1 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:00:01.42 0
2 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:01:00.20 0
3 :
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2016/10/03(月) 22:02:12.85 0
4 :
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2016/10/03(月) 22:02:54.29 0
5 :
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2016/10/03(月) 22:03:12.03 0
6 :
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2016/10/03(月) 22:03:31.96 0
7 :
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2016/10/03(月) 22:03:46.08 0
8 :
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2016/10/03(月) 22:04:06.27 0
9 :
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2016/10/03(月) 22:05:07.16 0
雅ちゃんのアソコを触るももち
10 :
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2016/10/03(月) 22:05:24.93 0
11 :
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2016/10/03(月) 22:05:43.01 0
12 :
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2016/10/03(月) 22:06:04.00 0
ももちの敏感なところを触る雅ちゃん
13 :
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2016/10/03(月) 22:08:48.64 0
さんすく
14 :
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2016/10/03(月) 22:09:25.04 0
しえん
15 :
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2016/10/03(月) 22:09:30.45 0
16 :
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2016/10/03(月) 22:10:57.30 0
まさかこのご時勢にみやももスレが4スレ目まで行くとはな
うれしいわ
17 :
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2016/10/03(月) 22:12:00.43 0
このご時世だからこそですよ
18 :
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2016/10/03(月) 22:13:03.21 0
立ったんだ
おっぱい触っただけでこんなに続くなんて大したもんだ
19 :
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2016/10/03(月) 22:16:44.67 0
落ちるやん?
20 :
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2016/10/03(月) 22:17:14.78 0
みんな感覚が麻痺してるけど普通おっぱい触らない
21 :
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2016/10/03(月) 22:17:36.54 0
みやももガイドライン化してる
22 :
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2016/10/03(月) 22:18:53.71 0
23 :
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2016/10/03(月) 22:18:54.75 0
個別でおっぱい触られたときの気持ち聞きたい
24 :
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2016/10/03(月) 22:20:17.33 0
雅ちゃんからすれば私は昔お股をクイッてやられたんだから
今さらおっぱい触られたくらいでガタガタ抜かすなよって気持ちなんじゃないか
25 :
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2016/10/03(月) 22:20:50.13 0
いやらしい二人
26 :
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2016/10/03(月) 22:21:50.26 0
乙支援
27 :
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2016/10/03(月) 22:22:09.20 0
最近は毎朝このスレをチェックするのが日課になってる
28 :
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2016/10/03(月) 22:24:23.39 0
愛理の前でやるなよ
29 :
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2016/10/03(月) 22:31:43.46 0
わざと見せつけてるとしか思えないレベル
30 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:31:57.14 0
あかんで
31 :
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2016/10/03(月) 22:34:17.75 0
あかんか
32 :
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2016/10/03(月) 22:36:00.31 0
>>28 子供の前でいちゃつく夫婦みたいなばつの悪さ
33 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:37:25.38 0
この手のスレがダレずに一ヶ月続いてるのがすごい
34 :
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2016/10/03(月) 22:37:38.75 0
適当にスキャンしたので汚いけど新スレ記念に
35 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:43:57.71 0
36 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:44:15.60 0
素晴らしい
37 :
s129.142.21.1.ipda.vectant.ne.jp@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:44:20.08 0
>>34 ノノl∂_∂'ル ル ’ー’リ <なつももちゅ!
38 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 22:44:42.58 0
完走したいな
39 :
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2016/10/03(月) 22:45:07.43 0
40 :
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2016/10/03(月) 22:45:32.47 0
41 :
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2016/10/03(月) 22:48:05.92 0
ノノl∂_∂'ル ル ’ー’リ < すまん、興奮した!
42 :
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2016/10/03(月) 22:50:33.72 0
興奮したなら仕方ないなよくあることだな
43 :
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2016/10/03(月) 22:52:59.58 0
44 :
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2016/10/03(月) 22:53:17.83 0
45 :
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2016/10/03(月) 22:53:32.82 0
46 :
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2016/10/03(月) 22:53:56.98 0
47 :
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2016/10/03(月) 22:54:16.78 0
48 :
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2016/10/03(月) 22:56:00.97 0
49 :
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2016/10/03(月) 22:56:13.76 0
50 :
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2016/10/03(月) 22:56:58.22 0
51 :
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2016/10/03(月) 22:57:41.23 0
52 :
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2016/10/03(月) 22:58:33.18 0
53 :
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2016/10/03(月) 22:59:04.25 0
貼ってて思ったんだけどラブラブすぎるだろこの2人
54 :
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2016/10/03(月) 23:00:22.14 0
ちょw愛理消されてるw
55 :
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2016/10/03(月) 23:00:22.49 0
56 :
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2016/10/03(月) 23:00:39.15 0
57 :
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2016/10/03(月) 23:01:02.62 0
ももち結びをする雅ちゃん
58 :
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2016/10/03(月) 23:03:05.59 0
現行中の小説
プロローグ
1992年 3月 6日 千葉地方
「何?生まれた?そうか!そうか…生まれたか!」
男は電話に向かってそう興奮気味に話すと、受話器を放り出し、韋駄天の如し速さで部屋を飛び出した。
「おい!車を頼む!生まれた!大急ぎだ!」
この男、ここでは敬意をもって"嗣永伯爵"と呼ぶことにするが、
千葉地方では押しも押されぬ名士であり、嗣永家9代目当主でもある。
さて、そんな男がなぜ今こんなにも慌てているのかといえば、既にお察しのところであろうが、
もちろん、今し方、この嗣永家に待望の第一子が誕生したからに相違ない。
「桃子」と名付けられたこの子供は、少しばかり首をかしげるような変化はあったものの、
すくすくと成長し、やがて15年後、運命の出会いをすることになる。
(つづく)
59 :
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2016/10/03(月) 23:03:38.90 0
「桃子様、どうかおやめください!」
◇
その日、嗣永家は朝から慌ただしかった。いや、慌ただしくさせられたといった方が正確だろうか。
最初に異変に気付いたのは、メイド長のサキであった。
彼女の役目といえば、もっぱらメイド達の指導であるが、それとは別に、"朝に弱い桃子様を起こす"という、重大な任があった。
そんなわけで、今朝も平時と変わらず、朝の7時頃に部屋の扉を叩いたのだが、
おかしいかな、いつもなら3回ほど繰り返せば起きてくるところが、今日に限っては一向にその気配がない。
「これは何かおかしい」 ―嫌な予感がしたサキが扉を開けると、案の定、部屋の中は物の見事にもぬけの殻であった。
さていよいよ屋敷の中は大騒ぎである。何しろ、朝一番に大事な嗣永家の第一子が忽然と姿を消してしまったのだから、これはただ事ではない。
かくして、嗣永家使用人総出での大捜索が開始された。
居室から厨房、物置小屋に至るまで、その勢いたるや髪の毛一本すら見逃さないほどであったが、一向に見つかる気配がない。
かといって攫われた形跡もなく、ほどなくして捜索は暗礁に乗り上げた。一体全体、何処に消えてしまったのだろうか?
