千歌「なんやかんやあって異世界に転生したものの……」
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
千歌「……まさかだったなぁ」
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
千歌「……まさかの巨人だよ」
レベルカンストの巨人…ラスボス飛び越えて裏ボスかな?
千歌「おっきいなぁ……15メートルくらいあるよ……。普通に生活するのが難しいレベルだよこれぇ……」ズーン
千歌「歩いたら町や村なんか普通に壊しちゃうし……森は森でモンスターに襲われるし……って、息するだけで追い払えるけど……なんか私めちゃくちゃ強いんだよね……なんでだろ……」
千歌「それになにより……やっぱり人と話せないのがツラいなぁ……。近付いただけで……」
村人『うわああああああ!!!きょっ、巨乳だぁぁぁぁぁぁ!!!』
村人『みんな逃げろ!!巨乳だ!!巨乳が来るぞ!!!』
村人『きゃああああ!!!巨乳よおおおお!!!』
村人『圧し潰されるぞおおおお!!!』
千歌「やっぱり巨人って怖いのかなぁ……。なんかみんな胸しか見てなかったような気もするけど……」
千歌「はあ……」
ザァン……
ザパーン……
千歌「……寂しいなぁ」グスッ
???「……あれ?」
???「千歌……ちゃん?」
千歌「へ……?」
???「やっぱり……千歌ちゃんだ!!」
千歌「……ウソ。そんな……!!」
巨人であることに落胆する千歌の前に、一人の少女が歩み寄る。
その人物とは……
安価下1コンマ
奇数→曜
偶数→梨子
曜「うん!!私だよ!!」
千歌「曜ちゃん!!曜ちゃああああああん!!!」ガバーッ!
曜「うわああああああああああ!!!」
ドガァァァァァァァァァァァァァァン!
千歌「ゴメン……」ションボリ
曜「う、うん……。転生してたことも、巨人になってたことも驚いたけど、まさかそのサイズで抱き付いてくるとは思わなかったよ……。地形が変わるレベルのハグをお見舞いされるとは思ってなかった……。上手く逃げられてよかった……本当に……」
千歌「迷惑でゴメンなさい……」
曜「ううん。って、そんなことより!!よかった……また千歌ちゃんに会えて……」
千歌「私も……。曜ちゃんはなんで転生したの?」
曜「なんやかんやあって」
千歌「そっか……」
巨人千歌のまんこの中で暮らしたい
もちろん子宮がベットで卵子がご飯
年中暖かくて住み心地良さそう
千歌「曜ちゃんは……普通の人間みたいだけど……。なにに生まれ変わったの?」
曜「私?私は……安価下2」
曜「小人」
千歌「へ?」
曜「小人」
千歌「いや、でも……普通の人間っぽいよ?」
曜「うん。だから、小人の巨人」
千歌「……は?え?なに?どういうこと?」
曜「私にもわからない。小人族にとって、身体の大きい者……つまり私は異端らしくてさ……追放されたんだよね……。村から出ていけって……アハハ……」
千歌「ゴメン、全然笑えないけど……」
曜「だよね……」
千歌「小人ってさ……どういうことが出来るの?」
曜「どういうことって?」
千歌「ほら、やっぱり普通の人間とは違うわけじゃん?まあ、私もだけど……」
曜「あー……えっとね」
安価下1コンマ
01〜25→ほんの少し魔法が使える
26〜50→目にも止まらないスピードで動ける
51〜75→植物に詳しく薬を作れる
76〜00→パンツを盗める
ヒュンッ
千歌「?」
曜「こういうこと出来る」つチカチャンノオパンツ
千歌「!?!?//////」バッ!
曜「いやー、小人族って昔から旅人の装備を奪って生活する追い剥ぎの種族みたいなところがあるらしくてさ。そのスキルが私にも使えるんだけど、まあ異端らしくて……私にはパンツを盗むくらいしか出来ないんだよね」ケラケラ
千歌「こ、の……!!//////」プルプル
曜「それにしても……巨人ってパンツもやっぱり大きいんだね。このサイズの衣類ってどうやって作ってるんだろ。ていうか、お布団より大きいパンツっておもしろいね。ていうか千歌ちゃん、なんかここ黄ばんで……」
千歌「○ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!//////」ブンッ!
ズガアアアアアアアアアアアアアアッ!
千歌「まったく!!///まったくだよこのヨーソローは!!!///」ハキハキ
曜「ゴメンナサイ」ゲザァ
千歌「次やったら本当に消し飛ばすからね!!!///」
曜「いや……さすがにLv999の一撃はシャレにならないっていうか……」
千歌「シャレじゃないよ!!!」
曜「はいっ!……ていうか……なんでレベルがカンストしてるの……。なんの恩恵……?」
千歌「知らないもん」プクー
このちかっちは驚異ですね…
ちなみにこれはちちっちの胸囲をかけた
>>39
ズガアアアアアアアアアアアアアアッ! 曜「で、これからどうするの?」
千歌「わかんない……。この世界のこと、なにも知らないし……。なにをしたらいいのか……なにかしようにも、この身体じゃ……」
曜「んー……じゃあ、一緒に行こうよ!」
千歌「一緒にって……どこに?」
曜「風の噂で聞いた話なんだけどね。世界のどこかに、どんな魔法でも使える魔女がいるんだって」
千歌「魔女?」
曜「その人に頼んでさ、千歌ちゃんの身体を小さくしてもらえばいいんだよ!」
千歌「身体を小さく……そんなこと本当に出来るの?だいたい、その噂が本当かどうかも……」
曜「わからないよ?でも、なにもしないよりはずっとマシだよ♪」
曜「それに、私もその魔女さんを見つけて、身体を小さくしてもらおうって思ってたんだ♪」
千歌「曜ちゃんは小人になりたいの?」
曜「なりたいっていうか、元々小人なわけだし。それに……仲間はずれはなんか寂しいしね」
千歌「そっか……」
曜「ね、一緒に行かない?実を言うとね……ほんの少し、不安だったんだ。誰も知らない世界で……たった一人で旅をするのって……」
千歌「曜ちゃん……」
曜「エッヘヘ……」
千歌「……うん。わかった。一緒に行こう!」
曜「千歌ちゃん……!///」
千歌「一緒に旅をして、魔女さんを見付けて……普通の人生を歩もう!!普通の人間と小人として、普通に生きよう!!」
曜「普通のことを意気込んで言ってるだけだけど……うん!!それじゃあ、これからよろしくねっ♪」ゞ
千歌「うんっ!♪」
これは"普通を求める物語"
"普通になるための物語(ワンダフルストーリーズ)"
どこかにいる魔女を探して、二人の少女は……新たな世界で再び手を繋ぐ。
Lv999の巨人と……パンツ泥棒の大きな小人。
彼女たちが紡ぐ次なる物語は……
ズシン
ズシン……
千歌「……………………」
曜「いやーハッハッ。千歌ちゃんを乗り物にするのは気が引けるけど、これはなかなか……乗り心地がよくて楽だねぇ♪」
千歌「うん。別にいいんだけど。普通こういうときって肩とか、乗っても頭の上じゃない?なんで胸に乗るかな。むしろいつ落ちるかわかんないし乗り心地悪いと思うんだよ」
曜「そんなことない!!ここがいい!!ここしか私の居場所はありえない!!」
千歌「なにその確固たる意志」
曜「はあぁ〜///千歌ちゃんのおっぱい最高……///」スリスリ
千歌「それ以上やったらへし折るからね。それより、私たちどこへ向かってるの?」
曜「ん?このまま行けば町があったはずだけど」
千歌「町かぁ……」
曜「どうかした?」
千歌「いや……この身体じゃ町には入れないから……」
曜「そっか……」
千歌「旅に必要な買い物とか、町の人に話を聞いたりもしなきゃいけないし、そういうのは曜ちゃんに任せることになっちゃうね」
曜「任せて♪」
千歌「私は町の外で大人しく待ってるから」
曜「うん。あ、町が見えてきたよ!」
二人が到着したのは……
安価下2
米の町
猫の町
鳥の町
_ ┌ n /7 _ .
| | ヘ 「ト L|ム//) __ ┌┘└┐
| |__ く ゝ) _ へ人 ヘ∠ | _ . | ニニ! !ニニ
| __| て彡 | ハ `┤フ⌒ヘ⊃ | .|_|. |└‐┐┌┘ .
._ . | | .| ヘ .| ノ |-イ_ - 不 ーーイ .....| _ . |i二二 二i
.| | | | |\ ⌒\ .Y / √ /イ \二 彡 .....| .|_| .|┌、 .| 「
._| |_| |___ ヘ i⌒ <〜 Y// / ヘ / ノ | ......| ヽゝ」 | ....
|________| ーへ //⌒>イ.( ヘ 入 /  ̄ ̄ ヽ | ....
\《 / / |ヘ ノ </ーイ  ̄ .....
ヽヘノ へ ヘ√ | | ...
_ .| |ーー| |へ ム┘ ..
__| |__ //ーー// √ ..
|__ __| √(⌒)□へ ww ..
┌─┘└─┐ i (^"^)\ ゝ <イヘ| ..
└─┐┌─┘ |/ ヽイ⌒ -イヘ ヽヲiヘ
. , ─┘└- 、 . / /ヽヒ/ / ヽ / フ⌒( ヘ ...
イ と‐┐┌- .,/ ./ ん )ヘ ( <⌒ へ ト ノ
ゝ,  ̄ ノ ./ )/ \ヽ人 ⌒) )イムi ) .
 ̄ ん / √ イイヘムイ .....
| ) ( n /彳ヲ/ミヲ | ヘ ...
._ イ(⌒) ヒ > / ( \ (彡ヘ _
._| |__ ,.-‐.、 .| イ Eイ イ | ヘ ) mm7 | | ....
|_ .// イ .| ) ( < イ ヽヘ ヘ ゝ .| └─┐ ......
/ / | | へイ |ア~ヘ く ヘ人 | ┌─┘ ......
/ / | | 入ノ \_/ヘ ヽ|_\へ . | | ....
|__.....| | レイ // | ノ) へ ヘii| , ─┘└- 、 ....
.| | | / ∠_/ んゝ \ イ と‐┐┌- .,/ . .
.| | ゝ-イ  ̄ ゝ,  ̄ ノ ....
. ̄  ̄ ..
【鳥の町】
ズシン……
千歌「よいしょ」
曜「……っと」トンッ
千歌「それじゃ、私は町の外でお留守番してるね」
曜「了解♪なにか欲しいものある?」
千歌「みかん!」
曜「あったら買ってくる。それにしても、その身体でも食べる量が普通の人間と変わらないってスゴい燃費いいね。それって巨人族の固有スキルなの?」
千歌「スキル?」
曜「私の【追い剥ぎ(パンツ限定)】みたいなの」
千歌「そうなのかな?私自分にどんなスキルあるのか知らない……」
曜「頭の中でスキル確認って思い浮かべれば出てくるよ」
千歌「そうなの?便利だね。えっと……スキル確認」ヴンッ
【――――――――】
千歌「……なんか、空を覆うくらいいろいろ出てきたんだけど」
曜「スキルの数多いなぁ……。よく見たら身体強化系と耐性スキルばっかりだけど……。えっと……あ、これかな……?」
【燃費激減】
【体力節約】
千歌「燃費激減?体力節約?」
曜「ようは、ちょっとご飯食べるだけで何日も食べたりしなくていいとか、ちょっと寝るだけで何日も寝なくて平気ってスキルだよ。あとは意識しなくても効率よく身体を動かせるみたいな、そんな感じ」
千歌「へー」
曜「あんまり興味ないでしょ」
千歌「よくわかんない」
曜「待ってる間はヒマだろうし、自分のスキルを確認してるといいよ」
千歌「えー……めちゃくちゃ多いよ……?」
曜「スキルもカンストしてるなら、役に立つスキルもきっとあるよ。それじゃねー」ノシ
千歌「うん。気を付けてー」ノシ
曜side
曜「さてと……まずは当面の食料と水、あとは武器……かな。でも武器はなー……無くても千歌ちゃんならどんなモンスターが出ても余裕だろうし、私もナイフ一本あればなんとかなるしなぁ……」
テクテク……
曜「ていうか、その前に先立つものが無いよね……。千歌ちゃんに至っては無一文だし。私も銅貨が何枚か……。まずはお金を稼ぐとしますか」
町人「でねー?♪」
町人「アハハッ♪そーなのー?♪」
曜「♪」スタスタ
ヒュヒュンッ
町人「きゃあっ!///」
町人「やだっ///エッチな風///」
曜「〜♪」スタスタ
曜「食料……じゃない!!先立つものゲット〜♪あと何枚か盗んで、防具屋さんに売ってお金にしよーっと♪千歌ちゃんいなくてよかったー♪」ビューン
千歌side
【ステータス異常無効】
【咆哮】
【体操技能】
【ぱふぱふ】
千歌「……………………ろくなスキル無いよね。体操技能って……この身体で体操なんかしたら自然災害だよ……。あーあ……」
ゴロン……
千歌「なんで……巨人に生まれ変わったんだろ……。これじゃただの怪獣だよ……」
千歌「みんなに……会いたいな……」ボソッ
ザッ……
ザッ……
千歌「?」ムクッ
???「こんにちは♪」
千歌「こんにち……は……?」
???「ちょっとお話……いいですかぁ?♪」
曜side
【防具屋】
店主「……………………」
曜「♪」ワクワク
店主「目をキラキラさせてどれだけ高く買い取ってくれるかなぁ……みたいな期待を抱いてるとこ悪いんだけどね……。私も長いこと防具屋を営んでるけど、盗んだパンツを売りに来たのはあなたが初めてよ……」
曜「脱ぎたてですよ」
店主「厳密には脱がしたてよね?【鑑定】したらすぐわかった」
曜「いくらで買ってくれますか?」
店主「うん。あえて言うわね?買い取れるかこんなの!!!」
曜「嘘でしょ!?いらなくなった防具を買い取り・販売するのが防具屋さんでしょ!?」
店主「防具なら買うわよ!!どれだけ破損してても修復するわよ!!でもパンツだもの!!盗んできたパンツだもの!!」
曜「いやでもこれ……あれですよ!!?呪われた防具ですよ!?装備するとなんかこう……変な気分になりますよ!?」
店主「あなたのさじ加減じゃない!!変な気分ってそれ呪われてないわよ!!あなたの性癖が歪んでるだけじゃない!!」
曜「せっかく調達してきたのに……」ガックリ
店主「そんな苦労したのにアピールしてもダメよ。ていうか盗品でしょこれ」
曜「これを売ったお金で買い物しようと思ってたのに……」
店主「せめて闇市かフリマで売りなさいよ。なんで防具屋に来たのよ」
曜「パンツって人類が生み出した最強の防具じゃないですか」
店主「単にパンツが好きなのね」
曜「はあぁ……」ガックリ
店主「……事情はわからないけど、この町であんまり悪さするのはやめておきなさい」
曜「?」
店主「この【鳥の町】にはね、かつて世界を救った九人の英雄の一人……《白の姫君》がいるんだから」
曜「白の……姫君?」
店主「目を付けられたらおやつにされちゃうわよ」
曜「おやつでもなんでもいいよ……。はあぁ……千歌ちゃんにみかん買ってあげられない……」
店主「まあ……そんな気を落とさないで。パンツは買い取れないけど、お金持ってきたら、この店の防具を安く売ってあげるから。どんなのが欲しい?」
曜「巨人族の女の子を一撃で《ピー》出来るようなペニバ……防具を」
店主「帰れ」
曜「追い出されちゃった……。それにしても……《白の姫君》か……」
ヒュウウウウ……
曜「その人のパンツなら高く売れるかな」
千歌side
千歌「えっ……と?」
???「巨人かぁ……♪この辺りじゃ珍しいね♪どこから来たの?」
千歌「あ、えっと……あっちの方から……」
千歌(なんだろこの人……。私が怖くないのかな……。フード被ってて顔はわかんないけど……なんか普通じゃない感じがする……。さっき見付けたスキルでちょっと視てみようかな……。【鑑定】ッ!!)ヴンッ
キンッ
千歌「あ、あれ?」
???「クスクス……♪【鑑定】のスキルを使ったんだね♪」
千歌「えっ?あのっ……」アセアセ
???「クスクス♪いいよ別に。けどゴメンね♪【鑑定】とか……そういう魔法関連のスキルは、全部効かないんだぁ♪」
千歌「効かない?」
???「フフッ♪」パサッ
千歌「ぁ……」
ことり「はじめまして♪私の名前はことり♪魔法使いです♪よろしくね、巨人さん♪」ニコッ
――――――――
???「……………………」
ザッ……ザッ……
曜side
ヒュンッ
町人「きゃっ///」
ヒュヒュンッ
町人「ああんっ///」
曜「いやー大量大量♪防具屋さんには注意されたけど、やっぱり手っ取り早く稼ぐにはこれだよね♪」ホクホク
ピタッ
曜「……?」クンクン
曜「……なんだろ。今なにか、変な匂いが……」
曜「……………………クンクン。パンツじゃないや」
千歌side
【ことりの家】
ことり「さあ、どうぞ♪入って入って♪」
千歌「入ってって……さすがに私は……」
ことり「あーそっか……じゃあ、お天気もいいし外でお茶にしよ♪今イスを作るからねー♪」
千歌「作る……って……」
ことり「えーいっ♡」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
千歌「森の木が……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴ……
ことり「んっ♪これくらいかなー♪」
千歌「森の木が成長してイスに……なにこれ……」
ことり「魔法を見るのは初めて?これくらいは魔法使いならわりと出来るよ♪さ、お茶にしよ♪」
千歌(わりとって……。魔法のことはなにも知らないけど……森一つ操れるなんて……この人何者なんだろう……)
ことり「あ」
千歌「?」
ことり「そういえば、まだ名前を訊いてなかったね」
千歌「あ、はい。私、千歌です」
ことり「千歌ちゃんか……いい名前だね♪」
ことり「♪」ヒュン
スィー……
トポトポ……
千歌(指先一つでポットやカップを操ってる……)
スゥー……コトン
ことり「召し上がれ♪とびきりのンミ茶だよ♪」
千歌「いい匂い……///」
ことり「フフッ♪あ、でもそのサイズだと飲みづらいよね」指パチンッ
ボンッ!
