うちの町内でバラバラ死体が発見されました。
公園のトイレ脇のゴミ捨て場に、ゴミ袋に入れられた人間の
手足の一部が捨てられていたのです
モブ子A「ほら、ここよ。バラバラ死体があったの・・・」
モブ子B「この近くに殺人鬼が住んでるってことよね・・・」
モブ子C「そうとは限らないわよ、遠くから捨てに来たのかもしれないから」
モブ子D「あら!」
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ことり「・・・・・・」
モブ子A「ことりじゃない、あなたも道草?」
ことり「あっ、ううん、私は帰宅途中だよ。ここ通学路だもん」
モブ子C「ああ、そう言えばあんたの家、この近くだっけ?」
ことり「うん、そうだよ」
モブ子B「もう知ってるだろうけど、ここでバラバラ死体が見つかったって」
ことり「うん、私も今朝聞いてびっくりしちゃった。まさか家の近くで
そんなことが起こるなんて」
モブ子D「気をつけなさいよ。まだ犯人がその辺りをうろついてるかもしれないから
なんたって、スクールアイドルでしょ」
ことり「大丈夫だよ、夜に出歩いたりしないし、戸締りもちゃんとしてるから」
ことり「・・・・・・・・」
翌日、今度は胴体や他の手足が近くのドブ川やごみ箱から見つかって、学校でもこの話でもちきりに・・・・
でも、私は少し心配事がありました・・・・
モブ子C「今度は駅の向こうのゴミ捨て場だって。私、あそこ知ってるわよ」
モブ子B「まだ頭だけ見つかっていないんでしょ?」
ことり「・・・・・・・」
ことり「ねえ、真姫ちゃん」
真姫「あら、ことり。どうしたの?」
ことり「今日、ウチに来ない?ちょっと相談したいことがあるんだ」
真姫「ええ、良いわよ(衣装の事かしら?)」
――――(放課後)―――――
真姫「で、相談って?」
ことり「うん、まず見てほしいものがあるの」
ことり「今日はお母さん遅くなるはずだから、今誰も家にいないんだ」ガチャッ
――――(ことりの部屋)―――――
ことり「ちょっと待ってて・・・」ゴソゴソ.....
ことり「これなんだけど」ゴトッ
真姫「何よこれ?」
ことり「お父さんの釣り用のアイスボックスだよ」
真姫「女の子の、ましてことりの部屋のクローゼットに入ってそうな
ものではないわね・・・・」
ことり「それじゃ開けるけど、いいかな?何が出てきても驚かないでほしいな」
\パカッ/
生首「」
真姫「・・・・・・っ!!」
真姫「・・・・・何よこれ!?」
ことり「頭だよ、バラバラ事件の。ほら、今警察が探してる・・・・」
真姫「何でそれがここにあるのよ・・・・」
ことり「公園のバラバラ死体、掃除のおばさんが第一発見者ってことに
なってるけど本当は私なんだ。」
真姫「はぁ・・・・・」
ことり「あれ、もう少し驚いてもいいんじゃないかな・・・?」
真姫「あなたが驚くなって言ったんじゃない」
ことり「うん、まあいいけど。とにかくあの日の朝なんだけど・・・」
――数日前、早朝未明――――――――――――
ことり「こんな時間に目が覚めるなんて、珍しいなあ」コツコツ.....
ことり「じっと家にいるのも勿体ないと思って散歩に来てみたけど」
ことり「早朝の誰もいない公園、昼間の賑やかな感じとまた違っていいなあ。フフッ♪」
ことり「静かな公園の景色をことりが全部ひとり占めできるなんて、今日はいい一日になりそう!」
ことり「ん・・・?」
バラバラ死体「」\デデーン/
真姫「あったって訳ね」
ことり「うん、半透明のゴミ袋に入ってて中身が丸見えなんだもん。
頭が入ったのと、手足が入ったのと二つあってね」
ことり「最初ぎょっとしたけど、なんかすごいもの見つけちゃったって思って、思わず持ってきちゃったんだ」
真姫「いやいや、確かにすごいけど、普通持ってくる?」
ことり「うーん、確かにそうなんだけど・・・あの時は興奮してて・・・」
ことり「ただ警察に知らせるだけじゃ惜しい気がしてさ・・・」
ことり「ほら、第一発見者なんて最初だけですぐに忘れられちゃうでしょ?」
真姫「まあ、そうね」
ことり「それよりも、こんなこと滅多にないし、みんなにも見せたかったし・・・」
真姫「それはどうも。でも、みんなには見せないほうがいいと思うわ。だって――」
花陽『ピャアアッ!!ダレカタスケテ―ッ!!』
にこ『何考えてんのよっ!もしこのことが公になったら、ラブライブ出場どころじゃなくなるわよ!!』
絵里『・・・・・・・・・・チカァ』ブクブクブク....バターン!