ところでそんな様子を、向かいの屋敷から、二人して双眼鏡越しに覗く影があった。
片割れは名を徳永千奈美といい、この屋敷の持ち主、つまり徳永家のご令嬢である。
そしてもう一人、双眼鏡片手に笑っているこの青年こそ、今朝方から嗣永家に騒ぎを巻き起こした張本人、嗣永桃子その人であった。
60 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:04:08.57 0
この嗣永桃子という青年、決して特別背が高いとか、スタイルが良いとか、そういう訳ではないのだが、
程よく引き締まった体とその端正な顔立ち、カラッとした性格は、他家のお嬢様方の気を引くに十分足るものであった。
もちろん、今隣で双眼鏡を握っている千奈美嬢もその例外ではなく、密かに桃子に思いを寄せる一人である。
さて、ではなぜそんな好青年が今、大変な騒ぎになっている自分の屋敷を見て笑っているのか、
実に不可解な光景であるが、当然、桃子には桃子の道理があって、今こうして双眼鏡を握っているのである。
◇
原因は昨晩に遡る。
聖Berryz学園 ―千葉地方有数の名門校であり、桃子の通う学校でもある― その学園の高等部第二学年の新学期を翌日に控え、
桃子はとある願いを聞き入れてもらおうと、メイド長サキの執務室を訪ねていた。
「サキさんお願い。もう私も16歳なんだから、一人で学園まで通えるって!」桃子がそう言うと、即座にサキがこう返答した。
「桃子様、それはなりません。私ども、ご主人様から、桃子様を必ず毎日学園まで送迎するよう仰せつかっております。」
もうこうやり取りをするのも何度目だろうか。「毎朝歩いて一人で学園に通いたい」 ―たったそれだけの、
16歳にもなる青年の願いとしては、むしろどこか奇妙な響きさえするような願いなのだが、サキの前ではそんな常識は通用しない。
これ以上は無駄だと悟ったかのように、物言いもそこそこに、桃子は渋々と執務室を後にした。
この時サキが、今日に限っては桃子がやけにあっさりと下がったことに気付いていれば、
あるいは翌朝のあの大騒動は防げたのやもしれないが、ご存知の通り、サキが気付くことはなく、かくして事件は起こってしまったのである。
61 :
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2016/10/03(月) 23:04:34.36 0
◇
さて、再び舞台は徳永家屋敷。おや、つい先刻まで、こと近しい様子で肩を並べていた二人の姿が無い。
空っぽの部屋の中には、窓縁に二面ほど置かれた双眼鏡が、ただ朝陽を映すばかりである。
諸賢を盥回しにする様で申し訳ないのだが、此処にいても仕方がないので、渦中の嗣永家へと戻る事にしよう。
来た赤絨毯の廊下を戻り、立派な欄干の階段をくだる。園庭を抜け、門をくぐり…
やや、道の向こう側、嗣永家の表門の傍に、何やら人目を忍ぶ二つの人影。
二つはどうやら男と女。一つは端麗、一つは華麗。
ああ、なんということだろうか。あれは桃子と千奈美嬢だ。
一体全体、何をしでかすつもりなのか、いやはや、見当もつかないが、ともかく、桃子様を止めなくては。
駆け出す。桃子が気付いた。その手に携えるはサキの自転車。瞬間、自転車が走り出す。間に合わない。
そして、サキは叫んだ。
「桃子様おやめください!」
62 :
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2016/10/03(月) 23:05:13.98 0
二.
夏と桃
ダイニングに淹れたての珈琲豆の匂いが立ち込める。
胡桃の無垢材でこしらえられた立派なテーブルの上には、編み籠の中にとりどりのパンと、色彩豊かなサラダ。
微かに聞こえる朝のさえずりの中、椅子には、少し茶色がかったブロンドの髪をした、美麗な少女が食をとっている。
少女は、薄めの珈琲牛乳が注がれたグラスを空けると、所作丁寧に食事終わりの挨拶を済ませ、席を立った。
身嗜みを整え直し、表扉へと向かう。それから「ふうっ」とひとつ息をはき、扉を出た。
門の前では、ピカピカに磨き上げられたロールス・ロイスと、傍らには執事が一人待っていた。
執事は少女に気付くと、軽くお辞儀をし、
「お嬢様、おはようございます。お待ちしておりました」と言うと、車の扉を開けた。
「ありがとうクマイ。ところで、私の鞄持ってくれた?」
「あっ、すみません。失念しておりました。すぐにお持ちいたします。」
クマイはそういうなり、慌ただしい様子で屋敷の中へと戻って行った。
さて、彼女を待つ間に、諸賢におかれましても一番の関心事であろうから、
少女とクマイについて、少し紹介をすることとしよう。
まずはクマイであるが、ご覧の通りこの屋敷に務める執事であり、そして、彼女 ―つまり女性である。
何故、彼女が男性の装いで、さらに執事として務めているのか。それはともかく、凛々しい顔立ちとすらっとした長身は、
名家の執事として見劣りするものではなかった。 ―少し抜けたところはあるようだが。
一方で今、車中、心許なげな様子でクマイを待つこの美麗な少女であるが、
嗣永家と並び立つ、千葉地方きっての名家、夏焼家の令嬢であり、名を雅という。
彼女もまた、今年度から聖Berryz学園の高等部に通う生徒である。
63 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:05:39.43 0
その姿は、思わず息をのむほどの美しさであると、以前からもっぱらの噂であったが、
家の方針から、昨年までは密かに市井の学校に通っていたため、この界隈に姿を見せるのは、実に今日が初めてのことなのである。
当然、桃子や千奈美嬢もその姿を知るところではなかった。
◇
二、三分ほど経っただろうか、クマイは大きな白い鞄を抱えて車へと戻ってきた。
クマイは急ぎ車に乗り込むと、運転手に一言二言話し掛け、車を発進させた。
それから分厚い手帳を取り出すと、慣れた様子でページを繰り、今日の雅の予定を確認する。
「雅様は入学式の後、昼から学園の歓迎パーティ。」 ―特に問題はない。予定通りだ。