千歌「うわぁっ!?カップが大きくなった!!?」
ことり「クスクス♪大きくなったんじゃなくて、元の大きさに戻ったんだよ♪これは元々、巨人族用のカップだから♪それを魔法で小さくしてたの♪」
千歌「魔法で小さく……って!!お姉さん、小さくする魔法が使えるんですか!?」ゴオッ!
ことり「ひゃっ」
千歌「あわわわわっ!!ごっ、ゴメンなさい!つい大きな声出しちゃった!!」
ことり「スゴいね♪ドラゴンの咆哮みたいだった」クスクス
千歌「お恥ずかしい……///いや、そうじゃなくて!!お姉さん!!」
ことり「ことり♪」
千歌「あ……っと、ことりさん!!小さくする魔法が使えるんですか!?」
ことり「うん?使えるよ?」
千歌「あのっ!!私――――――――」
事情説明
ことり「ふーん……普通になるために小さく……」
千歌「はい……。それで、ことりさんは小さくする魔法が使えるんですよね!?だったら!!」
ことり「残念だけど……ことりには出来ないよ」
千歌「え……」
ことり「エクストラスキル……【質量保存の法則崩壊】。このスキルはね、物質……無機物の質量を自由に変えられる魔法。つまり生物には効かないの。期待させてゴメンね」
千歌「いいえ……。でも、そっか……」
ことり「身体の大きさを変える魔法……言い換えれば、生命そのものに関与出来る魔法なんて、この世界では限られたごく一部の魔法使いにしか使えないよ」
千歌「はい……。ことりさんは、心当たりはありませんか?そんな魔法を使える人に……」
ことり「うーん……」ズズッ
千歌「……………………」
ことり「医療系スキルを極めた白魔導師とか、ドルイドの薬師になら心当たりはあるけど……人体に直接作用する魔法を使えるってなると……」
千歌「やっぱり……いませんか?」
ことり「……実際に使ってるところを見たことはないけど、可能性があるとするならやっぱり……」
千歌「!!」
???「お話中、失礼」
千歌「!?」バッ!
ことり「……………………」ズズッ
二人の会話を遮るように現れたその人物……
それは……
安価下2
Aqoursメンバー(千歌、曜を除く)
梨子「……………………」
千歌「梨子……ちゃん!?」
梨子「……………………」
千歌「梨子ちゃん……梨子ちゃんだよね!?私だよ!!千歌!!覚えてる!?私のことわかるよね!?」
梨子「……ええ。久しぶりね、千歌ちゃん」
千歌「また会えるなんて思ってなかった!!梨子ちゃんもこっちの世界に転生してたんだね!!」
梨子「まあね」
ことり「……………………」
千歌「奇跡だよ!!じつはね、曜ちゃんも一緒なんだ!!今は町に行ってるけど……少ししたら帰ってくると思うんだ!!だから……」
梨子「ゴメンね、千歌ちゃん」
千歌「へ?」
梨子「もうあなたたちとはいられない」スッ
シャキン……
千歌「なん……えっ?それ……鎌……?なんでそんなの……」
梨子「なんでもなにも……私は……」
梨子のクラスは……
安価下1コンマ
奇数→死霊術師(ネクロマンサー)
偶数→闇乙女(ダークヴァルキリー)
梨子「命を……刈り取る者だから」
千歌「命を……刈り、取る……!?」
ことり「ズズッ……」
千歌「……!」
コトン……
ことり「闇乙女……ダークヴァルキリーのクラスだね。そんなクラス……十年前の大戦以来なんじゃないかな。梨子ちゃん……だっけ?あなたみたいな魔族が地上に現れるのも……ね」
千歌「魔族……?」
ことり「強大……そして凶悪な魔力を宿した邪悪の一族。世界を滅亡させる思想を持つ異分子として、各国の総力を結集させた軍勢を以て、十年前の大戦で封印した……はずだけど?」
梨子「ええ。そうですね」
ことり「……………………」トポトポ……
梨子「天空魔導師(スカイソーサラー)……《白の姫君》と謳われる救世の女神が一人……ことり。私がここに来た理由はわかりますね」
ことり「さあ?」ズズッ……
梨子「我らが偉大なる君主、魔王様復活のため……あなたの持つ鍵を渡しなさい」
ことり「……………………」
千歌「魔王……?鍵……?なに言ってるの……?わかんないよ……!それにそんな物騒なもの翳して……それじゃあまるで……梨子ちゃんがことりさんを襲いに来たみたいじゃん……!」
梨子「ちゃんと状況が把握出来てるじゃない。それだけわかっていれば充分よ。あなたが何かを知る必要は無いわ」
千歌「梨子ちゃんッ!!!」ゴオッ!
ビリビリ――――――――!
梨子「……………………」
千歌「ハァッ……ハァッ……!!」
梨子「……あなたがなにを言いたいのか……どんな思いなのか。あいにく私は……」シュンッ!
千歌「!!!」
梨子「微塵の興味も無いわ」ブンッッ!
千歌「梨子――――――――」
ガギィン!!
千歌「!!!」
梨子「風の防御結界……」ギギギ……!
ことり「ふぅ……」コトン
千歌「ことりさん……」
ことり「んっ……!っと、そろそろちゃんと相手をしてあげようかな」
キン!
スタッ……
梨子「ちゃんと……ですか」
ことり「うん♪ちゃんと♪話がつまらなすぎてンミ茶も飲み終わっちゃったもん♪」
梨子「……………………」
ことり「言いたいことは三つ。まず、魔王復活の話が本当だとして……それは絶対にありえない。ことりたちがいるから。二つ目、その本人を始末するために梨子ちゃんが来たんだよね?だとしたら役不足だよ」
梨子「……………………」
ことり「梨子ちゃんを含めてどれだけの魔族がが復活してるのかは知らないけど、挑む相手の力量を知ってるなら、単身で乗り組んでくるのは愚かじゃないかな?モンスターの軍勢を率いてくるなり、仲間を連れてくるなりのことはするべきだよ。でないと勝負にもならない」
梨子「不快な物言いです」
ことり「それから……最後」
千歌「……!」
ことり「二人の関係は知らないけど……千歌ちゃんの口振りを察するに、きっと友だち同士だったんだよね?……なのに、梨子ちゃんは千歌ちゃんに刃を向けた。その意味を……理解してるのかな?」ニコッ
ゴオオオオオッ!
千歌「!!」
梨子「ッ!!」
ビュオオ……ビュオオオオオッ!
ことり「不快……だっけ。それはこっちのセリフだよ。あんまり舐めたマネしないで。でないと……ことりのおやつにしちゃうぞ♡」
果たして曜ちゃんはこんなのからパンツ盗めるのか・・・
やっぱりちゃんとことりのおやつにする必要があるね♪
ちかっちはズボンなのかスカートなのかスパッツなのか
梨子「……随分な自信ですね。されどけして傲らず、油断や慢心が無いのはさすがと評しましょう。けれど……こうは考えられませんか?」
ことり「……………………」
梨子「愚者の特攻でも……ただの様子見でもなく……。ただ単純に……」スッ
ズッ……ズズズ……
千歌「なに……これ!!周りの影が……梨子ちゃんに集まっていく……!!」
梨子「私にあなたを相手に出来る程の力があると……ッ!!!」ブンッッ!
ズガガガガガガガガ!
千歌「ッ!!!ことりさんっ!!!」
ことり「……………………」指パチンッ
ビュオオオオオォォォッ!
千歌「ぅあっ!!」ズシィン!
グラグラ……
梨子「……………………」
ことり「で?」ニコッ
ことり「こんなもの?大口を叩いたわりに大したことないね」ニコニコ
梨子「魔導師クラスの最高位が一つ、天空魔導師(スカイソーサラー)……その固有スキル……【女神の風】。大気を自在に操るエクストラスキル。話に聞いた以上の威力です」
ことり「……………………」
梨子「太陽が昇っている時間なら……まあこんなものですか。これくらいだと言うのなら容易そうですね。あなたの首を持ち帰るのは」スッ
ことり「首どころか……髪の毛一本だって触れないよ」スッ
ズズズ……
ビュオオオオオッ!
梨子「……………………」
ことり「……………………」
千歌「待って!!!」ゴオオッ!
ビリビリ――――――――!
ことり「きゃっ」
梨子「……………………」
千歌「こんなのダメだよ!!絶対におかしいよ!!梨子ちゃんは……梨子ちゃんはそんな子じゃなかったじゃん!!ピアノが好きで……おしとやかで……それで……同じ仲間だったじゃん!!!」
梨子「聴いてなかったの?もうあなたに興味は無いのよ。仲間……友だち……いつまでそんなつもりでいるの?昔と今とは違うじゃない。私は魔族……あなたは巨人でしょ?なんでそれで今までと変わらないって思えるの?」
千歌「……!!」
梨子「昔どうだったろうと……私の前に立ち阻かるならあなたは敵でしかない。はっきり言わなきゃわからないのなら……望み通りそうしてあげる。邪魔立てするなら…………殺すわよ」
千歌「ッ!!!」ゾクッ
千歌(冷たい眼……。凍えるような声……。全部が私の知ってる梨子ちゃんとは違った……。手が震える……。目の奥が熱くなる……。今まで梨子ちゃんに思ったことのない感情が生まれたのがわかった……)
怖い――――――――
千歌「梨子……ちゃん……」
梨子「……………………」
怖い――――――――
怖い――――――――
怖い――――――――
それでも……
千歌「それでも……私は……」
梨子「……チッ」トンッ!
ことり「しまっ――――――――」
梨子「死ね」ブンッッ!
梨子ちゃんのことを――――――――
友だちだって――――――――
思ってる――――――――
ヒュンッ
梨子「!!!」
スタッ
スタッ
???「へー。魔族のパンツってこんなのなんだ。スッケスケの黒♪見かけによらず結構エッチなの履いてるんだね、梨子ちゃん♪」ヒラヒラ
梨子「……誰?」
???「誰?やだなぁ。ちょっと会わなかっただけでもう忘れちゃったの?」
千歌「!!」
ことり「……?」
???「♪」ニヤッ
曜「通りすがりのパンツ泥棒です♪」ゞ
梨子「……………………いや本当に誰よ」
曜「あ、いや……曜です。えっと……梨子ちゃんの友だちの」
梨子「友だちだった曜ちゃんはパンツ泥棒じゃないわ。いい笑顔でパンツいっぱいの籠を背負ったりしないわ」
曜「違うよ!これは旅の資金なの!」
梨子「パンツじゃない」
曜「ちょっと千歌ちゃん!このエッチな格好の梨子ちゃんに一言言ってやってよ!!」
千歌「曜ちゃんのバカぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドガアアアアアアアアアン!
梨子「ッ!!?」バッ!
曜「ぐはあああああああ!!!」
ことり「……………………」ポカーン
曜「いたた……ええっ!?なんで怒られたの!!?千歌ちゃんのピンチ救ったのに!?」
千歌「うるさいパンツ泥棒!!!そのパンツの山はなに!!?」
曜「いや……これ売ってお金にしようと……。防具屋さんでは売れなかったけど……」
千歌「なのに集めたの!!?ていうか誰のパンツ!!?」
曜「町の人のだけど……」
千歌「普通に泥棒じゃん!!最低!!」
曜「町の人のパンツ全部盗めたことをむしろ評価してほしい」
千歌「町の人全員ノーパンなの!!!?なにその町!!!なんの性癖!!!?」
曜「いやーハッハッハッ」
千歌「笑い事じゃないよ……。でも……ありがと。助けてくれて……。ちょっとだけ……ヒーローみたいだったよ///」
曜「エッヘヘ///」テレテレ
千歌「でも、よくここがわかったね」
曜「え?あー……」
千歌「曜ちゃん?」
曜「いやーそのー……町の外れにさ……。《白の姫君》って呼ばれるスゴい魔法使いがいるって話を耳にしまして……」
ことり「?」
曜「その人のパンツなら……その……高値で売れるんじゃない?みたいな?アハハハハハハ……」
千歌「死ねえええええええ!!!!!」
ドガアアアアアアアアア――――――――ン!
曜「ぐっはあああああああああああああ!!!!!」
曜「」ピクッ……ピクピクッ
千歌「フンス!!」
梨子「……………………」パンツハキハキ
梨子(私からあっさりとパンツを盗んだ……。大きさは普通の人間と変わらないみたいだけど、あれは紛れもなく小人族特有の追い剥ぎスキル……。クラスは……盗賊(シーフ)……?レベルは並みなのに、スキルの使い方が異常に巧い……なんなのいったい……。それに……)
千歌「まったくもう!!!」プンスコ
梨子(Lv999……一部のスキルもカンストしてるですって……?そんなの……ただの巨人族じゃ絶対にありえない……。おそらく……)
ヒュンッ
曜『♪』
梨子(あのとき止めに入らなくても、千歌ちゃんは無傷だった。それどころか……)
千歌『死ねえええええええ!!!!!』
ドガアアアアアアアアアン!
梨子(……命拾いしたのは私の方か)
梨子「……………………」キン
千歌「!」
ことり「鎌を下ろして……降参のつもりかな?」
梨子「興が削がれました。この続きはまたいずれ……。邪魔が入らないときに……」チラッ
千歌「!」
曜「いててて……」
梨子「千歌ちゃん。曜ちゃん」
千歌「……………………」
梨子「あなたたちがどう思おうと、私はもう……あなたたちを友だちだなんて思ってない」
曜「……………………」
梨子「今回は見逃してあげる。けど、次は無いわ」クルッ
千歌「待って……梨子ちゃん!!」
曜「ずいぶん……らしくないこと言うじゃん」
梨子「……………………」ピタッ
曜「次は無いとか……死ねとか……なんとも思ってないとか……言葉が薄っぺらいよ」
梨子「なにが言いたいの?」
曜「生きる熱さを感じないんだよね。梨子ちゃんの本気をさ。殺すとか言っておきながら、さっきからずっと隙だらけだよ」つパンツ
梨子「!!!」バッ!
ジャキン!
千歌「曜ちゃんッ!!!」
ブワッ――――――――!
曜「……………………」
梨子「……………………」
ヒュウウウウ……
曜「ほら、殺さない」
梨子「パンツ泥棒なんていつでも殺せるってだけの話よ」
曜「こっちのセリフだよ。梨子ちゃんのパンツなんか……いつでも盗める」
曜「粋がるのは梨子ちゃんの自由だけどさ……。千歌ちゃんに手出すなら……盗むよ、梨子ちゃんの命」
千歌「……!」
梨子「……パンツ泥棒にしては、心地のいい殺気を放つじゃない」
ピリッ……
曜「……………………」
梨子「……………………」
スッ……
梨子「【黒翼】」バサッ!
