩むすび」
穂乃果「ごはんと塩だけ?…おいしいけど」モグモグ
にこ「でしょ。…あんじゅは陸・海・空って言ってたけど」
穂乃果「このおにぎりには“空”の要素がないですよね?」
にこ「甘いわぁー!」(ダミ声)
穂乃果「な、何ですか!?」
にこ「具が入ってない、つまり“空”!」
穂乃果「えぇ…」
にこ「それに、ふっくら柔らかく握ったおにぎりは空気を含んでるでしょ」
穂乃果「な、なるほど…空気の“空”」
にこ「そう。そして、ここはどこ?」
穂乃果「屋上…あ」
にこ「やっとわかったみたいね。…そう、見上げれば空がある。屋外で食べるおにぎりは特別おいしいでしょ。海苔なし、具も入ってなくたって、陸・海・空は揃うってわけ」
穂乃果「こ、これが…本当の、究極のおにぎり…!」ガクッ
穂乃果(雪穂が作ってくれるおにぎりは、確かに私にとっては世界一おいしい…けど、廃校を防ぐためには入学希望者を増やさなきゃいけないから…女子中学生に支持されるようなおにぎりを作らなくちゃ)
【音楽室】
穂乃果「あなた、私のためにおにぎり作ってみたいと思わない!?」
真姫「思いません」
穂乃果「うぅ…」ガクッ
真姫「何なんですか。いきなり…おにぎりくらい自分で作れないの?」
穂乃果「作れるけど…あなたは?」
真姫「たぶんできると思います。…やらないけど」
22 :
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2017/06/18(日) 00:57:30.78 ID:rzv+NVD+
穂乃果「じゃあ作ったことはない?」
真姫「ないけど…簡単でしょ?」
にこ「どいつもこいつも…おにぎりを甘く見てんじゃないわよ。一度も作ったことない奴が簡単にできると思ってんの?」
真姫「違うんですか?」
【生徒会室】
ピーッ
花陽「ごはん、炊けました♪」
にこ「さ、作ってみなさい」
真姫「なんで私が、こんなこと…」
穂乃果「できないんだー?」
真姫「できるわよ!」
絵里「楽しみね♪」ワクワク
希「いや、どっちかっていうと不安…」
真姫(ごはんを適量とって…)
真姫「あちち…熱すぎ!」ジタバタ
花陽「こういう寿司桶や、冷たいお皿に取って冷ますといいかも…」
真姫「先に言ってよ!…もう」
真姫「えーと…この塩で味付けするのよね?」
花陽「ああっ!?だ、ダメだよぉ!」
真姫「なによ。何がダメなの?」
花陽「塩はごはんにかけるんじゃなくて、こうやって手につけるの。かけたら塩が多すぎるし、手につけた分だけで塩は充分足りるよ」
真姫「ふーん…」
にこ「ホントに全くやったことないのね」
真姫「今から覚えるんだからいいでしょ!」
真姫「ふんっ」ギュー
花陽「そ、そんなに力いっぱい握らなくても…」
穂乃果「最初に軽くまとめたあと、こうやって両手の中で転がすようにして形を整えるんだよ」
真姫「転がす…ヴェぇ!?」コロン
ボトッ
絵里「寿司桶があってよかったわね…」ホッ
23 :
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2017/06/18(日) 01:00:12.63 ID:rzv+NVD+
(・8・)
24 :
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2017/06/18(日) 01:01:04.72 ID:rzv+NVD+
真姫(おにぎり一個でこんなに苦戦するなんて…)
真姫「で、できたわ!」
希「じゃあ、せっかくの海苔なし塩むすびやし…」
にこ「そーね。絵里、試食してやって」
絵里「え、ええ」
真姫「どうぞ。生徒会長」
絵里「ありがとう…いただきます」パク
穂乃果「あ、じゃあ私のは…あなたにあげるね。…えっと」
真姫「真姫よ。西木野真姫」
穂乃果「はい、西木野さん♪」
真姫「…ありがと。いただきます」
絵里「ハラショー♪」モグモグ
真姫「おいしい」モグモグ
花陽「いいなぁ…」
希「ふふふ。まだごはんはいっぱいあるし、ウチらも作って食べようよ」
にこ「仕方ないわねー。私の実力を」
凛「はーい!凛も作ってみたいにゃ♪」
花陽「凛ちゃんって…おにぎり作ったことあったっけ?」
凛「やろうとしたことはあるよ。十年くらい前!」
にこ「…うまくできたことは?」
凛「さあ?…凛の記憶にはないけどにゃ」
穂乃果「アハハ…また一から教えないとだね」
25 :
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2017/06/18(日) 01:01:36.73 ID:rzv+NVD+
【六月】
にこ「にっこにっこにー!」ギュ
海未「こ、これは…」
ことり「おにぎりを(型を使わずに)二個同時に作れるなんて…この人、すごい!」
にこ「ただ作れるだけじゃないわよ。どちらのおにぎりも同じ重さ、同じ塩加減!」
ほのりんぱな「おおー。しんじられぬー」
真姫「別に、一個ずつ作ればいいじゃない…」
にこ「なんか言った?」
真姫「いいえ」
穂乃果(うるち米を使ったおにぎりが作られるようになったのは鎌倉時代で、七百年以上の歴史があるとか…)
花陽(お米があって、食べる人がいるかぎり…きっと、おにぎりの歴史は続いていくけど)
凛(音ノ木坂も、おにぎりみたいに…ずっとずっと続いていくといいにゃ♪)
おわり
26 :
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2017/06/18(日) 01:11:57.99 ID:NRscvo9m
27 :
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2017/06/18(日) 02:35:38.92 ID:rzv+NVD+
28 :
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2017/06/18(日) 05:31:49.05 ID:rzv+NVD+
29 :
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2017/06/18(日) 08:59:38.92 ID:rzv+NVD+
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2017/06/18(日) 11:10:45.21 ID:rzv+NVD+
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2017/06/18(日) 13:59:04.75 ID:rzv+NVD+
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2017/06/18(日) 15:59:16.46 ID:rzv+NVD+
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2017/06/18(日) 17:57:48.61 ID:rzv+NVD+
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2017/06/18(日) 20:18:21.40 ID:rzv+NVD+
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2017/06/19(月) 01:26:44.42 ID:YJ09Uk5h
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2017/06/19(月) 03:27:35.58 ID:YJ09Uk5h