そうしてから、心の中でもう一度予定を復唱すると、手帳を閉じた。
64 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:06:28.05 0
桃子は悠々と自転車を走らせていた。どうやらサキのことは撒いたようだ。
千奈美嬢を残してきたことが少し気がかりではあったが、サキもさすがに他家のお嬢様には干渉しまい。
心地よい朝風の中で、そんなことはすぐに忘れてしまった。
平時ならば車中から見ている景色の流れが、心なしか、自転車から見るとやけに早く感じる。
「真野さんの屋敷を通り越してから、一、二、三…」
毎朝窓外に見える屋敷の並びを思い浮かべながら、学園への路を辿ってゆく。
角を曲がると、並び立つ新緑まばゆい鈴懸の木が桃子を出迎えた。
そのまま並木道を暫く進むと、ちらほらと学園へと向かう生徒の姿が目立ち始める。
皆それぞれ自転車に乗った桃子に気付くと、一様にギョッとした顔をするのが少し可笑しい。
桃子は、いよいよ愉快な気分になると、一気にペダルを踏み込んだ。目の端を、景色が線になって通り過ぎてゆく。
暫くして、学園の正門が見えたところで桃子は速度を緩めた。
正門は、白煉瓦で造られた、3メートルはあろうかという荘厳な門柱に、線密な装飾が施された鉄製の黒い鋳物門扉からできており、
上部には、スイス式の盾のサポーターに麦の穂と、ベースにリボンをあしらった学園の紋章が陽の光に輝いている。
桃子は門の前で自転車を降り、軽く一礼してから、門をくぐった
65 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:07:34.60 0
門の中、外庭は既に多くの生徒で賑わっていた。ところどころ、知らない顔の生徒を見かける。おそらく今年度の新入生だろう。
皆、足並揃えて、学舎横の、入学式が執り行われる講堂へと向かっている。
人の流れを眺めながら、昨年、新入生として入学式に出席した時のことを思い出した。
―あの時は、一人だけ講堂前まで車をつけられて、少し気恥ずかしかったっけ。
今年はというと、やはり同じ様な目に遭っている生徒が居るようだ。
講堂前には、立派なロールス・ロイスが一台停まっていた。車の傍らに立つ、凛々しい顔立ちの長身の執事が目を引く。
まもなく扉が開いて、車の中から主が降りてきたようであったが、人波に視界を遮られ、
桃子からはただ風に靡く金色の髪が見えたばかりであった。
再び歩みを進める。まずは、この自転車を止めなければ。途中何人か、顔馴染みの学友と挨拶を交わしながら、
外庭を抜け、ピロティ形式の学舎を潜り、駐輪場へと向かう。そして、いよいよというところで、なぜか桃子は立ち止まった。
向かう先に、なにやら見覚えのある人物が桃子を待ち構えていることに気付いたからである。
その人物は、桃子に気付くと、まっすぐこちらへと向かってきた。
距離が近づくにつれて、先程までは建物の影でおぼろげにしか見えていなかったその人物の姿が明瞭になる。
桃子とさして変わらない背丈、落ち着いた雰囲気のシックなメイド服、 少し赤みがかったセミロングの髪。・・・サキだ。
しかし、普段サキが使っている自転車は、今はここにある。一体どうやって?
色々と頭を巡らせる間に、サキが桃子の下へと辿り着いた。
「桃子様、お体の方は無事でございますか?」とサキが言った。
「私は大丈夫だけれど。サキ、自転車なしでどうやって?」
「桃子様がわたくしの自転車に乗って行かれたのと同じように、わたくしも普段桃子様を学校まで送り届けている車に乗ってきたのです」
そう言うと、サキは振り返り、後方を指差した。なるほど、確かにあれは普段桃子を送迎している車だ。
「千奈美様は既に講堂へ向かわれました。ご安心ください」サキが続ける。
「桃子様、お気持ちは解りますが、どうか無茶をするのはお止め下さい。
それでなくとも、桃子様は人に言えぬ事情をお持ちの身なのです。怪我でもなさったら大変です。ご理解いただけますね?」
いつになく真剣な顔で話すサキを前に、桃子は渋々頷く。
そんな桃子を見て、ひとつため息をつくと、サキはさらに続けた。
「ですが、先程申しましたように、桃子様のお気持ちも解ります。
ですので、明日からは学園までわたくしも自転車でお供することにいたしました。
既に桃子様の自転車も手配させております。それでよろしいですね?」
ああ、なんということだろう。願いがかなった。桃子は嬉しくなって、思わずサキに抱きついた。
「サキありがとう! もも、本当に嬉しい」
「桃子様、学校でご自分のことを『もも』と呼ぶのはお止め下さい。それと言葉遣いも。」
「ともかく、今日の帰りだけはお供しかねますので、お迎えにあがります。放課後、必ず正門前でお待ちください。」
そう言い残すとサキは、桃子の手をゆっくりと解き、自転車を引き取って、屋敷へと帰っていった。
「今日はなんて幸せな日なのだろう」
桃子は、ゆっくりと幸せを噛みしめた後、学舎へと向かった。
66 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:08:01.61 0
―眠い。
気が付くと、講堂には人っ子一人いなくなっていた。小さな欠伸をした後、まだ眠たそうな体を無理やり起こし、そしてまたひとつ、小さな欠伸をした。
「さて、どうしよう」時計を見ると、針は十時三十分を指していた。とりあえず此処から出なければ。
ゆっくりと、糸を手繰るように、ひとつひとつ記憶を辿ってゆく。―そうだ、確か・・・。
◇
「ねね、あたし徳永千奈美。よろしく」
少女は雅の隣に腰を下ろすなり、飛び跳ねるような声でそう話しかけてきた。
入学式によほど気分が高ぶっているのだろうか、雅の返事を待たずに逆側の生徒にも同じように話しかけている。
その何とも慌ただしい様子が面白くって、雅は思わず笑ってしまった。
「あ、今笑ったでしょ」少女は雅の方へ向き直って、嬉しそうに言った。
「ごめんなさい。何だか面白くって。私は夏焼雅っていいます。よろしく、千奈美さん」
「千奈美でいいよ、千奈美で!よろしく、えーっと…みやでいい?」