バサッ……バサッ……!
千歌「梨子ちゃんッ!!!」
梨子「さよなら」
バサッ――――――――!
千歌「梨子ちゃあああああああああん!!!!!」
カッコつけてるけどやってること変態なんだよなぁ・・・
ことり「……………………」
千歌「梨子……ちゃん……」
曜「梨子ちゃん……行っちゃったね……。パンツ忘れて」つリコチャンノスケスケオパンツ
千歌「グスッ……」
曜「千歌ちゃん……泣かないで。はいこれ。涙拭いて」
千歌「それ……梨子ちゃんのパンツ……」
――――――――
――――
――
ことり「そっか……。三人は前の世界で友だちだったんだ……。運命は残酷だね……」
千歌「どうすれば……梨子ちゃんにわかってもらえるんだろ……」
曜「力ずくでとか?千歌ちゃんなら勝てると思うけど」
千歌「梨子ちゃんを殴れってこと?」
曜「……無理だよね、やっぱり。私もああ言ったけどさ……」
千歌「……………………」
ことり「魔王の復活……梨子ちゃんはそのために必要な鍵を集めてる」
曜「鍵?」
ことり「かつて魔王と魔族を封印した救世の女神……《μ's》。ことりはその九人の中の一人。そして……梨子ちゃんが狙ってた鍵っていうのは、ことりたちの魔力そのもの」
千歌「魔力そのもの……?」
ことり「一人一人指紋が違うように、魔力の波長と強度も一人一人違う。封印魔法は、一部の例外を除いてはかけた本人にしか解除は出来ない。それが九人が全魔力をあげて造り上げた封印魔法ならなおさらね」
曜「それじゃあ、ことりさんたちが自分の意思で封印を解かない限り大丈夫ってことですか?」
ことり「本当ならね。ただ……」
曜「ただ?」
ことり「言ったでしょ、例外を除いては……って」
千歌「その例外って?」
ことり「現状ではまず考えられないけど……梨子ちゃん側に、封印を解除出来るエクストラスキル【超高度解析】の所有者と……もしくは魔法そのものを無効化するリミテッドスキル【魔力無効化】の所有者が存在する場合」
千歌「【超高度解析】……」
曜「【魔力無効化】……」
ことり「この二つに関しては、今のところ考えなくていいと思う」
曜「たしかに……そんなスキル持ちがいたら、ことりさんを狙う必要もありませんからね」
千歌「なるほど……」
ことり「それから……こっちはまだ可能性がある話だけど、魔力を吸収する特殊な鉱石を所持していた場合」
曜「魔力を吸収する鉱石?」
ことり「言葉の通りだよ。魔力を吸収し内部に貯蓄することの出来る稀少な鉱石が、百年に一度……海を渡った大陸のどこかに降るんだよ」
千歌「百年に一度……」
ことり「あまりの稀少性に市場に並んだことはないし、実物を見た人も数える程度しかいないじゃないかな。なんせ魔力を吸われるからね。魔力の無い、普通の人間にしか使えない」
曜「じゃあ、梨子ちゃんたちがそれを手に入れる……もしくは手に入れてるってなると、人間の協力者が必要になるんですね」
ことり「そういうことだね。まあ……魔族に協力する物好きな人がいるかどうかはわからないけど」
千歌「……やっぱり、魔族は敵ですか?」
ことり「……………………」
曜「千歌ちゃん……」
千歌「難しいこととか……この世界のこととか……まだなにも知らないけど……。それでもやっぱり……私は梨子ちゃんとは戦いたくない……」
ことり「……梨子ちゃんがどうとかじゃない。けど、長い歴史の中で魔族が人を傷付けてきたことは確かだよ。家を焼かれて……親を引き裂かれて……国を滅ぼされて……数えればキリが無い」
千歌「……………………」
ことり「たとえ前の世界で、梨子ちゃんがどれだけイイ子で……二人がどれだけ梨子ちゃんのことを好きだったとしても、魔族である梨子ちゃんにはそういう血が流れてる」
千歌「……………………」
曜「千歌ちゃん……」
千歌「……………………」グッ
曜「……………………」
ことり「二人には関係の無い話……これ以上は首を突っ込まない方がいい……」
千歌「っ!?」
曜「そんな!!だって梨子ちゃんが!!」
ことり「って……本当はそういうべきなんだろうけど……」
千歌「?」
ことり「狙われてるのが《μ's》な以上……どうしても二人は関わらざるを得ないの」
曜「どういう……ことですか?」
ことり「二人が探してる魔女……人体の質量を変えるほどの超魔法を使える……ううん、創れる魔法使いは……この世界にただ一人だけ。創造者(スピリチュアルメイカー)のクラスを持った、《μ's》きっての大魔法使い。《紫の魔女》……名前は……希ちゃん」
曜「魔法を創れる……」
千歌「魔法使い……?」
ことり「希ちゃんは……この世の理を超越した最強の魔法使い。読んで字の如く、たった一人で世界の魔法文明を百年進めた先駆者(パイオニア)」
曜「ぱいおつマニア……」
千歌「」ブチッ!
ドガアッ!
曜「」ピクピク……
ことり「えっと……」
千歌「続けてください」
ことり「あ、うん……」
ことり「希ちゃんなら二人が求める魔法を創れる。逆に言うと、希ちゃん以外にそんな魔法を創れる魔法使いは存在しない。だから……」
千歌「イヤでも……《μ's》を狙う梨子ちゃんと関わることになる……」
ことり「そういうこと」
千歌「じゃあ私たちは、梨子ちゃんより先に希さんに会わなきゃいけない……ってことですよね」
ことり「そう……なんだけ、ど……う〜ん……」
千歌「う〜ん……?」
ことり「希ちゃん……ね。昔から自由奔放なところがあって……掴み所のない浮雲みたいな子っていうか……同じところに三日ととどまらない癖があって……その……」
千歌「?」
ことり「《μ's》のメンバーでも……居場所わからない……」
千歌「」チーン
曜「」ピクピク……
――――――――
ビュオオオオ!
梨子「……………………」バサッ! バサッ!
千歌『梨子ちゃんっ!!!』
梨子「……………………」
バサッ!
梨子「!」ピタッ……
???「……………………」
梨子「誰かと思えば……。なんの用?」
梨子の前に現れたのは……
安価下2
二年生組を除くAqoursメンバー
梨子「果南ちゃん」
バサッ……バサッ……
果南「フフッ♪べーっつにー?ただ、救世の女神を相手にむざむざと引き下がってきた負け犬がどんな顔をしてるのか……ちょっと気になってさー♪」
梨子「負けたつもりはないわ。予定外の邪魔者が入った。それだけよ」
果南「弱い人ほどそう言うんだよねー。言い訳は見苦しいよ?梨・子・ちゃん♪元気付けにハグしてあげよっかー?♪」ニヤニヤ
梨子「ハグ?冗談でしょ?そんな磯くさい身体に抱き着かれるなんて……考えただけで吐き気がするわ」
果南「相変わらず口だけは達者だね。その口さ……今すぐ閉じさせてあげてもいいんだよ」
梨子「あなたには無理よ。何故って?私の方が強いから」
果南「決めた……。今すぐ肉塊に……ハンバーグにして大葉と大根おろしを添えてやるよ……」ガギッ……ゴギッ……!
梨子「力だけのゴリラが……調子に乗らないことね……」スッ
果南「……………………!!!」
梨子「……………………!!!」
ゾワァッ――――――――!
梨子「ッ!!!?」ビクッ!
果南「ッ!!!?」ゾクッ!
???「やめろ」
梨子「――――――――ッ」ガタガタ……
果南「……………………!!!」ブルッ
リアルな死の恐怖を刻み込む……圧倒的なプレッシャー……
一言で二人を鎮静させたその人物は……
安価下2
Aqours一年生組の中から(口調関係無し)
花丸「……………………武器を収めろ」
梨子「ッ!!!」バッ!
果南「ッ!!!」バッ!
花丸「……………………♪」スゥー
ポンッ
ポンッ
花丸「二人ともわかってくれてよかったぁ♪聞き分けのいい子は好きずらぁ♪」ナデナデ
梨子「――――――――ッ」ガクガク
果南「――――――――ッ」ブルブル
ナデ……
花丸「まあ……あと0.1秒、武器を収めるのが遅かったら殺してたけど」
梨子「――――――――」
果南「――――――――」
スッ……
花丸「お前たち二人の命を散らすのに……手間も躊躇いもあると思うな。言ってみろずら……お前たちの命の価値……その意味を」
梨子「はっ!!全ては我らが王のために!!」
果南「全ては魔族の安寧のために!!」
花丸「そう……。お前たちも、マルも……魔王様によって生かされているだけの木偶人形。仕え、奪い、屠り、滅ぼし……最後には壊れ……無と還る。それこそが意味であり、マルたちの絶対の存在理由ずら」
花丸「無駄に散らしていい命じゃない。仲間内で争うなど愚の骨頂……。死にたければ死ぬがいい……しかし、そのときは魔王様の礎となって死ぬずら」
梨子「承知しております!!」
果南「私たちの命は……全て魔王様のものでございます!!」
花丸「……わかればいいずらっ♪」ニパッ
果南「……………………」ホッ
花丸「ときに……梨子ちゃん」
梨子「ッ!!!」ビクッ!
花丸「《μ's》襲撃の件……勝てなかったのはね、仕方ないと思うよ。梨子ちゃんも本気を出せなかっただろうし……梨子ちゃん一人でどうにかなるとも思えなかったし、大して期待はしてなかった。それはいいんだ。でもさ……」グリン!
梨子「ひっ!!!」
花丸「独断専行は……見逃せないよ」
梨子「申し訳――――――――」
ドガァァッ!
梨子「が……は――――――――」
逆に後で千歌側で登場してもおいしそうだけどね善子のキャラ
花丸「やる気は認めるけどね……」ドゴッ!
梨子「ぁ――――――――」
花丸「一言くらい相談があってもよかったんじゃないかな?」バキィ!
梨子「ぁが――――――――」
ガシッ!
花丸「それともそれは、魔王様への有り余る忠誠心が故……だったずら?それならいいけど……限りある命を無駄にするなって……もっとわからせてあげる必要があるね」ギリッ……ギリッ……!
梨子「は……ぁ――――――――」
果南「梨子ちゃん!!花丸様、どうか御慈悲を!!!」
花丸「弁明があるなら聴くずらよ」
梨子「ぁ……あ――――――――」
花丸「……………………」ギリギリ……
梨子「つ……ぎは……………………」
花丸「次は?」
梨子「つぎ……はっ……!!!必ず……ッ!!!」キッ!
花丸「……………………」
スッ
梨子「げほっ!!!げほっ、がはっ!!!はぁっ……!!はぁっ……!!!」
果南「……………………ッ!!!」
花丸「よろしいずら。なら話せ。《白の姫君》のところで……いったいなにがあったのか」
梨子「……ッ、はい」
――――――――
――――
――
果南「千歌と……曜ちゃんが……?」
花丸「……………………」
梨子「ええ……」
果南「Lv999の巨人族に……得たいの知れない小人族の盗賊(シーフ)……。また妙なものに転生したね、あの二人は」
梨子「それを言うなら私たちもでしょ」
果南「たしかに……」クスッ
梨子「花丸様……いかがなさいますか?」
花丸「……答えはもう決まってる。邪魔なら殺せ。害するなら滅ぼせ。愛だの情だのしゃらくさい……。相手が誰だろうと関係ない」
梨子「……………………」
果南「……………………」
花丸「過去を割り切れないのなら今のうちに言っておくよ。マルたちはもう……《Aqours》ではないずら」
果南「……………………はい」
梨子「わかっています」
花丸「ツラい思いをするなら自分たちで消せずら。マルたちはもう、過去には戻れないのだから」
――――――――
数日後
曜「よっと」ズシッ
千歌「ことりさん、いろいろお世話になりました♪」
ことり「ううん♪情報を集めてはみたけど、結局希ちゃんの足取りは掴めなかったし……」
千歌「他の《μ's》のメンバーなら、なにか知ってるかもしれない……でしたっけ」
ことり「うん。ここから東……山を一つ越えた先にある村に、ことりと同じ《μ's》のメンバーが住んでる。連絡はしておくから、ことりからの紹介だって伝えるといいよ」
千歌「本当に……なにからなにまでありがとうございます」
ことり「本当はことりも一緒の方が心強いんだろうけど……狙われてるのがことりたちな以上、一緒にいると千歌ちゃんたちに危険が及ぶ恐れが高まるから……」
千歌「充分です!ねっ、曜ちゃん」
曜「うんっ♪ことりさんのおかげで、【裁縫上手】と【お料理上手】のスキルも上達したし、これからはパンツを盗まなくても稼げるよ♪どんどんパンツを編むから」ゞ
千歌「なんでパンツ専門なの?呪われてるの?教会行く?」
ことり「道中気を付けてね」
曜「まあ、千歌ちゃんがいればなんの問題も無いですよ。なんせLv999ですから。モンスターの方から逃げ出しますよ」
千歌「なんか複雑……。そういう曜ちゃんは?」
曜「え?」
千歌「レベル」
曜「あー、そういえば気にしたことなかった。えっとね……」ヴンッ
安価下1コンマ
曜のレベル(00は100)
普通のRPG風の序盤なら高い方だけど比較対象が・・・
曜「ほいっ。Lv42だって」
ことり「……!!」
千歌「めちゃくちゃ低いね」
曜「いや千歌ちゃんと比べないでよ。千歌ちゃんと比べちゃったら誰でも低いよ」
千歌「私だって好きでこんな風にレベル高くなったんじゃないもん」プクー
ことり「……………………」
ことり(Lv42……!?村人なんかの人間の平均レベルは5……。並の武闘家でもLv15くらい……。戦闘力をほとんど持たない小人族にいたっては、平均レベルはそれをさらに下回るLv3ほど……。なのに……)
曜「アッハハハ♪ゴメンゴメン♪」
ことり(Lv42だなんて……王国の聖騎士や、魔力の高い天使族にも相当する……。普通の人間と変わらない身体のサイズに、梨子ちゃんのガードもすり抜けるほどの盗賊スキル……。この子はいったい……)
曜「……………………♪」ニコニコ
曜「レベルの話で思い出したんだけど、千歌ちゃんってクラスは?」
千歌「ほぇ?」
曜「私だったら盗賊(シーフ)でしょ?千歌ちゃんってレベルもスキルも高いし、クラスもスゴいクラスなんじゃない?」ウキウキ
千歌「んー、そうなのかな?ちょっと待ってね……【鑑定】!」ヴンッ
「――――――――」
千歌「あれ?」
曜「クラスが表示されない……」
千歌「なんで?」
曜「千歌ちゃんはクラス持ちじゃないってこと?ていうか、そんなことありえるの?」
千歌「え?なにかマズいの?」
ことり「マズいってことはないけど……普通、この世界に住む人たちは何かしらの職業……ジョブに属してて、クラスっていうのはその派生みたいなものなんだよ」
曜「同じ村人でも、農民とか漁民とか……まあそんな感じに幾つも分かれてるみたいな感じなんだけどね。職業に属してない人でも、旅人だとかのクラスは持ってるはずなのに……」
千歌「私は何者でもない……ってこと?」
曜「うーん……」
ことり「たぶん……きっと千歌ちゃんはまだ、この世界での自分の役割を見つけられてないんだよ」
千歌「自分の……役割……?」
ことり「やりたいこと、なりたいもの、やるべきこと……夢とか理想、この世界で千歌ちゃんが生きる意味……。それを自分自身が見付けてないから、クラスも反映されないんだと思う」
千歌「生きる意味……。私のやりたいこと……なりたいもの……か……」
ことり「巨人族の主だったクラスは、武装兵(アーマード)とか報酬をもらって雇われる傭兵(マーセナリー)、有名どころだと門番(ゲートキーパー)なんかも多いかな」
千歌「うーん……」ムムム……
曜「千歌ちゃんのスキルは、魔法使い向けっていうよりは戦士向けのスキルだったよね。身体能力アップ系なんかの」
千歌「それだと魔法使えない?」
曜「そんなこともないけど、スキルばっかりは努力と才能による開花がハッキリしてるから。魔法使い向きな人とそうじゃない人が一緒に修行するとしたら、センスのある人は一日、センスの無い人は何年もかかる場合だってあるんだよ」
千歌「ふーん……」
曜「まあ、稀にセンスの塊みたいな人もいるわけだけど。それはどの種族においても同じだよ」
ことり「巨人族は全ての種族の中で最も武力に長けてるからね。その力を必要としてる人は大勢いるよ。良くも悪くも……だけど。なにをやるにしても、それは千歌ちゃん次第ってところかな」
曜「まっ、とりあえずはいいんじゃない?今のままで。クラスを持ってなくて困るなんてこと滅多に無いし。そもそもクラスなんて、クラスを究めた人たち以外は結構頻繁に変わるものだし」
千歌「うーん……そっか。わかった。クラスはそのうちきっと見つかるよね」
曜「うん♪」
千歌「私たちがやらなきゃいけないことは、《紫の魔女》希さんに会って、身体を小さくする魔法を創ってもらうこと!そのために希さんの情報を集める!」
曜「先の長い旅になりそうだね……。希さんにたどり着くあても、他の《μ's》のメンバーくらいらしいし……。他に希さんの特徴とか無いんですか?」
ことり「んー……自由奔放で……でも抜け目は無くて、理知的で……この世界の誰よりも魔法使い足り得る存在で……。あとは……う〜ん……………………あ!」
千歌「なにか思い出しました?」
ことり「うん!希ちゃんはね、わしわしが大好き!」
千歌「へ?」
曜「わしわし?」
千歌「なにそれ?モンスター?」
ことり「もしも、行き先でわしわしされた……って人が現れたら、希ちゃんが近くにいる証拠だからすぐわかるからね♪」
千歌「わしわしって……」
曜「ふむ……なんだか心をくすぐられる響き……」
ことり「それじゃあまた♪ことりは二人とは違うルートで《μ's》のみんなのところに向かうよ。魔王復活の計画が水面下で動いているなら、それが浮上するまえにことりたちがなんとかする。だから……二人は二人の旅を続けてね♪」
千歌「はい!」
曜「ありがとうございました!」
ことり「うんっ♪それから……これはことりから……」ソッ
チュッ
曜「ぁ///」
ことり「♪」フワッ
チュッ
千歌「ひゃっ///」
フワフワ……スタッ
ことり「エヘヘ♡」
曜「おデコに……///」
千歌「チューされた……///」
ことり「二人の旅が実りあるものでありますように♡行ってらっしゃいの……魔法のキスだよ♡」ウィンク
ようちか「……//////」
ことり「♪」ノシ
千歌「ありがとうございましたー!」ノシ
曜「ヨーソロー♪」ゞ
千歌「エッヘヘ♪いい人だったね、ことりさん」
曜「うんっ♪まあ……盗んだパンツは一つ残らず町の人に返されちゃったけど……」
千歌「当然だよ!次泥棒したら海の向こうまで投げ飛ばすからね!!」
曜「私のアイデンティティ全否定じゃん」
千歌「私もクラス見つけるから、曜ちゃんも違うクラスに変えたらいいんだよ。ことりさんの天空魔導師(スカイソーサラー)みたいなの」
曜「無理だよ〜」
――――――――
――――
――
ことり「……………………クスッ♪がんばれ、二人とも♡」
ソヨソヨ……
ソヨソヨ……
ことり「さて、ことりも行こうかな。懐かしい……みんなのところに」
千歌 Lv999
種族:巨人族
クラス:???固有スキル:???
