リアルサウンド2021.10.24 07:00
https://realsound.jp/book/2021/10/post-886444.html
現実とかけ離れた描写も多い漫画作品の数々。それは料理も同様で、かなり突飛なものも、数多く登場する。今回はそんな漫画に登場した突飛な料理の一部を検証してみたい。
■ジャムコーララーメン『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』に登場した伝説的なラーメンが、「ジャムコーララーメン」である。両津勘吉が勝手に本田速人のために注文したもので、本田は「なんでぼくがそんなものをたべるんですか!」と抗議していた。
肝心の料理は、ラーメンのスープがコーラになっていて、その上にいちごジャム、そしてバナナ、パイナップルが載っている。両津は自分が食べないこともあり、「いやあ本田くんのおいしそうだね」と、心にもなさそうなことをつぶやく。本田は「あったかいコーラにいちごジャムとバナナが入っている気味悪いなあ」と話した。
その味については低評価が目立つものの、ラーメンのスープをコーラにしていちごジャムを入れるという発想は唯一無二のもの。革新的なアイディアを多数出してきた『こち亀』らしい料理といえよう。
■タバコかけご飯『将太の寿司』
『将太の寿司』で、語り継がれている料理が、煙草かけご飯だ。ご飯の上にタバコの葉がたっぷりと乗ったもので、食べられるものではない。
このご飯は寿司屋で働き始めたものの、タバコがやめられない少年の母が作ったもの。これを母は自分で食べ、病院に運ばれ入院する。母の命を懸けた行動に、息子は改心し、タバコをやめることを決意した。
タバコの葉をかけたご飯を食べることは不可能で、作る人はいない。料理としては成立しないが、子を思う母の真心が詰まった料理だった。
■ヤング肉じゃが『クッキングパパ』
『クッキングパパ』の荒岩一味が作った若者向けの肉じゃが、名付けて「ヤング肉じゃが」。手羽先とじゃがいもを鍋に入れ煮込み、隠し味にコーラを入れるのが、最大の特徴である。
荒岩はコーラを使うことについて、「炭酸の働きで肉なんか短時間で柔らかくなるぞ」「コーラの香辛料が隠し味となってうまいぞ」とアピールしていた。数多くのレシピを提供する『クッキングパパ』だけに実際に作って見る人も多く、ネット上では「美味しい」という評価が上がっている。
■殻付きしじみカレー『あたしンち』
お母さんがしじみの味噌汁を作ろうとしたところ、味噌が切れていることに気が付き、カレー粉を入れて作り出したカレーだ。
しじみの殻を取ることなくそのままカレーとして出したため、子供たちの評価は最悪。ただしお父さんだけは文句をつけることなく、しじみを殻から取り出し、吸うようにして食べていた。
お母さんの殻つきしじみカレーは異常といわざるをえないが、剥き身を入れたしじみカレーはシーフードカレーの一種として好まれている。お母さんの発想は、決して間違いではなかったといえよう。殻はとってほしいが…。
■レシピ代わりになるのも漫画の魅力
作品を楽しめると同時に、レシピ本としても活用できる漫画。突飛な料理も、中にはつい真似してしまいたくなるようなものもある。自由な発想は、日本の食文化の豊かさにも貢献しているかもしれない。