「うん。よろしく、千奈美」
雅はどうやら千奈美に気に入られてしまったらしく、結局この後式が始まるまで延々千奈美の話に付き合う羽目になった。
まず、嗣永さんと真野さんという、生徒の間で大人気の先輩が二年生にいること。
この二人は次期生徒会会長と副会長の候補であること。
そして、千奈美はその嗣永さんが大好きで、おまけに家が隣同士であることなど。
よほど好きなのだろう、聞く限り殆どが嗣永さんの話だった。
そして、式が始まると、今までの元気は何処へやら、千奈美はコロっと寝てしまった
67 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:08:32.83 0
千奈美は実に穏やかな様子で寝ている。無理もない。確かに思わず寝てしまいそうなほど、式は退屈だった。
十分もすると、周囲にもちらほらと夢の世界へと落ちかける生徒が出始めた。
雅も始めは何とか耐えていたものの、三十分ほど経って、式も中程に差し掛かった頃だろうか、抵抗虚しく夢の世界へと落ち着いていった。
その後のことはあまりよく記憶が確かではなかった。
夢の中では教会の中を誰かと歩いて気がするし、そうかと思えば突然の喧騒に意識を呼び戻され、
そこで何か一言二言千奈美と会話を交わしたような気がするが、内容は覚えておらず、
なぜそこからもう一度寝てしまったのか、その理由もさっぱり思い出せない。
とにかく今解るのは、式は終わって、ここには誰も、もちろん千奈美もいない。それだけであった。
席を立って、入り口へと向かう。講堂の扉は開け放されてい
外庭から風と共に、あざやかな花の香りが吹き込んできている。
こうやって改めて見渡してみると、なるほど、隅々まで手入れが行き届いていて、生垣が少しばかり高いこと以外は、実に綺麗な庭園だ。
クマイが、「学園の敷地のほとんどがこの外庭で占められている」と言っていた事を思い出した。
それにしても広い。この場所からでは、一体どの方向に向かえば何処に着くのか、見当もつかない。
雅以外に途方に暮れて立ちすくんでいる生徒がいないところを見ると、おそらく入学式の途中、庭についての説明があったのだろう。
雅は「なぜ式の途中に寝てしまったのか」と、にわかに後悔の念に駆られた。
しかし、そこはさすがに夏焼家ご令嬢。このまま迷子として誰かに見つかる訳にはいかない。
進むべき道はどちらとも解らないがとにかく、自分を信じて前に進むことにした。
心を決め、足を一歩踏み出そうとしたとき、後方から何やら、声が聴こえた。
68 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:08:59.66 0
声は一歩一歩、雅の方へと近づいてくる。そしてどうやら、その声は雅のことを呼んでいた。
振り返ると、そこにはひとり、学園の制服を着た青年が雅の方を見つめて立っていた。
一目でわかった。おそらくこの人は嗣永さんだ。男性にしては小柄な背丈、吸い込まれるような瞳、端正な顔立ち・・・千奈美が話していた特徴と全てが一致する。
しかし、実に綺麗な人だ。雅がそんなことを考えていると、青年―おそらく嗣永さん―が口を開いた。
「何、私の顔に見とれちゃった?」青年は笑いながら続ける。
「新入生さんだよね? いやあ、入学前からのファンがいるなんて、私ってば人気者」
何を言っているのだろうこの人は。ともかく、こんなやり取りをしている場合ではない。
「別にファンという訳では無いです、新入生ではありますが。」
そう雅が言うと、青年はわかりやすく寂しそうな顔をして言った。
「ちぇーっ。残念」
それにしても、どうやらこの人は嗣永さんではなさそうだ。千奈美に聞いていた人柄と違いすぎる。ともかく、新入生が今どこにいるか聞かなくては。
「あの、先輩。それで私、新入生で迷子なのですけど、今、新入生って」
「新入生? ああ、それなら今、学校見学中じゃないかな」
先輩の話によると新入生は毎年入学式の後、学校内部を見学して回るとのことだった。
そもそもこの学園は外部からの侵入者に対処するためにこの外庭も含めてかなり複雑な構造をしており、一度案内付きで内部を見学しない限り、とうてい学舎までたどり着けないのだそうだ。
そして、今現在どこを見学しているかは先輩にもわからないらしい。要するに、他の新入生とは合流できないということだ。
「ああ、どうしよう・・・」雅から弱気な声が漏れる。無理もない、入学初日から寝坊してはぐれるなんて、名家のご令嬢にあるまじき事態である。
いつもならこんな時助けてくれるクマイも、今は居ない。途方に暮れていると、そんな雅を見かねてか、先輩が口を開いた。
「あのさ、私でよければ学内案内してあげようか? 大丈夫、昼からの行事の時に他のみんなと一緒に居れば何も問題ないから」先輩が続ける。
「大丈夫。去年私もあなたと同じように途中で抜け出したから。それに、私といましたって言えば何も言われないよ。ところで、あなた名前は?」
「夏焼・・・夏焼雅です」
先輩の勢いに釣られてつい名乗ったが、本当にこの先輩、大丈夫なのだろうか? ノリがやけに軽いし、昼に合流すればいいなんて話も眉唾物だ。
クマイからは昼までの予定しか聞いていないし、そもそも名前すらわからない人に付いて行くのも・・・。
雅はそんな考えを頭の中で巡らせていると、そんなことはお構いなしと言わんばかりに先輩が話を続けた。
「そっか、夏焼雅。いい名前だね。みやって呼んでいい?」
なんだか覚えがある名付けセンスだ。そして、先輩は続けてこう言った。
「私は嗣永桃子。よろしく、みや」
69 :
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2016/10/03(月) 23:09:27.89 0
先輩は学内を案内しながら色々なことを教えてくれた。
この学園の事、そして嗣永先輩のこと。
まず、やはりこの人は千奈美の言っていた「嗣永先輩」だった。千奈美とは家が隣同士でよく話す仲らしい。
そして驚くことに、嗣永先輩には婚約者がいるらしかった。