曜 Lv42
種族:小人族
クラス:盗賊(シーフ)固有スキル:追い剥ぎ(パンツ限定)
梨子 Lv???
種族:魔族
クラス:闇乙女(ダークヴァルキリー)固有スキル:???
果南 Lv???
種族:魔族
クラス:???固有スキル:???
花丸 Lv???
種族:魔族
クラス:???固有スキル:???
数日後
千歌「おおお〜!」キラキラ
曜「フフン♪」
千歌「もう一回!もう一回やって!」
曜「いいよー♪」ヒュオオオ……
曜「うりゃっ♪」バシュッ!
パキッ
ヒュウウウ……
曜「よっと♪」パシッ
千歌「スッゴいね!!曜ちゃんてそんなこと出来るんだ!!」キラキラ
曜「いやいや〜♪指先に風を集めて木になってる果物を落とすくらい余裕だって♪はい、フリリンゴ♪」つ🍎
千歌「シャクシャク……曜ちゃんって魔法も使えるんだね。パンツ泥棒しか出来ないと思ってたよ」
曜「まあ、このくらいはね。私はどっちかっていうと魔法使い寄りの泥棒だから。ことりさんクラスの魔法はさすがに使えないけど。このくらいならわりとみんな使えるよ」
千歌「私にも出来るかな?曜ちゃんみたいに」
曜「魔法なんて言っちゃえばイメージ次第なところあるから簡単だとは思うけど、なんの訓練も修行もしてない千歌ちゃんがいきなりそんなことしたら、どんな被害が出るかわからないよ」
千歌「それもそっか」
曜「あと千歌ちゃんと私でタイプが一緒かどうかもわかんないし」
千歌「タイプって?」
曜「誰でも生まれつき、向き不向きな属性ってのがあるの。私は風。ことりさんと同じだよ」
千歌「ふーん……」
曜「よくわかってないでしょ」
千歌「うん。シャク……。フリリンゴおいしいね」
曜「今度これでアップルパイ焼くよ」
千歌「おー♪」
――――――――
――――
――
千歌「そういえばさ……」
曜「さ……さ……さしみ?」
千歌「しりとりじゃなくて」
曜「ゴメン。で、なに?」
千歌「私も曜ちゃんも、なんやかんやあってこっちの世界に転生したよね?」
曜「うん。なんやかんやあってね」
千歌「梨子ちゃんも同じだとして、他のみんなも転生してる……なんてことあったりしないかな?」
曜「みんなって……《Aqours》?」
千歌「うん」
曜「さあ……どうだろうねー……シャクッ」
千歌「もし転生してたとして……梨子ちゃんみたいに敵になることもあるのかな……」
曜「それも、さあ……だね」
千歌「むー……曜ちゃん、ちゃんと話聴いてる?」
曜「聴いてるって。ただ、それを話しても解決はしないんだろうなって……そういう風に思っちゃったからさ。みんなが転生してたとして、その内の誰かが敵になったとして……それで千歌ちゃんはどうするの?」
千歌「どうする……って……」
曜「千歌ちゃんは、どうしたいの?」
千歌「……………………」
曜「ねえ、千歌ちゃん」
千歌「……………………」
曜「……私は――――――――」
ガサガサッ
ようちか「!!」
微かな物音……
振り替えれば荷物を盗もうとする影が……
それは……
安価下1コンマ
奇数→小さなネコ
偶数→果南?
>>217
ただでさえ言動が四天王の一番手っぽいのに・・・ 果南?「……………………」
千歌「え、あれ……?」
曜「果南……ちゃん?」
果南?「……………………♪」ニコッ
ダッ!
千歌「果南ちゃんっ!!?」
曜「ちょっ!!私たちの荷物持ってった!!」
果南?「……………………」ダダダダ……!
千歌「っと!!追うよ曜ちゃん!!」
曜「うんっ!!」
タッタッタッタッ……!
???「……………………♪」クスッ
果南?「……………………」タッタッタッタッ!
千歌「待てぇ〜!!」ダダダダダ!
曜「なんで果南ちゃん、私たちの荷物持ってったんだろ!!」
千歌「知らないっ!!とにかく捕まえるの!!」ダダダダダ!
果南?「……………………」タッタッタッタッ!
曜「……!?巨人族の千歌ちゃんが追い掛けて……全然距離が縮まらない!?」
千歌「果南ちゃん、あんなに足速かったっけ!?」
曜「いやそんなはずないでしょ!!身体強化のスキル……!?いやいや……それだけで千歌ちゃんが追い付けないはずが……」
千歌「わかんないけど……普通じゃないのだけわかった!曜ちゃん、スピード上げるからしっかり掴まってて!!」
曜「わかった!!落ちないように千歌ちゃんのおっぱいに挟まって――――――――」
ガシッ!
曜「へ?」
千歌「うりゃあああああああああ!!!」ブンッッ!
曜「あああああああああああああ!!!!!」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
曜「なんで!!?なんで投げられたの!!!?」
千歌「うるさいセクハラヨーソロー!!!そのまま果南ちゃんを捕まえて!!!」
曜「いやこの勢いだと果南ちゃんごと吹き飛ぶ――――――――」
果南?「……………………」タッタッタッタッ……トンッ!
曜「なっ!!?」
千歌「跳んだ!!?」
果南?「……………………♪」ニヤッ
スタッ!
タッタッタッタッ……!
千歌「山へ逃げた!!追い掛けるよ曜ちゃん!!」
曜「いや私の心配してえええええぇぇぇぇ……」ヒュー……
千歌「あ……。……………………あとで合流しようね!!」ダダダダダ!
【妖精の住む山】
果南?「……………………」ガサガサッ!
千歌「果南ちゃんっ!!いい加減待ってってば!!」
果南?「……………………」クルッ
千歌「!!?」
果南?「……………………」ズザザッ……!
ダンッ!
千歌「こっちに向かって……!!?」
果南?「……………………」ヴンッ!
果南?「……………………」
果南?「……………………」
千歌「果南ちゃんが三人!!?」
果南?「……………………」ダンッ!
ゴオッ!
千歌「っ!!!」
果南?「……………………」ズザッ!
千歌「果南ちゃんが殴ってきた……!!?なにがどうなってるの……!?」
曜side
曜「あっ……ぶねええ……!!魔法使いよりの泥棒でよかったぁ……!!風で勢い弱められてよかった……!【受け身上手】のスキル持っててよかった……!!キレイに着地出来てよかった!!!」
タッタッタッタッ……!
曜「あんのでかっち……!!躊躇いも無しに人を大砲の弾みたいに投げ飛ばすか普通!!事が済んだら思う存分揉みしだいてやるからな!!」
タッタッタッタッ……!
サアァ……
曜「……?急に霧が深く……?」
スッ……
曜「……!!」ズザザァ!
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
曜「【分身】……違う。そこにいて……たしかにそこに在るのに、まるで命を感じない。これは……」
果南?「……………………」
曜「果南ちゃん……じゃないよね」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
曜「誰……?」
果南?「……………………」
曜「話が通じない?それとも言葉がわからない?……答えないならそれでもいいや」スッ
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
曜「本物だろうとそうじゃなかろうと……私の前に立つんなら、全員まとめてノーパンにしてあげるよ」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
果南?「……………………」シュバッ!
曜「!!」
果南?「……………………」ブンッッ!
曜「っと!!」
バキィッ!
曜(ただのキックで木をへし折って……!!ていうか躊躇無く蹴ってきた……!!)
バキベキッ……ズシィン
果南?「……………………」スタッ
曜「果南ちゃんならこのくらい素でやりそうだからなおさら違和感無い……けど……」ヒラヒラ
果南?「……………………」ピラッ
曜「甘いよ」
果南?「……………………」ダンッ!
ゴオオッ!
曜「せやっ!!」バッ!
ヒュウウッ
果南?「……………………」グイッ……
曜「とおおっりゃっ!!!」グググ……ブンッ!
ドガアンッ!
曜「フフン♪」
???(パンツでパンチを絡め取って背負い投げ……。【装備器用】と【柔術】のスキルの併用……かな。体勢を崩すときに風の簡易魔法も使ってた。あの子……戦い馴れてる。それにパンツを盗み馴れてる)
口調的に>>52で行かなかった街に居ただろう二人のどちらかかな? 果南?「……………………」ゴオッ!
曜「遅い遅いっ!!」ヒュッ!
シュッ!
果南?「……………………」ピラッ
曜「うりゃっ!!」ヒュウウッ……バシュッ!
ドオオン!
曜「大量大量♪」ホクホク
???(センスと性欲に任せた粗削りな戦い方……。一朝一夕に身に付けたものじゃないですね……。さて、もう一人の方は……)
千歌side
シュババババッ!
千歌「うわわわわわわ!!」
果南?「……………………」シュバッ!
果南?「……………………」シュッ!
果南?「……………………」ゴオオッ!
千歌「果南ちゃん!!やめっ!!やめてってばぁ!!!」
果南?「……………………」
千歌「もおおおおおおお!!!なんで襲ってくるのおおおおおお!!!」
???(戦う意識が無いうえに戦い方すら知らない……。ことりちゃんに、おもしろい子たちだって連絡を受けたけど……あれじゃあ……)
果南?「……………………」
ドガッ!
ドゴッ!
千歌「いっ……たくはない……むしろ痒いくらいだけ……どッ!!」ドンッッ!
果南?「……………………」
果南?「……………………」
果南?「……………………」
千歌「いい加減にぃ……!!!」キイィィィン……!
???(魔力を拳に!!!) 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
千歌「しろおおおおおおおおお!!!!!」ゴオオオオオッ!
果南?「――――――――」
ズガアアアアアアアアアアアア!
???「っ!!!」
シュウウウウウウウ……
千歌「はぁ……はぁ……ふん!!どうだ、果南ちゃんッ!!!」
シーン……
千歌「って……あ、あれぇ……?」ダラダラ
千歌「お、おっかしいなぁ……。果南ちゃんどころか……山も半分くらい無くなってるんだけど……あれえ……?」ダラダラ……
千歌「ま、まさか……山ごと果南ちゃんを吹き飛ばした……?」ダラダラダラダラ……
ポク……ポク……ポク……チーン
千歌「うわああああああああ!!?果南ちゃあん!!?生きてるよね!!?生きてるって言ってぇ!!!」
果南『千歌のパンチなんか当たらないよー♪』
千歌「ってその辺から出てきてえええ!!!軽い感じで登場してお願ぁぁい!!!あれっ!!?そしたら曜ちゃんも一緒に巻き込まれて……………………まあ曜ちゃんなら生きてるか」
曜「ちょっとは心配しようか!!!」
千歌「あ、生きてた」
曜「もう少しで死ぬところだったけどね!!!思わぬ形で!!!」
千歌「それはそうと果南ちゃんが!!!」
曜「それはそうと!!?千歌ちゃんの中で私の優先順位どうなってるの!!?」
千歌「果南ちゃーん!!!」
曜「もう……」ポリポリ
千歌「おーい!!!果南ちゃんてばー!!!」
曜「千歌ちゃん千歌ちゃん。たぶんあれ、果南ちゃんじゃないよ」
千歌「えっ?」
曜「私の方にも何人か果南ちゃんが現れて戦ったけど、全員がそれっぽくなかったもん。なんていうか、見た目は果南ちゃんそのもので、確かに実体はあったけど生きてる感じはしなかった。これは幻術だよ」
千歌「幻術?幻ってこと?果南ちゃんじゃない?でもたしかに……あれ……?」
曜「私たちは誰かに幻を見せられてたんだよ。それもただの幻術じゃない。実体を持つくらいの強力な幻術を」
千歌「実体を持った幻……。あれ?見せられてたって?」
曜「うん。その証拠に向こうに術師がいた。怪しかったからとりあえずふんじばったけど。とにかくその術師に話を聴いてみよ」
千歌「……?」
曜「さ、こっちだよ」
千歌「……ねえ。曜……ちゃん……?」
曜「ん?」
千歌「曜ちゃん……じゃ、ない……よね」
曜「は?なに言ってるの?どうしたの急に」
千歌「いや、ゴメン……。大して理由も無いんだけど……。なんとなく……そう思った……」
曜「なんとなくで偽者扱いするなんてひどいよ千歌ちゃん」プンプン
千歌「……………………」
曜「もー……まだ疑ってる……。そんなに疑うなら確かめてみたらいいよ。はい、なんでもどうぞ。身体チェックでも質問でも」
千歌「自分の名前は?」
曜「さっき千歌ちゃんが呼んでたじゃん。曜ちゃんって」
千歌「私の名前は?」
曜「それも呼んだ。千歌ちゃんってさ」
千歌「曜ちゃんの口癖は?」
曜「ヨーソロー♪」ゞ
千歌「どうやって私のとこまで来たの?」
曜「あんな大きな破壊に気付くなって言う方が無理だよ……」
千歌「果南ちゃんのこと、倒したの?」
曜「うん♪」
千歌「躊躇わなかった?」
曜「全然?♪」
千歌「果南ちゃんを倒したって証拠は?」
曜「証拠って……まあ、これとか?」つパンツ
千歌「そっか……」
曜「信じてくれた?」
千歌「うん。信じる」
曜「よかっ――――――――」
千歌「だから、間違ってたらゴメンね」
曜「!!!」
ブンッ!