希『エリチイイィっ!!』
ことり「そうだよね・・・・・」
真姫「んで、どうするの、これ?」
ことり「それを相談したかったんだ」
ことり「今頃になってから警察にも持っていき辛いでしょ。だからっていつまでも持ってる訳にもいかないし」
真姫「何で?」
ことり「明日、お父さんが釣りに行くの。それでアイスボックスがないって昨日あちこち探し回って他の」
ことり「私が無断でこんなことに使ってるって分かったら怒られるよ」
真姫「冷蔵庫にでも入れたら?(怒る点はそこじゃないと思うけど・・・)」
ことり「お母さんが気絶しちゃうよ・・・・あのね、そういうことじゃないくてね」
ことり「わたしも出来心でつい持って来ちゃったけど困ってるんだ。やっぱり元の場所に
置いといた方がいいかなあ?」
真姫「うーん、そうねえ・・・・いいわ、家にこういう事の本が無かったか調べてみるわ」
ことり「本当に?ありがとう、真姫ちゃん!」
真姫ちゃんの家はお医者さんで、大きな病院を経営しています。だから、医学や生物にまつわる本も
たくさん持っています。真姫ちゃんはその本を探して、翌日すぐに家に来てくれました
真姫「お待たせ、あれはどこに?」
ことり「この段ボールの中だよ。お父さんがアイスボックスを持って行ったから
とりあえずここに・・・・」
真姫「まだ腐ってなかければ多分、この本が役に立つわ」ゴソゴソ......
ことり(こういう事に関する本って、どんな感じだろう・・・・・)
ことり(『死体処理の方法』、『完全犯罪入門』・・・・・・)
ことり(・・・・・・・・)
真姫「はい、これ『趣味と実用シリーズ 正しい生首の飼い方』」
ことり「何それっ!?」
真姫「タイトルの通りよ」
真姫「ほら、まず大きめの水槽を用意するとあるわ。そういう物ある?」
ことり「・・・・・お父さんが昔熱帯魚にハマってた時の水槽が
確か物置にあったと思うけど・・・・・・」
ザバババババババババ...............
真姫「入れるわよ、いい?」
ことり「うん・・・・・」
生首「」トポンッ、ズブブブ......
生首「」ユラユラ.....フヨフヨ......
真姫「水温はあまり高すぎず低すぎず、水は週に一度くらい変える・・・」
真姫「餌は初めのうちは熱帯魚用の乾燥餌でよい・・・・」
真姫「慣れてきたらイトミミズなどを与えるとよいでしょう・・・か。ことり、分かった?」
ことり「うん・・・・・・・」
真姫「それじゃあ、私帰るから。時々見せてね」
ことり「ちょ、ちょっと待ってよ真姫ちゃん、こんなのお母さんたちに
見つかったらどうするの!?」
真姫「日光に当てる必要は無いみたいだから、また押し入れにでも
入れといたら?それじゃ、バイバイ」バタンッ
ことり「・・・・・・・・」
なんだかよく分からない内に、私は生首を飼うことになってしまいました。
気持ち悪かったけど、せっかく危険を冒して持ってきた生首をただ黙って捨ててしまうのは
勿体ないし・・・・・・まあ、飽きたら捨ててしまえばいいか
ことり「はい、ごはんだよー!」パラパラパラ..........
生首「」ユラユラ.....フヨフヨ......
ことり「・・・・・・・・」
ことり「じゃ、じゃあ私、衣装作りがあるから、ゆっくり食べてねっ!」
ことり「・・・・・・・・・」
生首「」ユラユラ.....フヨフヨ......
始めのうちは馬鹿馬鹿しい気もしました。でも水中に入れた乾燥餌はいつの間にか
無くなっているし・・・生首は腐る様子もないし・・・・
ガチャンッ
ことり「ただいまー!生首くん!今日もいい子にしてた?」
生首「」フヨフヨ......
ことり「そうそう、今日学校でね――――――――」
生首「」フヨフヨ......
ことり「海未ちゃんが新しい歌詞を作ったんだけど、それを聞いた
穂乃果ちゃんがね―――――――――――」
生首「」フヨフヨ......
ことり「それを見た凛ちゃんも一緒になって―――」
生首「」フヨフヨ......