また少しだけ寂しそうな顔をして「小さい頃、本当に小さい頃、結婚を約束した人がいる。相手は覚えているかどうかわからないけれど」と教えてくれた。
名家に婚約話は付き物だ。自分の周囲でもよくそう言った子供の頃からの婚約の話を耳にする。―そういえば、自分にも婚約者がいたような気がする。
雅はふとそんなことを思い出したが、そんな話は幼い頃に一度きり聞いた話だ。婚約者の顔どころか、名前すら思い出せなかった。
講堂から学舎への道は案外と単純だった。外ではなく、中に戻るのだ。講堂のステージ奥からゲート付きの通路が学舎へと繋がっていた。
嗣永先輩の言うとおりゲートの読み取り機に学生証をかざすと、ゲートは簡単に開いた。
そこからまっすぐ通路を進むと、その先は中央ラウンジだ。ちょうど昼時なので、いつもなら生徒で賑わっているらしいのだが、今日は誰もいなかった。
そしてその先は、左の階段を下りると外庭へ、右へ行くとカフェテリアと各学年の教室が、まっすぐ進むと、第二講堂とダンスホールがあるとのことだった。
あらかた学内の構造を説明し終えると、嗣永先輩は「新入生はこの後ダンスホールに居ると思うから」と言い残してどこかへ行ってしまった。
去り際に「またすぐ会えるよ」とも言っていたが、雅にはそれがどういう意味なのかよく解らなかった。ともかく、ダンスホールへと向かうしかない。
ふと前を見ると、第二講堂とダンスホールを繋ぐ通路を移動する他の生徒の姿が目に入った。急がないと、また置いて行かれてしまう。雅は足早にゲートへと向かった。
その間にも新入生の列はどんどんとダンスホールへと吸い込まれていく。おや、ところであの列の後ろの方で他の生徒とヘラヘラと喋っているのは千奈美ではなかろうか。
人を講堂に置き去りにしておいて暢気なものだ。文句の一つでも言ってやらなくては。「千奈美!」大きな声で叫ぶ。
驚いて振り向いた生徒たちの中で、雅に気付いた千奈美が笑いながらこちらに手を振っている。
雅は手を振りかえすと、力いっぱい千奈美が待つゲートの方へと駆けだした
70 :
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2016/10/03(月) 23:10:10.72 0
>>66 三.
嗣永先輩
「新入生の皆さんこんにちは、楽しんでいますか?」ホールに少し高めの声が響く。
パーティは一応、クライマックスへと向かっているのだろうか。
今ステージ上でマイクを取った女生徒は、
自らを「次期生徒会副会長の真野恵里菜」と紹介した後、
疲れた顔で再びステージ脇へと下がって行った。
同じ自己紹介をこの三十分で三度は聞いた。
大方何か問題でも起きたのだろう、先程から「実行委員」の腕章を付けた上級生がステージ上で慌ただしく動き回っている。
そんな光景を遠目に眺めた後、雅は手元のお皿へと目線を戻した。
お皿の上には、サンドイッチが十個ほど、こちらも中々の大問題だ。
千奈美がふざけて「全種類制覇だ!」などと言ってサンドイッチを皿に山盛りにした後、
そのまま雅に押し付けて、当の本人はどこかへ行ってしまった。
皿を人ごみの中持ち運ぶこともできず、もう三十分ほどこのサンドイッチの山に釘付けにされている。
雅はひとつため息をついた後、水滴で薄まったオレンジ・ジュースで口の中に残っていたサンドイッチを奥へと流し込んだ。
雅は何とか持ち上げ運んだサンドイッチのお皿をテーブルの上に置くと、脇にある椅子に腰を下ろした。
ホールの一番隅っこにあるこのテーブルは、ちょうど人ごみの喧騒からも、
ステージからも死角になっていて、サンドイッチに散々振り回された雅にとってはいささか居心地がよかった。
テーブルの上にあるピッチャーから空いたコップにオレンジ・ジュースを注ぐと、再びサンドイッチへと手を伸ばす。
71 :
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2016/10/03(月) 23:11:41.20 0
>>99 「みやびちゃん、いい食べっぷりだね」
そのまま口に運ぼうとした手は、いきなり現れた嗣永先輩に驚いて、止まった。
何処から、いつの間に現れたのか、気づくと嗣永先輩は雅の目の前にちょこんと座って、こちらをじっと見つめていた。
それから、「みやびちゃん、このサンドイッチ食べないの?」と聞くと、
返事をする間もなく雅が手で持っていたサンドイッチを口でくわえ、そのまま食べてしまった。
「ちょっ・・・」我に返った雅は咎めようとしたが、何とも幸せそうにサンドイッチを頬張る嗣永先輩の顔を見ると、次の言葉が出てこない。
結局、嗣永先輩はお皿の上に残っていたサンドイッチをあっという間にすべて平らげてしまった。
「嗣永先輩、何をやってるんですか」満足そうな顔をして隣の椅子に座る嗣永先輩を横目に、雅が口を開いた。
実際のところ、山盛りのサンドイッチにいい加減うんざりしていた雅にとっては渡りに船であったが、
本来なら人のお皿の上に乗っているものを勝手に食べるなんて、もっての外だ。先輩とはいえ、分別はつけて貰わなくては。
「別にいいじゃん。それにずっと見ていたけれど、みやびちゃん、もうお腹いっぱいでしょう?」
「あと、言ったでしょ。『嗣永先輩』じゃなくて、『もも』。わかった?」
だが、当人は全く反省する気が無いらしい。言い訳ついでに自分の呼び名に注文を付けると、そのまま続けて雅のコップへ手を伸ばした。
「
あ、それ私の」
「大丈夫、もも、そういうこと気にしないから」
そう言うと嗣永先輩はコップの中のオレンジ・ジュースを一気に半分ほど飲んでしまった。
嗣永先輩が気にしなくても、私が気にするのだけれど・・・そんな心の声は届きそうもない。
ひと通り雅で遊び終えると、嗣永先輩は「またすぐね」と言い残してどこかへ行ってしまった。
雅は残ったオレンジ・ジュースを飲み干すと、人ごみへと目を移す。
相変わらずの喧騒が少しばかり心を穏やかにしてくれる。雅はゆっくりとまぶたを閉じた。
それから五分ほど経っただろうか、雅は静けさで目を覚ました。
先程まで方々に向いていた視線は、前方のステージへと集中している。
息が止まりそうな静寂の後、聞き覚えのある声が会場内に響いた。