ドガァァァァァァァァ!
パラパラ……
千歌「……………………」
ガラッ……
曜?「ひどいことするね。友だち相手に地形が変わるくらい殴りかかるなんて」
千歌「……………………」
曜?「一応訊くけど、わかった……わけじゃないんだよね」
千歌「うん。今でも曜ちゃんじゃない……みたいな確信の無い曖昧な気分だよ。曜ちゃんと話してる感じはするけど、どこかがなんとなく違う……って。さっき言ってた幻術ってやつ?スゴいリアルだね」
曜?「幻術と現実の区別もついてない……そんな根拠とも言えない理由で殴りかかったの?下手をすれば大怪我だったのに」
千歌「殴った理由ならあるよ。一つは本物の曜ちゃんだったとしても無事だっただろうし、ちゃんと避けたと思う。それに……」
曜?「それに?」
千歌「パンツを盗む泥棒なら殴っても赦されるでしょ」
もはや曜ちゃんがナチュラルボーンパンツキャラかのように錯覚する
曜?「形は歪でも……一つの信頼の在り方なのかな……。それは、私の知らない答えでしたよ」ニコッ
千歌「……!」
サアァァァァ……
千歌「霧が……」
千歌「……!!さっきまで見てた風景と違う……。吹き飛んだ山が元に戻ってる……。それに地面も抉れてない……。さっきまで戦ってたのが嘘みたいになにも起こってない……。これが……」
曜?「そう。私の幻術だよ」
千歌「!!」
サアァァァァ……
千歌「曜ちゃん……じゃなかった。身体が……」
曜?「目に見えたもの、聴こえたものも、触れたものも……全部がまやかし。五感は意味を成しません。そこに在るものが無い。無いものは在る。嘘と真実を曖昧にし、現実と虚構の境界を混濁させる」
サアァァ……
曜?「それが幻術使いである私……幻影妖精(ファントムフェアリー)のエクストラスキル、【女神の悪戯】」
千歌「……………………!!」
???「自己紹介が遅れましたね」
花陽「《μ's》……《緑の聖母》、花陽です。よろしくお願いしますね」ニコリ
千歌「《μ's》……あなたが……?」
花陽「ことりちゃんから話は聞いてるよ♪希ちゃんのことを訊きたいんだよね」
千歌「あ、はい……!希さんは今どこに……」
花陽「慌てないで♪色々と話したいこともあるし、ここじゃなんだからとりあえず私の家に行こっか。ご飯でも食べながらゆっくりお話しよ♪」
千歌「ご、ご飯?」
花陽「フフフ♪」
千歌(ことりさんもそうだけど……《μ's》の人たちってみんな、こんなにマイペースなのかな……。なんだかポワポワした雰囲気……お日さまみたい)
花陽「どうかした?」ニコッ
千歌「え?」
花陽「私みたいな人があんな幻術を使うなんて……かな?たしかにイメージは無いかもね」クスクス
千歌「うぇっ!?あ、いや……!」
花陽「イジワルだって思ったよね。大丈夫だよ。柄じゃないって言われるのは馴れてるから。けどね、これでも悪戯好きなんですよ?なんて言ったって、妖精族のエルフですから♡」
千歌「妖精族……」
千歌(巨人族に……魔族に……妖精族……。みんな人間っぽいのに種族は違うんだ。曜ちゃんも普通の人間みたいだけど小人族だし……)
千歌「って、あれ?そういえば曜ちゃんは……」
曜「おーい!!千歌ちゃーん!!」ノシ
千歌「曜ちゃ……んん!!?」
曜「おーい!!千歌ちゃ〜ん!!」ノシパンツ
千歌「パンツ振り回しながら大声で名前叫ばないで変態!!!」
曜「ひどいよ千歌ちゃん!!こっちは手強い果南ちゃんの幻影とやっとの思いで戦って勝ったっていうのに!!」
千歌「だからってパンツを戦利品にすることないでしょ!!」
曜「そこは小人族としての譲れない矜持がある」
千歌「本音は?」
曜「パンツ、大好き」
千歌「変態」
曜「ゾクゾクする」
千歌「もーパンツ泥棒とかやめてよー!!!」
曜「私がパンツ泥棒を辞めるとき……それは死ぬときだと思ってる」
千歌「やめろ!!」
曜「やめない!!!」
千歌「だよね!!うるさい!!!やめろ!!!!」
花陽「フフ、仲良しだね二人は♪」
曜「ん?誰?」
千歌「花陽さん。ことりさんと同じ《μ's》で、幻術使いだって。私たちが見てた果南ちゃんも、風景も全部幻だったんだよ」
曜「へえー」
花陽「ちなみに……♪」指パチンッ
パンt……
花陽「それも幻だったり♪」
曜「うわあああああ!!!パンツがぁ!!!果南ちゃんのTフロントがあああああ!!!!」
千歌「もう本当に……見苦しいから……やめてって……」
花陽「クスクス♪」
【米の村】
ワイワイ……
キャッキャッ……
千歌「ほぇー……山の中にこんなに人が……」
花陽「みんな私と同じ妖精族だよ」
曜「こんななんでもない山に、エルフの集落が……」
千歌「どうしたの?」
曜「エルフは他の種族と交わることを極端に嫌うって聞いたことがあるから、人里と離れてない場所に集落を作るのは珍しいなって」
千歌「あれ?それじゃあ私たち、ここに立ち入っちゃいけない?」
花陽「そういう意見もエルフの中にはあって、少なくとも今でもそういう悪習を慣わしにしている人たちもいるね。エルフは妖精族の中でも特に優れた魔力を持ってるから。昔からそれを他の種族に狙われてきたの。小さい頃から、妖精族以外の種族は敵だって教わってきた」
千歌「……………………」
花陽「クスクス……心配しなくても、ここに住む人たちはそんな偏見は持ってないよ。全ての種族はわかり合える……って、私は思ってる。だって私がそうだもん♪」
曜「《μ's》……ですか?」
花陽「そう。いろんな種族が集まって、手と手を取り、かつて《μ's》未曾有の危機に陥ったは世界を救った。そんな私の姿に感銘を受けてくれたのがここに住むみんな」
千歌「全ての種族はわかり合える……」
曜「……………………」
花陽「それと、なんでもない……っていうのは捉え方の違いだよ。悪意を振り撒く人はこの場所に近付けない。私の幻術が行く手を阻んじゃうから」クスッ
千歌「……………………」
花陽「さあ、こっちへどうぞ。家に案内します」
エルフA「あっ、お米のお姉ちゃんだ!」
エルフB「お帰りなさい、花陽さん」
花陽「ただいま、みんな」ニコッ
エルフC「花陽ちゃん、後でうちの田んぼの様子を見ておくれよ」
花陽「はい、また後で」
エルフA「お米のお姉ちゃん、その人たちはー?」
エルフD「おっぱいおっきー」
エルフE「花陽ちゃんよりおっきいー」
曜「でかみかんー」
千歌「曜ちゃん」
花陽「二人は私のお客様ですよ。私の友だちを探している……ね」
エルフAとエルフBがここあちゃんとこころちゃんに見えた
――――――――
――――
――
花陽「はい、どうぞ」つ
曜「……………………」
千歌「……………………」
花陽「外で食べるご飯はおいしいんですよー♡」
曜「ああ、はい……」
花陽「どうかしましたか?」
曜「なんていうか、家に招かれてお茶より先にご飯茶碗を出されたのは初めてなので……」
花陽「新米ですよー♪」
千歌「私の分まで……。お茶碗はことりさんが使ってたスキルと一緒だけど……」
花陽「エクストラスキル……【質量保存の法則崩壊】だね♪」
千歌「お茶碗に盛られたご飯は……」
花陽「丹精込めて炊きあげた純粋な山盛りご飯です」
千歌「何人前……」
曜「あ、おいしい」パクパク
花陽「フフっ♡」
曜「けふっ……」フゥー
花陽「おかわりは?」ニコニコ
曜「完全にお茶のおかわりの感覚で訊いてきますね……。二杯目に差し掛かった辺りでもう苦しいんですけど……」
千歌「ムググ……!」パクパク
曜「いくらでも食べられるからっておかわりし続ける普通?」
千歌「むおおおおおお!!」バクバクバクバク
花陽「いい食べっぷりだね♪」
曜「まあ……めちゃくちゃおいしかったけど……」
花陽「!」キラキラ
曜「いや、もうおかわりは……」ケッコウデス
花陽「……」ションボリ……パクパク……
曜「このお米……植物に精通するエルフの知識で育てたんですか?」
花陽「ムグムグ……それもあるけど、やっぱりお米の育て方は人間の方が上だよ。農家の人に全部教わって、そのノウハウに私なりのアプローチをかけて、それをこの村のみんなに広めたの。パクパク……」
曜「へぇ……」
花陽「モグモグ……あ、そんなことないと思うけどね、もし白米だけに飽きたら味を変えるといいよ」
千歌「ムグムグ?」
花陽「はい。メノ海苔と、シカコンブ」
千歌「パクパク……。モグモグ……んん、おいひい」
花陽「よかったよかった♪」
曜(千歌ちゃんはさておき、花陽さん……千歌ちゃん以上に食べてるなぁ……)
千歌「パクパク……花陽さん」
花陽「モグモグモグモグ……はい?」
曜「あ、食べながら話進めるんだ」
千歌「ングング……ゴクン。花陽さんはさっき、全ての種族はわかり合える……そう言いましたよね?」
花陽「モグモグ……ゴクン。うん、言ったね」
千歌「それは魔族とも……ってことですか?」
曜「……………………」
花陽「うん。私は……ううん、ことりちゃんや他のみんなも……少なくとも《μ's》の全員はそう思ってる」
千歌「……!///」
花陽「でも」
千歌「!!」
花陽「わかり合える……それが叶うにはね、片方だけが理想を口にしてるだけじゃダメなんだよ」
千歌「……………………」
花陽「言うまでもなく、世界っていうのは連綿とした"個"の繋がりで、平和っていうのは"個"が争いを好まない……または求めないのを前提として成り立ってる。パクッ……」
モグモグ……
花陽「ゴクン。……だけど、生きていればお腹が空くように、世界のどこかで大小問わない争いは絶えず起きてる。それなのに世界は均衡を保ってる。どうしてだと思う?」
千歌「それは……」
曜「争いを起こす人たちがいれば、争いを鎮める人たちもいるから……ですか?」
花陽「そう。その通りだよ。簡単な話……ケンカをすれば誰かが仲裁に入る……世界はそんな些細なことで調停されて平和を成しているんだよ。そしてもう一つ……」
千歌「もう一つ……?」
花陽「"悪意"っていうのが永遠じゃないから」
曜「悪意……」
花陽「お腹が空いたらご飯を食べる。ご飯を食べたら……パク。モグモグ……ゴクン。お腹がいっぱいになる。それと同じで悪意は永遠には続かないものなの」
千歌「……?」
花陽「一口に悪意って言っても、不快感から殺意まで様々だよ。だけど、どの悪意にもいつかは終わりがくる。極論だけどね、仲違いのケンカは仲直りすることで終わりが来るし、殺意は抱いた相手……もしくは抱いた本人が死ぬことで解消されるでしょ?」
千歌「……………………」
曜「本当に極論ですね……」
花陽「引き合いに出した喩えの問題だから深くは考えないでほしいけど……そのいつかは終わるはずのそれが、永遠に続く種族がたった一つだけ存在する。それこそが魔族」
千歌「……………………」
真面目に話してるのにお茶碗片手だと思うとなんか和むわ
花陽「奪えど足りず、壊せど足りず……終わり無き悪意の始祖、千年続いたとも謂われるぜん」
花陽「奪えど足りず、壊せど足りず……終わり無き悪意の始祖、千年続いたとも謂われる戦全種族の戦争の発端……。私たちがどれだけ歩み寄ろうと、頑としてそれを拒み、侵略と強奪を繰り返してきた」
千歌「なんで……」
花陽「理由の無い悪意は存在する。強いて言うなら、そういう宿命を背負った種族だから……かな。魔族はね……全ての種族の敵なんだよ」
千歌「ッ!!梨子ちゃんはそんな子じゃない!!」ガタッ!