ことり「――――だから、色々あったけど、今日もすっごく楽しかった!」
ことり「生首くんは、今日はどんな日だった?」
生首「」ユラユラ.....
ことり「・・・・・・・・・・・・・・・」
ことり「私、何してるんだろう・・・・・・・・」
でも、水の中でゆらゆら揺れている様子を見ていると
なんだか本当に生きているような気がしてくるんです
真姫「お邪魔しまーす」
ことり「あ、いらっしゃい、真姫ちゃん」
真姫「あれからどう?生首くんは元気?」ガサゴソ.......
ことり「あー・・・・うん、元気だよ」
真姫「お、いたいた。ほーら、お土産のイトミミズよ」パラパラパラ.....
ことり「ピイッ!?ミ、ミミズ・・・・・!!」ビクッ!
真姫「おー食べてる食べてる」
生首「」フヨフヨ.....
生首「」パクパク.....パクパク
ことり「・・・・・本当だ、食べてる・・・・・うう、気持ち悪い・・・・」
確かに生首は口を動かして、イトミミズを食べています
目玉もキョロキョロ動かしています
ことり「・・・・・・・・・」
生首「」フヨフヨ.....パクパク.....フヨフヨ.....パクパク....
生首「」フヨフヨ.....キョロキョロ.....
真姫「名前をつけてあげなくっちゃね・・・」
ことり「名前・・・・!?」
真姫「亜貴なんてどうかしら?」
ことり「・・・・・・・・・」
真姫「いや、やっぱりだめだわ。雄平は?」
真姫「それとも良典にする?最近ノーベル賞とった人」
生首「」ユラユラ.....スイスイ.......
生首は水槽の中を泳いでいます。こうして見ると
だんだん魚みたいな気がしてきます
ことり「真姫ちゃん、あのね・・・・・」
真姫「うん、やっぱり雄平がいいわね」
ことり「ねえ、真姫ちゃん・・・・私、生首を飼いたかったわけじゃないと思う・・・・」
真姫「え?じゃあどうしたかったの?」
ことり「どうって言われても・・・大体、生首なんて飼えるのかな?」
真姫「現に飼ってるじゃないの、飼育法の本もあるし・・・・」
ことり「飼ってるって言っても・・・それにこの本、誰かが冗談で出したんじゃないの?
図書館で見たことあるけど、恐竜の飼い方の本だってあるし・・・」
ことり「それにやっぱり、こういうのを飼うの、よくないと思うんだ。」
ことり「私たちスクールアイドルをやってるでしょ、それがクローゼットの中で
生首を飼うなんて、なんか暗くて、全然アイドルのイメージじゃないよ」
真姫「そーお、なんなら私が引き取ってもいいんだけど・・・・・
(何でもっと早くそう思わないのかしら・・・・・)」
真姫「でも、せっかくあなたが飼い始めたものなんだから・・・・・・
本にはなんて書いてあるの?」パラパラ.....
真姫「なになに?飽きたり飼うことができなくなった時は
海や川に返してあげましょう。だって」
ことり「返してあげましょうって・・・・これ、ごみ捨て場で拾ったんだよ?」
真姫「でも今はこうして泳いでいるんだからね。まあ、海未は全ての生命の
故郷だって言うし、いいんじゃないの?」
ことり「・・・・近くの川でいいんだよね?」
真姫「いいんじゃないの?」
生首「」ユラユラ.....スイスイ.......
そういうわけで、私たちはその夜、生首を川に放しに行きました
真姫「それじゃ、用意はいい?」
ことり「うん、よいしょっと!」
グググ.....ザバアァァッ!!ボチャンッ!!
真姫「これでよし。さようなら、雄平。元気でね!」
生首「」ゴポゴポゴポ..........
ことり「二度と戻ってこないでね!」
真姫「あっ、鯉につつかれてる」
生首「」ゴポゴポゴポ.....クルッ.......キョロキョロ..
生首「」......スイー....スイー....
雄平、いえ生首は流れ去る前に、私たちの方を振り向いて
別れを告げたように見えました(全然悲しくないなぁ・・・・)
真姫「おっ鯉に噛みついた・・・・よーし、達者で暮らしなさいよ!!」
ことり「帰ろう、真姫ちゃん・・・・」
ちなみに例のバラバラ事件は、未だに頭部が見つからず未解決のままです。
原作:諸星大二郎『栞と紙魚子1 生首事件』(ネムキVOL.23★1995年掲載)
暫くしてクローゼット開けたら台夕くんの生首が!ってオチかと
淡々としてるけど絵面ヤバいなコレ…
不思議な雰囲気で面白かった、乙