「新入生の皆さんこんにちは。遅くなってごめんなさい」間違いない、この声は。
「今年度から新生徒会長になります、二年の嗣永桃子です。こちらは副会長の真野恵里菜」
さらに声は続けて、耳を疑うような言葉を口にした。
「そして、あちら部屋の隅のテーブルに座っている彼女。彼女が、書記の夏焼雅さんです」
突然の「ご指名」に雅は思わず立ち上がった。ステージに向いていた視線が一気に雅の方へと向く。
人ごみ越しに、ステージ上でしたり顔をしている桃子が見えた。
72 :
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2016/10/03(月) 23:12:53.29 0
>>100 桃子がステージから降りると、人ごみが割れて、二人を繋ぐ一本道が現れる。
桃子はそのまま雅の方を真っ直ぐ見つめながら歩いてくると、雅の手を取り、一言「行きましょうか、お嬢さん」と言って、雅の手を引いた。
桃子になされるがまま、雅は手を引かれてステージへと向かっていく。
途中、桃子が小声で「教会のバージンロード歩いているみたいだね」なんて冗談を言ってきたが、雅には何か言葉を返す余裕も無かった。
桃子にはそれが不満だったらしく、ステージへと向かう足がさらに早くなる。
途中すこし足を縺れさせながらもステージにたどり着くと、桃子は少しだけ手荒に雅をステージ上にエスコートした。
ステージに上がると、先程までも感じていた視線がことさら鋭く感じる。
幼い頃から名家のお嬢様として育ってきた雅にとって、注目を浴びることはそれほど苦になる事ではなかったが、これは訳が違う。
四方八方、映る眼差しはどれもこれも雅の心を見透かそうとしているかのように見えてくる。一瞬の緊張の後、会場を万遍なく見渡して、桃子が口を開いた。
「という訳で全校生徒の皆さん、私たち三人が新生徒会執行部です」桃子も少し緊張しているのか、口調が微妙に硬い。
「多少、人選に驚いた方もいるようですが、みや…夏焼雅さんはあの夏焼家のご令嬢です」
「十分、書記としての務めを果たせると思い選出しました」
一瞬会場がザワついたが、桃子は気にする様子もなく続けた。
「先生方にも許可は取りました。何かあれば、私が責任を取ります。真野ちゃんも」
「とりません」
「真野ちゃん即答? 冷たい〜」
いつの間にか会場の空気は柔らかくなっていた。会場からはちらほらと拍手も聞こえる。
最後にもう一度会場を見渡して場を鎮めた後、桃子はマイクを持ち直すと、「ん!」と言って雅の前へと突き出した。
どうやら何か喋れということらしい。
「えー・・・、この度書記に指名されました、一年の夏焼雅です。よろしくお願いします」
突然では碌な言葉が出てくるはずもない。雅は「いきなり言われても」とでも言いたげな、少し非難めいた目で桃子を見た。
当然だ。入学早々、いきなり生徒会に指名され、さらに抱負を述べさせられるなんて、予想ができるはずもない。
雅の目線に気付いたのか、桃子は不満そうにマイクを自分の口元に戻した。
そして、戻すなり雅の手を握ると、マイクをスタンドに戻し、真野先輩に目配せをして、言った。
「ではこれにて新任の挨拶を終わります。真野ちゃん後は任せた。みや行こう」
「ちょっ、桃子先輩、強引・・・」
今日はなんだか人に振り回されてばかりだ。手を振り払おうとしたが、桃子の力は案外と強く、雅は結局なされるがままステージ脇へと引っ張られていった。
「桃子先輩、いつもこういう事をしているんですか?とりあえず離してください」
「だーかーらー『もも』だって言ってるでしょ!」
雅がいくら言っても桃子は手を離そうとしない。それどころか、抵抗すればするほど強く力を入れて雅の手を握ってくる。
不思議な目で見てくる実行委員の生徒など目もくれずに、桃子はどんどんステージ裏の廊下を突き進んでいく。
一番隅の控室の前まで来たところでようやく桃子は足を止め、雅の手を離した。
「桃子先輩、こんなところに連れてきてどうしたんですか? それに、私突然書記なんて任されても困ります。私、今日この学園に入学して、先輩にも今日初めて会ったんですよ?」
雅がそう言うと、桃子はまた、少し寂しそうな顔をして、一言だけ、雅に尋ねた。
「本当にもものこと、覚えてないの?」
雅が首を横に振ると、桃子は「そっか。ごめんね」とだけ言い残すと、
踵を返し、雅を置いて廊下をステージの方へと戻って行った。その背中は、どこか懐かしく、そして、寂しそうだった。
73 :
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2016/10/03(月) 23:14:23.48 0
雅はその背中を見て、思わず桃子を呼び止めようとした。
だが、今何と声をかけて桃子を止めればいいのか、きっと桃子が欲しがっている「何か」を自分はわかっていない。
桃子の後ろ姿をただ見送るしかなかった。そして、この時を最後に、桃子が雅に話しかけてくることはなかった。
次の日の朝、雅が登校すると、いつの間にか生徒会書記の話は無かったことになっていた。
先生の話では「やはり上級生が担当するべきだという話になった」ということだったが、
他の生徒たちの噂する限りでは、誰も雅に代わって書記になった上級生の名前を知らない。
案の定、午後になって配られた「新生徒会執行部からの挨拶」というプリントにも、会長と副会長の名前しか印刷されていなかった。
元々の桃子の人気が影響してか、幸い雅や生徒会についての面白おかしい噂が流れることは無かったが、雅にとっては何一つ幸いなことなどなかった。
入学式初日から振り回され、友達を作る機会を奪われ、勝手に書記に任命された上にさらにその書記を知らぬ間に解任され、
挙句の果てにこれだけ雅を振り回した張本人の嗣永先輩は、いつ雅が会いに行っても雲隠れドロンで事情を聞くこともできない始末。
収穫といえば雅のことを二回も置いてきぼりにした千奈美と友達になったくらいのものだ。
千奈美にも一応、嗣永先輩の行動の理由を知っているか尋ねてみたが、開口一番「わかんない」と返されてしまった。
74 :