グラグラ……
千歌「梨子ちゃんは……梨子ちゃんは……ッ!!!」
花陽「ことりちゃんにも言われなかった?二人の知ってる梨子ちゃんがどんな子だっただろうと……魔族にはそういう血が流れてるって」
曜「……………………」
千歌「……ッ」
花陽「梨子ちゃん……その反応を見ると、相当仲の良い友だちだったんだよね。梨子ちゃんのことも、魔族のことも……否定する気は無いんだよ。それでも……魔族が争いを求め続ける限り、わかり合える……そういう理想論だけじゃなにも変わらない」
曜「重みが違いますね……。女神の言葉は……」
花陽「大人が知る世界と、子どもが夢見る世界は違う。それだけだよ……パクッ」
千歌「どうすれば……」
花陽「パクパク……」
千歌「どうすれば梨子ちゃんに……魔族にわかってもらえますか?」
花陽「争うのをやめましょう……私たちは友だちになれます……って?」
千歌「……………………」コクン
花陽「その答えは誰も知らない。きっとそれは……ご飯に一番合うおかずはなんですか?って訊くのと同じくらい、難しいものだから」
千歌「……………………」
花陽「私は白米一択ですけどね」クスッ
千歌「……………………」
花陽「納得出来ない……そんな顔ですね」クスッ
千歌「はい……」
曜「あの」
花陽「なに?」
曜「少し気になったんですけど、訊いてもいいですか?」
花陽「どうぞ」ニコリ
曜「魔族を含めた全種族の和解と和平を望んでるのはよくわかります。だけど、花陽さんの口振りだとそれが絶対に叶わないことだって諦めてる風にも聞こえます」
花陽「……………………」
千歌「……?」
曜「諦めてる……っていうのは違うのかな。ことりさんと話したときにも同じものを感じました。魔族のことを話すとき……憎しみでも嫌悪でもない、なにか魔族に対して特別なものを抱いてるみたいな……」
花陽「……………………」
曜「って……ただの勘違いかもしれませんけど……」ポリポリ……
花陽「……クスッ」
曜「!」
花陽「泥棒の目……ですか?人より並外れた観察眼……お見事です」パチパチ
曜「……………………」
花陽「茶化してるんじゃありませんよ。……そうですね。曜ちゃんの言うとおり、私たちは……《μ's》は魔族に対して、特別な感情……思いを抱いています」
千歌「特別な……思い?」
花陽「正確には、魔族全体ではなく……たった一人の魔族を。あらゆる種族が憎むその魔族を、私たちはときに慮り、慈しみ……愛しました。友として、仲間として。そうしようと心に誓い、同じときを過ごし、かけがえのない絆を永遠のものにしました」
花陽「永遠のものに……したはずでした」
千歌「?」
曜「した……はず?」
花陽「……クスッ、私の話はここでおしまいです♪」
千歌「うえぇ!?スッゴい中途半端!!なんかモヤモヤする!!最後まで聞かせてくださいよー!!」
花陽「大した話じゃありませんからね。それでも聞きたいって言うなら、ここから先は有米ですよー♪」
千歌「有米!!?」
花陽「フフフ♡子どもは知らなくていいことですよ♡」
千歌「うぅ……」
花陽「それに、私一人の一存で話すわけにもいかないでしょうから」
曜「……………………」
花陽「さてと、前置きが長くなりましたね。本題に入りましょうか」
千歌「本題?」ポケー
曜「希さんのことでしょ?」
千歌「はっ!!そうだった!!そのためにここまで来たんだったよ!!」
花陽「クスクス♪単刀直入に言いますが、私も希ちゃんの居場所は知りません」
曜「そうなんだ……」
花陽「ゴメンね。思わせ振りな態度をとってしまって」
千歌「いいえ……」
花陽「ことりちゃんからも聞いたと思うけれど、希ちゃんは自由気ままな風と同じ。フラっと現れれば、またフラっとどこかへ消えちゃう」
パクッ
花陽「ングング……それに加えて、【隠者】、【秘匿】、【GALAXY HidE and Seek】……エクストラクラスとリミテッドクラスの隠密系スキルを同時に展開する希ちゃんは、そう簡単に私たちにも捕まえられない」
千歌「そんな……それじゃあどうしたら……」
花陽「……方法が無いわけじゃないよ」
曜「?」
花陽「隠れることに特化したスキルを使って存在を隠匿してるなら、それを見つけることに特化したスキルを使えばいい」
千歌「見つけることに特化したスキル?」
花陽「そう」
曜「ちょっと待ってください。希さんの使ってるスキルは、通常スキルの上位互換のエクストラクラス。さらにその上位互換で、百年単位の稀少性を有したリミテッドクラスなんですよね?そんなスキルを持った人を見つけるスキルなんて……」
花陽「その通りだよ。そんなスキル所有者がそうそういるわけない。でも、たしかにいる」
曜「……!」
花陽「それは……」
安価下1コンマ
奇数→世界を見渡す眼を持つ龍剣士
偶数→陸海空の三界を司る三賢人
花陽「陸海空……三界を司る三人の大いなる賢人。この世の叡智の全てを宿す者……烏滸がましくも私たち《μ's》と同格……いいえそれ以上の神聖な存在。通称、《A-RISE》」
千歌「《A-RISE》……」
花陽「あの人たちだけが持つリミテッドスキル、【世界を見通す眼】があれば、世界の隅々まで見渡せる。希ちゃんのこともすぐに見付けられるよ」
曜「その人たちはどこにいるんですか?」
花陽「海を渡った大陸にある、神を祀った聖域……【UTX大神殿】」
UTX大神殿でイタズラして逃走するもあっという間につかまる希ちゃん可愛い
千歌「UTX……そこにいるその、《A-RISE》って人たちなら希さんを見付けられるんですね!」
曜「……………………」
花陽「確実にね」
千歌「そうとわかったらじっとしてられない!!曜ちゃん、今すぐその人たちのところに行こう!!」
曜「ちょっ、ちょっと千歌ちゃん!!落ち着いて!!海の向こうだよ!?どうやって行くつもり!?」
千歌「曜ちゃんだけなら投げればなんとかいける……」
曜「考え方がでかみかんじゃん!!!海の向こうって何千キロ離れてると思ってるの!!?そんな距離投げ飛ばされたら着地と同時にハンバーグが出来上がるよ!!!」
花陽「まあ、着地以前に空気の壁にぶつかって爆散するかな」
千歌「じゃあ泳ぐ」
曜「なんでさっきから原始的な方法なの!?船とか飛行船とかあるじゃん!!いくら千歌ちゃんでも易々と泳ぎきれる距離じゃないよね!!?」
千歌「私でも船とか飛行船って乗れる?」
曜「あ……」
千歌「……………………」
曜「も……」
千歌「も?」
曜「ものすごい大きな船なら……」
千歌「それって簡単に乗れるの?」
曜「ものすごく高いです」
千歌「どのくらい?」
曜「金貨百枚……」
千歌「今の所持金って?」
曜「銅貨五十枚」
千歌「ほらぁ!!やっぱり投げた方が速いじゃん!!」
曜「だからそれだと死んじゃうんだって!!だいたい、投げるって自分はどうするのさ!!」
千歌「泳ぐよ!!」
曜「じゃあせめて私を乗せて泳いでくれませんか!!?ていうかちゃんと船乗ろうよ!!」
千歌「お金無いじゃん!!」
曜「稼ぐ!!私頑張って稼ぐから!!」
千歌「どうやって?」ジトー
曜「こうやって」つハナヨノオパンツ
花陽「きゃあ〜///…………なんて♪」ペロ
ハナヨノオパn……
曜「幻影だこれ!!!」
千歌「最ッ低!!!そんな稼ぎ方赦さないからね!!!」
曜「だからって原始的な方法なんて私がイヤだからね!!!」
ようちか「むむむむむむ……!!」
花陽「クスクス……♪じゃあ、私が紹介しましょうか?♪」
曜「?」
千歌「紹介?」
花陽「千歌ちゃんも乗れるほど、大きな船を貸してくれる人を」
曜「そんな気前のいい人が?」
花陽「世界経済の半分を担う資産家です。私たちとは顔馴染みなので、事情を話せばきっと力になってくれますよ」ニコリ
千歌「本当ですか!?じゃあ!!!」
花陽「ただし」
千歌「!?」
花陽「紹介する前に、一つ条件があります」
曜「条件?」
花陽「ただで教えるのは……なんだかもったいないでしょう?」ニコニコ
千歌「もったいないって……」
花陽「言いましたよね。エルフは……イタズラが好きなんです♡」
花陽が提示した条件とは……
安価下1コンマ
奇数→なわとび
偶数→稲刈り
な、なわとびなんかで船に乗せたりしないんだからね!
・・・千歌がなわとびなんてしたら里が壊滅しないか?
千歌「まあでも……そうしなきゃ教えてくれないならなんでもやりますけど……」
花陽「いい子ですね♪では……」スッ
ズズッ……
曜「……?周りの稲が……」
花陽「♪」
ズォォォォォォォォ――――――――!
千歌「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
花陽「えいっ♪」ヒュン
シュルシュルシュル……ギュッ!
花陽「っと。はい、千歌ちゃん♪」スッ
千歌「おとと……っ!」パシッ
曜「稲が森みたいに急成長して絡まった……。これって……ロープ……?」
花陽「そう♪今から千歌ちゃんには、このロープを使ってなわとびをしてもらいます♪」
千歌「なわとび?ていうか私だけ?」
花陽「今はちょうど夕暮れ……そうですね、明日の夜明けまで、その稲のロープでなわとびを続けてください」
千歌「明日の夜明けまで!!?」
花陽「一度でも引っ掛かったり、跳ぶことを止めたら失敗と見なし、船を貸してくれる人を紹介するという件は諦めてもらいます♪」ニコリ
千歌「そんなムチャクチャな!!」
曜「千歌ちゃんってなわとびは苦手だっけ?」
千歌「いや、普通だけど……」
曜「じゃあ大丈夫だよ。体力を節約するスキルも持ってるし、身体強化系のスキルも持ってる。千歌ちゃんなら何日だって跳び続けられるよ」
千歌「そうかもしれないけど……」
曜「それより、今の千歌ちゃんがなわとびなんかしたら、地響きとロープの風圧で村が壊滅しかねないっていうか……」
花陽「それについては大丈夫だよ♪」指パチンッ
ホカホカ……
ホカホカ……
千歌「た、炊いたお米が!!?花陽さんっ!!?」
ホカァァァァァァァ……
千歌「曜ちゃ――――――――」
ドーン……
曜「お米が……千歌ちゃんを呑み込んじゃった……」
花陽「大きなおにぎりの完成だよぉ♪」
曜「完成だよぉ……って……」
花陽「私のお米はどんな衝撃にも耐えられる究極のお米♪あの中は絶対安全の防護結界だよ♪ただし……」
おにぎりの中
千歌「……………………」
ホカァァァァァァァ……
千歌「あづい……」
花陽「その中でなわとびをしてもらいますけど、サボっちゃダメですよー。私には中の様子がちゃーんと見えてますからねー」
千歌「見えてるって……。おにぎりの具になったのは初めてだよ……。なんだかよくわからないけど、やらなきゃいけないならやるしかないっ!よしっ!!」グッ!
千歌「頑張るぞぉー!!!」ピョンッ!
ズシン!
ズシィン!
花陽「始めたみたいですね」
曜「本当に衝撃を吸収してる……。お米ってスゴい……」
花陽「さてと、そろそろ夕飯にしましょうか」
曜「いや、さっきまでご飯食べてましたよね?」
花陽「おやつです♡」
曜「おやつの量じゃなかったけど……」
花陽「曜ちゃんはなにが食べたいですか?」
曜「お米以外ですか?」
花陽「炊きたてご飯、冷やご飯、ちょっと水気が多くてべっちゃりしたご飯です」
曜「お米以外を食べたら死ぬ種族かなにかなんですか?」
花陽「冗談ですよ♪」
曜「それより、なんで私にはなわとびをさせなかったんですか?」
花陽「一緒にしたかった?」
曜「千歌ちゃんのおっぱいがブルンブルン揺れる様ははっきり言って見たかったです」
花陽「曜ちゃんとは、もう少しお話したいなって♪それだけですよ♪」
曜「そうですか……」
曜「それならよかったです」
花陽「……………………」
曜「私も……訊きたいことがありましたから」
ソヨソヨ……
花陽「……………………」
曜「……………………」
花陽「……風が冷たくなってきました。家の中にどうぞ。話の続きは、あたたかいご飯を食べながらにしましょう」ニコッ
――――――――
――――
――
千歌「ほっ、ほっ……」
ズシン!
ドシン!
千歌「どれだけ時間が経ったんだろ……。この中だと外の様子がわかんないしなぁ……」
ホカホカ……
千歌「おにぎりの中ってこんな感じなんだ……。さっきいっぱい食べたのに、なんかお腹すいちゃいそう……」
ズシン!
ズシン!
ブルンブルン!
千歌「朝まで長いなあ……」
曜side
グツグツ……
コトコト……
花陽「トロットロに煮込んだクリームシチュー……」
トロリ……
花陽「甘味たっぷりのホロホロお野菜……」
トロッ……
花陽「旨味を閉じ込めたジューシーなお肉……」
ジュワッ……
花陽「それをお皿に盛ったホカホカご飯にかける!!!」ドバァー!
曜「……………………」
花陽「ふぅ……♪上手に出来ました♪」
曜「……………………」
花陽「本当に食べないんですか?」
曜「お腹はすいてないので……」
花陽「お米ならいくらでも食べられちゃうのになぁ……。いただきます」
パクッ
花陽「んぅ〜〜〜///♡ハフハフ……んっ///♡んんんん〜///♡♡」
曜「……………………」
花陽「はふぅ……♡おいひぃ……♡」
65 名無しで叶える物語(地震なし) sage 2018/03/22(木) 19:01:05.45 ID:VUlf9Epp
エロいな
曜「……………………」
花陽「いいですよ」ハフハフ
曜「!」
花陽「アツッ……エヘヘ///訊きたいこと……あるんでしょう?」
曜「……なにか訊こうかな」
花陽「なんでもどうぞ」ニコリ
曜「それじゃあ……まず、果南ちゃん……。花陽さんが私たちに見せた幻影……あれは私たちの友だちです。なんで、花陽さんが知ってるんですか?」
花陽「知ってるわけじゃないよ。何日か前に、あの子は私を捜してこの山に入った」
曜(……果南ちゃんも転生してたんだ)
曜「それで?話をしたんですか?」
花陽「うん。正確には、話をすることを強制してきた」
曜「強制してきた……?」
花陽「言ったとおり、私の幻影は悪意や敵意に反応する。それがある人は、誰であろうとこの村には立ち入れない。そして、その子……果南ちゃんも例外じゃなかった」
曜「それは……」
花陽「友だちだったんだよね……。なのに、酷なことを言うのは気が引けるけど……。あの子は間違いなく、魔族だった」
曜「……………………」
曜「そっか……。果南ちゃんも……」
花陽「あの子は幻影に阻まれた……けど、強引に私を引きずり出した。『姿を見せないなら、この一帯を吹き飛ばす』……って脅してね」
曜「そんなこと出来るはずない」
花陽「そう。出来るはずも、させるはずもなかった。でも私はそれに応じた。何故か……穏健派を謳っている私が、いくら防衛のためといえ暴力を振るえば、私に賛同してついてきてくれたみんなを裏切ることになるからです」
曜「それでも……煙に巻くくらいのことは……」
花陽「さっき、出来るはずがない……そう言いましたね。私も曜ちゃんも、意味合いは同じことを言ったはずです。私がいる以上、そんなことはありえない……と。けど……」
曜「一帯を吹き飛ばす……それだけの力が果南ちゃんには無い。だから出来るはずがない。……そういう意味ではなかった?」
花陽「シンプルに、あの子に強さを感じました。無論それでも私が負ける要素はありませんでしたが……少なからず村のみんなに懸念を抱かせるのを嫌いました」
曜「果南ちゃんと、どんな話を?」
花陽「ことりちゃんのところにも、魔族の梨子ちゃんが来たんですよね。なら、話した内容は概ね一緒なはずです」
曜「魔王復活の鍵……」
花陽「当然ながら話してわかってくれるはずもなく、あしらいながら隙を見て【強制転移】を使いました。どこに転移したのかはわかりませんが、世界のどこかには存在してるはずです」
曜「……そっか」
花陽「……………………」
曜「それじゃあ次の質問です。希さんの行方を掴める人たちの存在について……」
花陽「どうぞ」ニコリ
曜「花陽さんは《A-RISE》の存在を挙げましたね。《A-RISE》は《μ's》と肩を並べる存在で、希さんを捉えられるのはその人たちしかいないと」
花陽「そうだね」
曜「不可解なのは《A-RISE》の存在じゃなくて、何故ことりさんは《A-RISE》の存在を私たちに教えず、花陽さんを紹介したか……ってことです」
花陽「たしかに不自然だね。遠回しをさせてる感じがする。だけどそれは、私が希ちゃんの居場所を知らなかった……っていう結果論込みの話にならない?」ハムッ
曜「本当にことりさんは花陽さんが希さんの居場所に心当たりがあると思った……。違いますよね?ことりさんには、私たちを花陽さんに逢わせる理由があった」
花陽「……………………理由って?」パクリ
曜「あくまでも……いいえ、推測にもなりませんけど……。たぶん、千歌ちゃんのこと……」
千歌side
千歌「はあっ……はあっ……。おかしいな……はあはあ……。あれ……なんだろ……。暑いから……かな……。なんかちょっと……疲れてきた……」
ズシン……
ズシン……
曜side
曜「山の中で私たちを襲った幻影……あれは千歌ちゃんを試すためのものだったんじゃないですか?」
花陽「なんのために?」
曜「千歌ちゃんに戦い方を教えるため……とか」
花陽「……………………」
曜「千歌ちゃんはLv999の完全な特異存在。力の使い方を知らないのに、誰よりも強大な力を持ってしまってる。言っちゃえば赤ちゃんが兵器を持ってるみたいな危うい存在です」
花陽「そうだね」パクッ
曜「それに今千歌ちゃんがやらされているなわとび……。正確にはあのおにぎりですけど……あの中は、いったいどうなってるんですか?」
花陽「炊きたてのお米に囲まれてる幸せの国だよ♡」
曜「本当は?」
花陽「……魔力を強制的に体外に排出させる空間。それだけ言えば通じるかな」
曜「千歌ちゃんに魔力のコントロールを覚えさせるため……ですか?」
花陽「なんのために?」
曜「一つは自衛……一つは、"そうなったとき"戦える下地を作っておくため」
花陽「"そうなったとき"……友だちと、どうしても戦わなければならないとき……だね」
曜「花陽さんを紹介したのは、ことりさんなりの私たちへの忠告ってことですか」
花陽「さあ……。でも、ことりちゃんはきっと……自分よりは私の方が二人を鍛えられるって、そう思ったんだろうね。なんせ、ことりちゃんは《μ's》でも一、二を争う広域殲滅タイプの魔法使いだから。微細な力のコントロールは苦手だったし」クスクス
曜「広域殲滅……」
花陽「曜ちゃんの考えのとおりだよ。戦うための下地と覚悟……いくら力があってもそれが無かったら何にもならない。だからことりちゃんは二人を私に預けた。べつに嫌がらせで《A-RISE》のことを説明しなかったわけじゃないと思うから、そこは安心して」クスッ
曜「はあ……」
花陽「幻影を相手にさせて、二人の実力を測った。幻影とはいえ魔力を込めただけのパンチで山を消し飛ばした……千歌ちゃんは魔力のコントロールを完ぺきに覚えなきゃ、いつか暴走して凄惨な事故を巻き起こす」
曜「そのための特訓ですか」
花陽「あの空間の中は、魔力容量に比例して魔力の強制消費量が加速度的に上がる。朝まで……なんて期限をつけたけど、千歌ちゃんの魔力量を考えたら、あと数時間で魔力が枯渇して倒れると思う」
曜「そうですか」
花陽「……意外だね。千歌ちゃんのことが好きな曜ちゃんなら、今の話を聞いたら、私を脅してでも千歌ちゃんを出せって言うかと思ったのに」
曜「万が一千歌ちゃんが倒れたとしても、倒れた無防備な千歌ちゃんのおっぱいを揉みしだけるので問題無いです」マガオ
花陽「あ、そうなんだ……」パクッ
曜「それに、千歌ちゃんなら大丈夫です」
花陽「信頼?」
曜「いえ、確信です」
千歌『出来るパターンだろぉこれェ!!!』ガー!