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2016/10/03(月) 23:14:59.98 0
>>199 ◇
一週間後の放課後、雅は生徒会室の前に立っていた。何度目だろうか、生徒会室の扉を叩く。
あれからずっと、嗣永先輩の影を追い続ければ追い続けるほど、訳は分からなくなっていく。
もしかしたらと思いクマイにも一応尋ねてみたが、逆に入学式の日の昼以降の予定を伝え忘れたと懺悔をはじめる始末だった。
生徒会室の中から返事が聞こえ、扉が開く。今日も中から出てきたのは真野先輩一人だった。
「ごめんね、夏焼さん。今日も桃子いないのよ」申し訳なさそうに真野先輩が言った。
「いえ、いいんです。ありがとうございます先輩」
なんとなく真野先輩は何かしらの事情を知っている気がして、初日に色々と聞いてみたが、こちらも他の人と同様に何も知らないようだった。
「気になるなら」と嗣永先輩の屋敷の場所も教えてもらったが、何となくそこまで踏み込んで行くのが怖くて、
地図が書かれた紙は財布の中に仕舞ったままになっている。どちらにせよ、三日後には二年生と合同の学内散策会がある。
このまま卒業まで顔を合わせる機会がないなんて、あり得ない。
何なら先生にお願いして散策会で嗣永先輩と同じグループにしてもらってもいい。
色々と作戦を頭の中で巡らせながら、雅は生徒会室を後にした。
三日後、嗣永先輩は学校を休んだ
75 :
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2016/10/03(月) 23:16:05.93 0
欠席の連絡を受けたのは散策会が始まる少し前だった。理由は風邪らしい。
まもなく合流した真野先輩と千奈美が教えてくれた。
こうなるといよいよ「何が何でも自分のことを避けようとしたのではないか」とも思ったが、
千奈美が「嗣永先輩、本当に風邪をひいたみたいよ」と言うので、それを信じることにした。
しかし、それならそれでお見舞いに行かなくては。
色々と迷惑はかけられたが、病に臥せていると聞いて以上、そのまま無視しておくわけにはいかない。
歩きながら、二人にお見舞いの品の相談をする。
「嗣永先輩、何がお好きなのでしょうか?」
入学式以来一回も話していないのだ。よく考えると、雅は嗣永先輩のことを何も知らなかった。
だが、知らないのは真野先輩や千奈美も同じらしかった。
嗣永先輩は多くを語る人ではないらしく、何かプレゼントをと尋ねれば、返ってくる答えは何時もお菓子ばかり。
それどころか、嗣永家ほどの名家になれば、毎年たった一人の令息の誕生祝の会が催されてしかるべきであろうが、それすら催された試しが無いというのだ。
当然、学園内に嗣永家の屋敷内部へ立ち入った生徒は真野先輩や千奈美を含め、誰一人として居なかった。
「ごめんね、あまり役に立たない情報しかなくて」この間から真野先輩には謝られてばかりだ。
「いえ、とても役に立ちました。ありがとうございます」
元はと言えば、嗣永先輩が悪いのである。尻拭いをする羽目になって、真野先輩もいい迷惑だろう。逆にこちらが申し訳ないくらいである。
「ところで、夏焼さん。なぜ急にお見舞いなんか?」と真野先輩が言った。
「それは…」
さて、実際のところ、なぜ自分はお見舞いに行こうなどと思ったのだろうか。
よく考えずとも、新生徒会の書記騒動以外では何も接点が無い先輩なのだ。
成り行きで言えば、雅がわざわざお見舞いに行く必要性があるとは言い難かった。
だが、雅は嗣永先輩の病気の話を聞いたとき、即座にお見舞いに行くことを決めた。
それほどまでして、嗣永先輩と真剣に話がしたかったのである。
ともかく、それならお見舞いの品で嗣永先輩のご機嫌を窺うような真似をするのは間違っている。
雅は、自らの心中を素直に手紙に認め、それを渡すことにした。
その日の午後、雅は一通の手紙に手にクマイの運転する車で一路、嗣永家へと向かっていた。
嗣永家の屋敷は雅の想像よりも身近な場所、
なんと毎朝のクマイの車に乗って通る道の途中にあった。―そういえば毎朝通学の途中、丁寧に剪定がなされた庭のお屋敷の前を通るっけ。
思えば、あれが嗣永家の屋敷なのだろう。書いてもらった地図の場所ともその屋敷は一致する。
ゆらゆらと車に揺られながら、色々なことを考える。心の準備ができないまま、車は嗣永家へと到着した。
いざ到着すると、雅はなかなか車から降り門をくぐる勇気が出なかった。
最後に会ったあの時、雅のもとから去って行く桃子の寂しそうな背中が頭をちらつく。
やはり、これ以上は踏み込むべきではないのではないか。
そんな思いが雅の足を石のように固め、引き止める。
だが、今何もせず、やがて時と共にあの日の出来事が薄れ、思い出からも消え去っていく。―そうなるべきではないとも雅は感じていた。
今、自分が行動を起こさなければ、必ず後悔する日が来る。
「クマイ、行ってくるね」
そう言うと、雅は決意の下、車の扉を開けた。と同時に、嗣永家の門扉が、ゆっくりと、雅のことを待っていたかのように、開いた。
76 :
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2016/10/03(月) 23:16:48.18 0
門の中には執事が一人立っていた。
よく見るとその執事は女性らしく、長い黒髪を後ろでひとつ結びにしている。
執事は雅の顔を見ると、重たそうに口を開いた。
「夏焼雅様ですね。私、執事の須藤と申します。ようこそいらっしゃいました。
桃子様から常々夏焼様のお話は伺っております。ですが、本日はお引き取り下さい」
そこまで言うと、執事は門を閉め家内へ引き返そうとしたので、
雅は急いで執事を呼び止め、「せめてこれだけでも」と執事に桃子宛ての手紙を手渡した。
そして、さっさと車へ戻ると、そのまま帰ってしまった。
あまりにあっさり帰ってしまったので、執事の須藤も、実のところこっそり門の裏側に隠れて様子を窺っていた桃子も、すっかり面食らってしまった。
そうして、桃子は車が走り去るのを門の中からこっそり見届けると、執事の須藤に慰められながら、家内へと戻って行った。