曜「何度倒れても、何度ケガしても立ち上がる。前を向いて跳ぶ。千歌ちゃんは……底無しの努力家です」
花陽「……………………」
曜「……なんて、本人は特訓をやらされてる自覚も無いんですけどね。ようは、ひたすらにまっすぐなんですよ。明るく素直で、自分が求めるものに手を伸ばす。何度も何度も……立ち上がれるかい?って……そしたら胸に手を当てて、笑ってYESって答えるんです」ニシシ
花陽「千歌ちゃんのこと、好きなんだね」
曜「大好きです」ニッコリ
曜「……………………」
花陽「……………………」
曜「……私に特訓をやらせなかった理由は、それですか?」
花陽「理由は二つ。曜ちゃんの戦いを見たけど、基礎はもちろん、スキルを応用した臨機応変さも十二分で、特訓をさせる必要性が無いと判断しました。レベルと実力が釣り合ってない……とも」
曜「……………………」
花陽「曜ちゃんは千歌のことを特異存在と称していたけど、曜ちゃんも充分特異だよ」
曜「……………………」
花陽「もう一つの理由はね、単純に曜ちゃんとお話したかったからなんだ。私の目には……曜ちゃんの全てが歪んで見える。戦いも……千歌ちゃんを思う様も。曜ちゃん……曜ちゃんはいったい、何者?」
曜「……………………」
千歌side
千歌「はあ……はあ…………」
ズシン……
ズシン……
千歌(腕が……上がんなくなってきた……。身体重い……頭……回んない……)
ズシン……
ズシン……
千歌(ボーっとしてきた……。今にも身体が動くのを止めそう……。ダメだ……しっかりしないと……。イメージ……しない、と――――――――)
曜『魔法なんて所詮イメージみたいなところがあるから』
千歌「……!」
ズシン……
ドシン……
千歌「イメージ……」
千歌(私の中に……魔力っていう力があって……イメージでそれを自由に使えるなら……)
ズシン……
ズシン……
千歌(果南ちゃんの幻と戦ったとき……掌に力を入れて殴ったら山が吹き飛んだ……。あそこまでじゃなくて……身体全体まで行き渡らせて……もっと力を抑える感じ……)
ズズッ……
ズズズ……
千歌「……!なんか……楽になった……かも……」
千歌(スゴい勢いで疲れてたのに……。力が吸われる感じだったのが治まった……。これって、魔力をコントロール出来るようになってる……?じゃあ……)
ズズッ……
千歌(魔力を脚に……)
ピョンッ!
千歌「……!」
ピョンッ!
ピョンッ!
千歌(軽い……!疲れとか一気に吹き飛んじゃったみたい……!これならイケる……!イケるよ……!!)
千歌「曜ちゃん……!!」
曜side
曜「……私は歪に見えますか?」
花陽「見えるよ。頭のてっぺんから爪先まで」
曜「……………………」
花陽「具体的なことを挙げるとね……。果南ちゃんの幻影を相手にしてるときも、どこか愉悦めいたものを感じました。クラス故に……スキル故にとも思ったけど、違うんだよね?曜ちゃんの戦闘の根源には、明らかな敵意と殺意が見えたよ」
曜「……………………はぁ」クシャ
花陽「……………………」
曜「ちゃんとごまかせてると思ったんですけど。千歌ちゃん以外に……隠し立てをする必要もありませんよね。花陽さんの言うとおりです」
曜『ねえ、千歌ちゃん』
千歌『……………………』
曜『……私は――――――――』
曜「私は……千歌ちゃんの敵になるなら、たとえ友だちだって殺します」
花陽「……………………」
曜「正義と悪がこの世にあるなら、私にとっての正義は千歌ちゃんで、私にとっての悪は千歌ちゃんに害成すもの……ってことになるんです。千歌ちゃんを悲しませるなら……傷付けるなら……」
梨子『微塵の興味も無いわ』
曜「たとえ誰だろうと殺してやる」
花陽「歪んだ愛情は身を滅ぼすよ」
曜「千歌ちゃんのためなら、それでもいいって思ってます」
花陽「自覚があるのがむしろ……だね。良くも悪くも」
曜「危険な思想だって……そう思いますか?」
花陽「……賛同はしない。けど、共感出来ないわけじゃないです」
曜「……意外な答えですね。救世の女神なんて大それた二つ名で呼ばれるような人が……。皮肉に捉えられるかもしれませんが、てっきり《μ's》というのは聖人君子の集まりなのかと思ってました」
花陽「私だけじゃなく、他のみんなも同じことを言うはずです。救世の女神……どれだけ人が敬い付けた字(あざな)でも、所詮ただの記号でしかありません。名前というのは、自らが覚悟を持って名乗ることで初めて意味を成すんです」
曜「エルフの教えですか」
花陽「私自身の気位です。けれど、言った通り共感こそすれ賛同はしません」
曜「……………………」
花陽「護るため……叶えるため……たとえどれだけ大義を掲げたとしても、命を奪う行為が赦されるはずがない。自分がどれだけ理由をつけて肯定したとしても、それこそが至上の正義だと信じても、殺意を以て我と成すことはあっちゃいけません」
曜「……………………」
花陽「こんなお説教も、きっと曜ちゃんには右から左なんだろうね」
曜「そうですね。なにも響きませんでした」
花陽「だと思うよ。それが正しい。私たちはただの他人なんだから。それでも、同じ釜のご飯を食べた仲の忠告……くらいには留めておいてもらえると嬉しいかな」
曜「ありがとうございます……。でも私は、私の意志を絶対に曲げない」ヴンッ
【後悔無き航海】
花陽「【後悔無き航海】……。折れず、曲がらず、腐らず……自分の意志を貫き通す誓いのスキル。なるほど……それがレベルに比例しない強さの秘密ですか」
曜ちゃん、膨大な借金返し終わったと思ったら
すぐになんやかんや理由付けて借金させられそう・・・
曜「言わないでくださいね。千歌ちゃんには」シュン……
花陽「いずれはバレちゃいますよ。【後悔無き航海】……。自分にかけた誓約の大きさに相乗して力を増幅させるリミテッドスキル。そんなスキルをどうやって発現させたんですか?」
曜「千歌ちゃんのことを思ってたら自然に身に付きました」
花陽「そうなると……必然、誓いの内容も……」
曜「私が自分に課した誓約は、なにがあっても千歌ちゃんを好きでいること。千歌ちゃんと同じ傷を負うこと。千歌ちゃんのために生きて、千歌ちゃんのために死ぬこと。そして、千歌ちゃんが死んだとき私も一緒に死ぬこと」
花陽「……………………ムチャクチャだね。【過愛情】に【ダメージリンク】……?それに【ライフリンク】も付与してるなんて……」
曜「他にも色々付けてますよ。【過愛情】は元々こういう性格だったし、【ライフリンク】に関しても全然苦じゃないです。けど、【ダメージリンク】に関しては千歌ちゃんがLv999だったのを予定に入れてませんでしたね」ケラケラ
これほどの誓約だと必然的に強くなるわな
後悔なき航海カッコいい…
曜ちゃん強キャラ感半端なくなったけど今のところパンツ盗むぐらいしかしてないの素直に草だ
花陽「Lv999なことは、無敵でもなければ不死身ってことでもない。巨人族だって、身体の構造は普通の人間と変わらない。余りにもリスクが大きすぎる。大切な友だちのためとはいえ、自分が課した誓約の重さを……曜ちゃんは理解出来てないように見えて仕方ないよ」
曜「そう見えるなら……よっぽど私が歪んでるんですよ」スクッ
花陽「……!」
曜「私が訊きたかったことは全部聞かせてもらいました。花陽さん、ありがとうございます」ペコッ
花陽「夜明けまでは、まだ時間があるよ」
曜「特訓が終わって汗で服に張り付いたおっぱい…………じゃなかった、ヘトヘトになった千歌ちゃんの疲れた顔をいの一番に見たいので。このまま朝まで外で待ってます」
花陽「そう……。最後に訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」
曜「いいですよ。花陽さんが今履いてるパンツをくれるなら」ゞ
花陽「……クスッ。泥棒が獲物を欲しいと乞うのは、道理に反してはいませんか?」クスクス
曜「違いないです」ニッシシ
スタスタ……
スタスタ……
花陽「……………………」
花陽「……曜ちゃん。曜ちゃんは千歌ちゃんのために戦う……そう言ったよね。千歌ちゃんのためなら友だちだって殺すって。……でも、千歌ちゃんは友だちとの共存を望んでいるんじゃないの?」
曜「……………………」ピタッ
花陽「曜ちゃんが千歌ちゃんだけを愛するとしても、千歌ちゃんが曜ちゃんだけを愛するとは……けして限らないこと、ちゃんと覚えておかなきゃダメだよ」
曜「……………………」スタスタ……
花陽「でないと、それはいつか……取り返しのつかないことになるかもしれないんだから」
――――――――
――――
――
――――――――夜明け
チュンチュン……
曜「……………………」
花陽「……そろそろだね」
ホカッ……
曜「!」
ホカァァァァ……
曜「おにぎり……じゃなかった……。閉鎖空間が解けてく……」
花陽「気を付けてね」スッ
曜「稲穂の杖……」
ビュン……
ビュン……
花陽「一瞬だけど……強引に止めちゃうから」
ホカァァァァ……
ズシン……!
ドシィン……!
千歌「はぁ……はぁ……はぁ……はぁっ……!!!」
曜「千歌ちゃん!」
千歌「はぁ……はぁ……!!」
ドシン!
ズシィン!
グラグラ……
曜「っと、聴こえてない……」
花陽「意識の深層まで到達するほど集中してる。いつ倒れてもおかしくない。……効率のいい魔力運用……ちゃんとコントロール出来てるけど、すっかり枯渇しきってる」
花陽(約半日……。あの空間の中で一時間以上保ったどころか耐えきった……。無限ってわけではなさそうだけど、それでも随分な魔力だね……。容量は私たちとほぼ同じくらいかな)
ビュン!
ビュウン!
花陽「おとと……これ以上は村が壊滅しちゃう」スッ
フワッ……
花陽「お疲れさま。少し眠るといいよ」シャン……
千歌「はぁ……はぁ…………っ」クラッ
花陽「♪」シャンシャン……
ホカホカ……
ドスゥン……
千歌「クカー……」
花陽「お米のベッドはよく眠れていいですよね♪」
曜(スッゴくベタベタしそう……)
千歌「クカー……クカー……」
曜「千歌ちゃんは……」
花陽「声は届かないみたいだったので、無理やり眠らせちゃいました。昼頃には目覚めますよ♪」
千歌「クカー……」
曜「……………………」スタスタ……
ポンッ……
曜「お疲れさま……千歌ちゃん」ナデナデ
千歌「ン……」スヤスヤ……
曜「それにしても……汗の匂いも、汗で服がぴっちり張り付いたおっぱいもたまりません」ムフー
花陽「あれ、さっきとは違った意味で怖い……」
――――――――
――――
――
千歌「……………………ん」
曜「あ、起きた?」
ムクリ……
千歌「……………………」ポー
千歌「ふあぁぁぁぁぁ……」
曜「おはヨーソロー♪千歌ちゃんっ♪」ゞ
千歌「おはヨーソロー……ムニャムニャ……」ゴシゴシ……
曜「まだ眠い?」
千歌「んん……なんかお米のベッドで眠る夢見た……」
曜「夢じゃないけど」
千歌「ふあぁぁ……んゅ…………………………ああっ!!?」
曜「うわっ!?急にどうしたの!?」
千歌「特訓!!花陽さんに言われたなわとびしてたんだ!!どうしよう曜ちゃん!!私なわとび止めちゃってる!!花陽さんに船を貸してくれる人を紹介してもらえないよ!!!」
曜「落ち着いて千歌ちゃん。大丈夫だから」
千歌「へ?」
曜「千歌ちゃんはちゃーんと、朝までなわとびを跳んでたよ♪」
花陽「そうですね」スタスタ……
千歌「花陽さん!」
花陽「朝までなわとび……よく頑張りました♪」
千歌「ホント?ホントにちゃんと最後まで跳べたの?」
花陽「はい♪」
千歌「全然覚えてない……」
曜「ギリギリだったみたいだもんね。なにも覚えてないの?」
千歌「途中……跳びやすいやり方を見つけて……それから調子良くて……。それで……調子に乗ってそれまでよりはりきって跳んでたんだけど……」
花陽「!!」
千歌「そこから先は覚えない……」ウムム……
花陽(体外に強制的に魔力を放出させるあの空間で、魔力を制御するどころか自分から魔力を放出させて能力を上げた……?ありえないです……。だとしたら、魔力容量は最高位に位置する魔法使いレベルを遥かに越えてる……)
曜「まあなんにせよ、ちゃんと最後まで跳べてよかったじゃん♪」
千歌「うんっ!♪」
花陽(Lv999……この魔力……。……まさか、ね)
曜「これで、花陽さんに船を貸してくれる人を紹介してもらえるね♪ちょっとだけ先が見えたよ♪」
千歌「うん!花陽さん、約束どおり……」
花陽「あ、うん。もちろん紹介するよ」
ようちか「ぃやったぁ!!」
花陽「ただし……」
ようちか「?」
花陽「紹介するだけで、その人が船を貸してくれるかどうかは……また別の話だけど」クスッ
千歌「その、船を貸してくれる人ってどんな人なんですか?」
曜「顔馴染みって話でしたよね?同じ《μ's》の人ですか?」
花陽「ううん。だけど、《μ's》に深く関わってる人だよ。一代で世界経済の半分を担う魔道具事業の発展を成し遂げた、オトノキザカ財閥の麗人」
曜「一代で世界の半分の経済を?」
千歌「それってかなりスゴいんじゃない?」
曜「いやめちゃくちゃスゴいよ。どれだけ【資金調達】や【お金儲け】のスキルがあっても、さすがにそこまでの長者にはなれないよ。よっぽど天運に恵まれてないと」
千歌「そんな人と知り合いなんて……《μ's》ってスゴい!!」
花陽「まあ、ことりちゃんのお母さんだから」クスクス
曜「ことりさんの……?」
千歌「お母さん!!?」
花陽「そう。世間での通り名は、本人のクラスを取って理事長って呼ばれてる」
曜「通り名って……本名は?」
花陽「曜ちゃん、知らなくていいことも世の中にはあるんだよ」
曜「はあ……」
千歌「あれ、それじゃことりさんって結構なお嬢様?」
花陽「一応ね。ことりちゃん自身は、好きなことを好きにやる奔放な性格だから、お母さんの跡を継ぐ気はないって言ってるけど。とにかく、理事長宛に紹介状を書くから、その後は二人でなんとかしてね」
曜「投げやり……」
花陽「エルフは?」ニコニコ
曜「イタズラ好き……」ハァ
千歌「まあまあ。とりあえず紹介してくれるだけありがたいってことで♪」
花陽「いい子ですね、千歌ちゃん♪」
千歌「エッヘヘ///」テレリテレリ
花陽「さて……それじゃあ少し待っててね。今すぐ紹介状を……」
バサッ……バサッ……
カー……カー……
千歌「?」
曜「カラス……?」
花陽「……………………」
カー……カー……
バサッ……バサッ……
千歌「おとと……」
曜「千歌ちゃんの肩にカラスが留まった……」
千歌「私は木じゃないのに……。この子、眼が真っ赤だよ。それに……足が三本ある」
曜「足が三本……それって……」
花陽「八咫烏……」
千歌「やた……がらす……?」
花陽「幻獣に数えられるモンスターであるのと同時に……不幸と不吉を司る魔獣……」
曜「……………………」
花陽「八咫烏が現れるとき……それは凶報を運んできたという印なの……」
千歌「凶……報……?」
カー……カー……
カー……
オトノキザカ……カイメツ……
オトノキザカ……カイメツ……
花陽「――――――――!!!!」
曜「オトノキザカ……!」
千歌「壊滅……!?」
曜「花陽さん……オトノキザカって……」
花陽「今話してた……理事長が、オトノキザカ財閥の拠点がある街……。それが……壊滅……!?そんなバカな……あの街には……いや、それより……理事長は……」
千歌「……!!」
曜「街が滅ぼされた……って、それじゃあ……」
花陽「ううん……確証は無いけど、たぶん無事……。あの街には……私たちの仲間がいるから……」
曜「《μ's》が……?」
花陽「けど……それでも街の破壊を防げなかったなんて……。相手はいったい……」
千歌「もしかして……梨子ちゃん……?」
曜「魔族が……?なんのために……」
千歌「わかんないよそんなの……」
花陽「ここで議論しても始まらない。とにかく私はオトノキザカに向かうよ。この報せはきっと《μ's》全員に届いてるはず……だとしたら、近くに住むことりちゃんも必ず向かう……二人はここに……」
千歌「私たちも行きます!!」
花陽「……危険だよ」
千歌「それでも!私たちが目指してる芭蕉でなにか大変なことが起きてるなら……見て見ないフリは出来ないです!」
曜「それに、どっちみち行かなきゃ先にも進めないわけだし、ここで大人しくしてる理由なんて無いです」
花陽「……………………」
千歌「お願いします!私たちも連れてってください!」
花陽「……なにがあっても自己責任だよ。誰か助けて〜……なんて言っても、ちょっと待ってて〜……っては言わないからね」スッ
シュルシュル……
ポンッ
ポンッ
ポンッ
曜「花畑が……」
花陽「【フラワーカーペット】……妖精族秘伝の魔法の絨毯だよ。千歌ちゃんを乗せると大した距離は飛べないけど」
千歌「お手数です」
花陽「さあ乗って」
曜「っと……」トンッ
千歌「ホントに乗っても大丈夫ですか……?」
花陽「信じて♪」
千歌「……えいっ!」ドシン!
花陽「行くよ……」スッ
フワリ……
ビュウンッ!
千歌「っあ!!」
曜「うわ!!」
花陽「振り落とされちゃダメだよ!」
――――――――
――――
――
――――――――数日前
梨子「オトノキザカを?」
果南「滅ぼす?」
花丸「そう。あの街は人間共の世界の重要な拠点の一つ。魔王様の復活に捧げる灯には充分なものずら」
果南「なるほど……♪それじゃあ、その役目は私が……♪」
梨子「待ちなさい。力だけの能無しじゃあ、そんな大それた役に相応しくないわ。花丸様、その役目……どうかこの私に」
果南「黙ってなよ負け犬」
ピリ――――――――ッ
花丸「勅命を下す」
かなりこ「!!」バッ!
オトノキザカ襲撃を命じられたのは……
安価下2
梨子or果南
花丸「果南」
果南「♪」ニッ
梨子「チッ……」
花丸「お前の力……我らが王のために振るえ」
果南「仰せのままに。【安価下1】の名に懸けて」
果南のクラスは……
安価下1コンマ
奇数→狂戦士(ベルセルク)
偶数→災害人魚(ディープマーメイド)
なんでそんなクラスで山にかよちん倒しに行ったんだろ?
果南「災害人魚(ディープマーメイド)の名に懸けて」
花丸「期待しているずら」
梨子「……………………」
花丸「梨子」
梨子「っ、はっ!」
花丸「不服か?」
梨子「……いえ」
花丸「梨子……」
梨子「はい」
花丸「魔族に自己は要らないずら」
梨子「……わかっています。魔王様に忠誠を誓い、敬服し、従属することこそが私たちの使命であり幸福であると。私たちはただの"駒"であればいい……と」
花丸「わかっているならいいずら。異論という牙があるならへし折ってやろうとも考えたけれど……ならば先のことももはや咎めまい。次なる命令を待て」
梨子「はっ」
ポンッ
果南「そうヘコまないでよ。梨子ちゃんの分まで……暴れてきてあげるからさ」ニヤッ
梨子「触るんじゃないわよ……磯臭い」
果南「〜♪さーてと、行ってきまーす♪」ヒラヒラ
花丸「……………………」スタスタ……
梨子「……………………」ポツン……
梨子「……………………ッ」ギリッ……
――――――――現在
【オトノキザカ】
果南「……………………」ザッ……ザッ……
パラパラ……
ガラッ……
果南「なんだ……これ……」
ガシッ……
果南「!」
兵士「ハァ……ハァ……」
果南「…………?」
兵士「あな……たが……」
果南「……なに?」
兵士「こ、の……街を……」
果南「……………………」ポリポリ……
兵士「よく……も……」
果南「……………………」スッ
兵士「――――――――」
ベキバキ……グシャアッ!
ピチャッ……
果南「……………………」
???「ねえ」
果南「?」フイッ
???「なにやってるの?」
果南「は?」
???「言葉がわからないの?知性が欠けてる?」
果南「そっちは礼儀が欠けてるよ。なにって、足に絡まった海藻を振り払っただけだけど?それがなに?」
???「死にかけた兵士の頭を踏み潰した感想がそれ?」
果南「だったら?」
???「同じことをされても文句は言えないって……それだけ」
果南「おもしろいこと言うね。ていうかさ……そんな高いところから見下ろすなんて失礼じゃない?」
???「だったら?」
果南「誰だか知らないけど……頭が高いって言ってるんだよ」シュンッ!
ブンッ!!
ドガァァァァァァァァ!
果南「ハハッ♪」
???「なにこれ」
果南「ッ!?」
???「キックのつもり?」
果南「片腕で……!!」
???「キックっていうのは……」
安価下1コンマ
奇数→「こうするのよ」
豹の獣人ルートへ
偶数→「こうするにゃ」
ネコの獣人ルートへ
ボオオッ!
果南(紅蓮の炎……ッ!!)
???「こうするのよ」ブンッッ!
果南「ッ!!?」ミシッ……
ヒュンッ……
ドガアアアアアアアアアン!
???「……………………」トンッ
ヒュウウ……スタッ
???「……………………」
パラッ……
ドガァン!
果南「アッハハハ!!♪痛い痛いっ……腕イカれた!!♪」ブラン……
ベキッ!
ゴギッ!
果南「っはは!!♪」スッ
???(前腕を粉々にしてやったのに……。【自己治癒】と【超速再生】のスキルね……)
果南「見かけのわりにやるね……♪豹の獣人のお姉さんっ♪」ニヤッ
???「あなたが口ほどにもないだけよ。たかが医者の蹴り一つで腕が砕けるなんて、見かけのわりにヤワじゃない」
果南「医者……ねえ。身に纏った白衣だけじゃあ、言われても納得しかねるよ」
???「ああ、ゴメンなさい。訂正するわ。医者じゃない……ただの天才名医よ」カミノケクルクル
果南「クラスは?」
???「神療現界医(アスクレピオス)」
果南「神療現界医(アスクレピオス)……?」
果南(医療系クラスの頂点に座するあの……?紅蓮の炎に……豹の獣人……。こいつ……)
???「ああ……自己紹介がまだだったわね」
真姫「《μ's》……《赤き女豹》こと、真姫よ。よろしくね、魔族さん」
――――――――
ビュウウウン!
千歌「ねえ!街は大丈夫かな!?」
曜「このスピードならすぐに着くとは思うけど……やっぱり心配だね……。まだ原因もなにもわかってないわけだし……」
花陽「なにがあっても大丈夫なはず……。あの街には私たちの仲間がいるんだから」
曜「それってさっき言ってた?」
花陽「うん。《μ's》……《赤き女豹》の真姫ちゃん」
千歌「《赤き女豹》?」
花陽「豹の獣人……炎を操る名医だよ」
曜「お医者さん?それじゃあ……」
花陽「お医者さんて聞くと、回復専門で戦闘力に乏しいイメージがあるけど……真姫ちゃんは違う。自他共に認める天才医師なのと同時に、《μ's》でも一、二を争う武闘派でもある
獣人特有の野性的な本能に、荒々しさを十二分に含んだ爆炎の使い手……それに加えて理知的な頭脳を兼ね備えた、神療現界医(アスクレピオス)と呼ばれる天才」
千歌「そんなスゴい人がいて……どうして街が……」
花陽「わからない……。なにかイヤな予感がする……」
千歌「急ぎましょう!なにかが起こる前に!!」
ビュウウウ――――――――ン!
――――――――
果南「へえ……まさか《μ's》に出くわすなんてね。ツイてるなぁ♪」
真姫「なにを以てツイてるなんて言ったのかしらね」
果南「私の目的ってさ、この街を壊して人間たちを混乱させることだったんだよねー。ここって人間の経済を担う中心らしいじゃん。それがこの有り様。もう目的は果たしたも同然♪」
真姫「そうね。たしかにひどいものだわ」
果南「そんな中、私たちが狙ってる《μ's》がのこのこと現れた♪目の前に通りすがった生肉をさ……みすみす逃すなんてバカなマネ、誰もしないでしょ?」ニコニコ
真姫「そうね。正論だわ。同じ状況なら私も同じことをするわ。断言する。ただし……生肉はあなたよ。クスッ……いいえ、腐った魚の死骸が関の山ね」
果南「言うじゃん……。腐ったものを食べて食あたりなんて笑えないんじゃない?」スッ……
真姫「そうでもないわ。私は案外……悪食だったりするわよ」グググ……ダンッッ!
ビュンッ!
果南(迅い……)
ズガアアアアアアッ!
ベキバギッ!
真姫(ガードした腕が砕けた……)
果南「っらあ!!」ブンッ!
真姫「っ!」シュンッ!
ズザァッ!
果南「逃げ足だけはいいじゃん」プラプラ……
真姫「また再生……。ガードした直後に反撃してきた……」
果南「速くて重い……それでもって軽やかな体捌き。医者だって言うわりに動けるね、お姉さん」
真姫「体力仕事甘く見てるんじゃないわよ。評価してくれるなら……せめて力は込めなさいよ。脱力しきった相手の弁ほど薄っぺらいものはないわ」
果南「ああ、やっぱりわかる?」
真姫「触れるのが医者だもの」
果南「触診ってやつ?」
真姫「まあね」カミノケクルクル
果南(って、蹴って殴って……二回触れただけで、スキルの解析はおろか私の身体の状態にも気付いたんだ。知性が高いうえに、素の攻撃力も高い。
そのうえ炎をブーストさせて一撃一撃の威力を高めてる……。…………思ったよりめんどくさいな……)
果南「お姉さん、私の苦手なタイプだ」
真姫「あっそう。だからって見逃さないわよ。あなた、あいつの仲間なんでしょ?」
果南「あいつ?」
真姫「とぼけなくていいわよ。あいつの【空間転移】に飛ばされたおかげで、この街はものの見事に壊されちゃったんだから。まったく……不甲斐ないったらないわ」クシャ
パラパラ……
ガラッ……
真姫「救えたはずの街も……命も……なにも護れなかったんだもの」
果南「街はともかく、医者が命を救えなかったっていうのはいいね。無様すぎてお腹が捩れそうだよ」
真姫「そのときは私が治してあげるわよ。臓器全摘出して……ホルマリンに漬け込んで弄んであげる」
果南「恐い恐い♪そうなる前に……豹のステーキでもかぶりつこうかな」スッ
果南が出現させた武器は……
安価下1コンマ
奇数→両腕の手甲(ガントレット)
偶数→身の丈以上の大剣
果南「♪」ガシン!
真姫「魔神器……」
果南「デッドハグ……人魚の腕に抱かれて死になよ」
真姫「遠慮するわ……!!」ダンッッ!
ボオオオオッ!
果南「突っ込んできていいのっ?次は……少し力入れるよ!!」ダンッッ!
真姫「!!」
果南「うらぁっ!!!」ゴオオッ!
真姫「ちっ!!」ボオッ!
ヒュンッ!
真姫「ッ!!」ミシッ
果南「咄嗟に炎をブーストさせて方向転換したね……でも……」
ブラン……
真姫(掠めただけで左肩が外れた……!!)
真姫「ッ!!」ゴギン!
果南「アッハハ、無理やり嵌めたよ♪」
真姫「よく回る口ね!!」ブンッ!
ガギィン!
果南「嵌め直した腕ですぐに殴るんだ……」グググ……
果南(私と同じ【超速再生】……一瞬だけど【痛覚遮断】もしたのか。この人……戦闘力のバランスがいい。苦手だけど……)ニィッ!
真姫「!!」
果南「イカれ具合は好きになりそうだ!!」ザバァン!
真姫(大質量の水……いや、津波……ッ!!)
果南「まだ私のクラスを言ってなかったね!!私は災害人魚(ディープマーメイド)の果南!!固有スキル【深き海の氾濫】は……マーキングした相手を叩き潰す追尾型の津波だよ!!!」ザバァーン!
真姫「マーキング……」バッ
キラッ……
真姫「これは……鱗……?」
果南「よく気付いたね♪」
果南『うらぁっ!!!』ゴオオッ!
真姫『ちっ!!』ボオッ!
ザバン!
ザバァン!
真姫「っ!!」ヒュンッ ヒュンッ!
果南「建物や瓦礫を足場に……よくそこまで縦横無尽な動きが出来るって褒めてあげるよ!」
真姫「べつに嬉しくないわよ」ダンッ!
果南「けど、私の波からは逃げられない!!」
ザバァン!
真姫「はああっ!!」メラッ……ボオオオオッ!
ジュアアアアアッ
ザバァーン!
果南「その程度の炎じゃ無理だよ!!」ニッ
真姫「あっそ……なら、このマーキングを剥がしちゃえばいいんでしょ」
果南「ムダだよ。その鱗は肉体じゃなく、魔力に喰らいついてる。魔力が尽きない限り、それが剥がれることはない!!」
真姫「魔力に……ね」
果南「ほぉら……波に呑まれて溺れ死ね!!」
真姫「ふん……本当によく回る口……。あなた頭はよくないでしょ」
果南「はあ?」
真姫「ペラペラといらない情報を喋ったのは、対処法が無いっていう無意味な確信のつもりだったのかしら。知らないなら教えてあげるけど……どんな対処も完璧にこなすのが名医なのよ!!」スチャ……
果南「赤い銃……?」
真姫「神器……ドリームトリガー。オペレーション、スタート」
キィン……
真姫「……………………」コオォ……
果南「なにを出したかと思えば……ただの機巧銃?そんなので私に立ち向かうつもり?無謀にもほどがあるよ」ケラケラ
真姫「愚策に見えるなら……その愚かしさは自分自身に投影しなさい」
果南「まだ言うんだ。ていうかさ……お姉さん、戦い方がチグハグだよ。臨機応変っていえばそれまでだけどさ、医者で、戦えて、銃を使うなんて……それぞれで欠点を抱いてるようにしか感じないんだよね!!」
ザバァン!
果南「少しはヤるかと思ったけど……これでおしまいだよ!!」
真姫「そうね。おしまいにしましょ」ジャキッ!
果南「この津波を前に……弾丸なんか――――――」
真姫「間違いだらけのあなたに教えてあげるわ。ドリームトリガー……その力を!!」クルッ
果南「ッ!?銃口を……自分に!?」
真姫「♪」ニッ
バシュウッ!
果南「自分を撃った……!!?なに……トチ狂ったの!?」
真姫「はあぁ……」シュウウウ……
果南「ッ、意味わかんない!!!」
ゴオオオオオッ!
真姫「追尾型の津波……だっけ?じゃあもう当たらないわよ」
果南「!?」
真姫「♪」ヒュンッ
ザパアアン!
果南「難なく避けた……!?バカな……魔力がある限り、鱗のマーキングは……」
真姫「魔力がある限り……なんでしょ?なら無理よ。今の私には魔力は無いから」
パラッ……
果南「鱗が剥がれて……いったいなにをしたの」
真姫「べつに。ただ"改造"しただけよ」
果南「改……造……!!?」
真姫「魔力の全てを他の機能に変換し、さらに魔力が無くても身体能力を維持するように。魔力が無ければマーキングは意味を成さないんでしょ」
果南「……………………!!!」
真姫「私の神器ドリームトリガーは、ただの機巧銃じゃない。私の意思でプログラミングされた目に見えない極小の機械生命体、ナノマシンを身体に撃ち込むことで肉体の組成を変異させる……医療器具なのよ」チャキ
果南「……………………っ」
真姫「あら、さっきまでの饒舌だったあなたはどこへ行ったの?」
果南「この……ババア……」ゴゴゴゴ……
真姫「いい顔をするじゃない。悔しさに歪んどその顔……見ていて愉快だわ」クスッ