そして、そんな桃子たちの様子を、草木の陰からじっと見つめる者がいた。―雅である。
なんと、車に乗ったと見せかけて、密かに嗣永家門前の植木の陰に身を潜めていたのだ。
そんな訳で、執事の須藤と桃子がすっかり家内へと入ったことを見届けると、素早く閉まりかけている門の隙間をすり抜け、まんまと屋敷の中へと入りこんだのである。
さて入りこんだはいいが、ここから先どうするか、雅に特段何か考えがある訳ではなかった。
今こうして入りこんでいるのも、咄嗟の思い付きからであって、周到に立てられた計画の結果ではないのだ。
ではなぜ名家のお嬢様が危険を冒してまで、他家の屋敷に入りこむような真似をしたのか。
それはひとえに、桃子への何か不思議な執着心と、そして、にわかに湧き上がってきたある一つの疑惑からであった。
というのも、先程車の中で悩んでいるさなか、雅は窓越しに実に奇妙な光景を目にしていたのである。
77 :
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2016/10/03(月) 23:18:08.61 0
それは、嗣永家前に雅を乗せた車が停まって二、三分ほど経ったころの出来事であった。
門の前に止まった車に気付いたのか、家の扉が開き、執事が一人、様子を窺うように庭へと姿を現した。
だが、雅は何も玄関から堂々と現れた執事を見て驚いたわけではない。
時を同じくしてもう一人、勝手口からこっそりと庭へと出てきた人物がいたのである。
そう、門の陰に隠れて須藤執事と雅のやり取りを窺っていたあの人 ―桃子だ。
そして、その勝手口から出てきた桃子を目にした瞬間、雅は言葉を失った。
顔こそ雅の知る嗣永先輩その人であったが、着ている服や髪型は女性そのもの。
綺麗なウェーブがかった黒髪に、フリルのついた可愛らしいピンクのパジャマを着ていたのである。
更に驚くべきはその仕草であった。
日頃学園で見せている凛とした雰囲気はどこへやら、一歩ごと跳ねるような歩き方といい、
手を後ろに組み、少しだけ前に身を乗り出して話すところといい、雅が知るどんな女性よりも女性らしかった。
一瞬、「もしやあれは嗣永先輩の妹なのでは」とも思ったが、千奈美も真野先輩も、嗣永先輩は一人っ子だと言っていたはず。
そうなると、やはりあの女性は嗣永先輩で間違いないのだろう。
だが、だとしたらどうして嗣永先輩は女性であることを隠して学園に通っているのか。
あの時折見せる寂しそうな目と何か関係があるのか。
謎は深まるばかりで、いてもたってもいられなくなった雅は、気付いた時には行動を起こしていた。
78 :
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2016/10/03(月) 23:18:32.29 0
見たところ、庭に雅以外の人影はなかった。
あの女性が嗣永先輩かどうかはひとまず置いておくとして、ともかく目の前まで行って直接問い詰めれば済む話だ。
まさか嗣永先輩とて自分の屋敷から逃げ出したりはしないだろう。
だが、それにはまず誰にも見つからずに嗣永先輩の部屋まで辿り着かなければならなかった。
先程の執事や、その他の使用人に見つかろうものなら、どれだけ大きな騒ぎになるか見当もつかない。
思えば、中に入ってしまったのなら、これはもう堂々と表玄関から入り、
会えるよう直談判なりすれば少なくとも大きな騒ぎにはならずに済むはずなのだが、
この時の雅にそんなことを考える余裕はなかった。
慎重に、植木の陰を伝いながら、先程嗣永先輩らしき女性が出てきた勝手口へと向かう。
途中、何度か遠目に窓の中の様子を窺ってみたが、不思議なことにどの窓にも人影は見当たらなかった。
聞こえるのは、ただ風に揺れる木のざわめきと、鳥のさえずりばかりである。
そっと、そっと、一歩ずつ勝手口へと近づいてゆく。
そういえば小さい頃、こんな風にかくれんぼをして遊んだっけ。
クマイと、あと雅と同い年くらいの女の子がもう一人。
名前は忘れてしまったが、あの頃は毎日のように一緒にいた記憶がある。
いつの間にか、雅が小学生になる頃にはとんと見なくなってしまったが、あの頃は毎日が楽しかった。
思い出に浸りつつも、また一歩、雅は勝手口へと歩みを進める。
その間、勝手口から人影が一つ、庭へと姿を消したのだが、雅には全く見えていないようだった。
勝手口の周りは驚くほど静かだった。
あと一歩足を伸ばせば届く所まで来ているのに、何一つ気配を感じない。
そっと窓から中の様子を窺ってみたが、相変わらず人影ひとつ見当たらなかった。
雅は物音を立てないよう慎重に、植木の陰から出ると、勝手口のドアノブへと手をかける。
「ふふ、みやって案外、大胆なんだね」
今まさにドアノブを回そうとしたとき、雅の背後から覚えのある声が聴こえた。
振り返るとそこには、あのピンクのパジャマに身を包んだ嗣永先輩が立っていた。
79 :
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2016/10/03(月) 23:19:03.83 0
「ね、こっそり忍び込んじゃうくらい、ももに会いたかった?」
そう言いながら、嗣永先輩と思しき女性は少しずつ雅の方へ近づいてくる。
「別にそういう訳じゃないです。それより、貴女は本当に嗣永先輩なんですか?」
元々の嗣永先輩も、男性にしては雅と同じくらいの身長とやや小柄だったが、
今雅の目の前に居る彼女はそれよりもさらに十センチメートルは背が低く見える。
髪も、いつも短髪の嗣永先輩とはほど遠い長髪だ。ただ、声だけは聴き覚えのある嗣永先輩の声だった。
「当たり前でしょ。ももは、ももだよ」そう言うと、嗣永先輩と思しき女性は懐からウィッグを取り出し、頭に被った。
「ほらね、いつもの嗣永先輩でしょ」短髪のウィッグを被った彼女は、間違いなくいつも学園で見る嗣永先輩そのものだった。
「背が低いのはほら、いつもちょっとそういう靴履いてるから」と嗣永先輩は言った。
「貴女が嗣永先輩なのは解りました。でも、なぜ普段は男のフリをしているんですか」雅はさらに続ける。
「でも、そんなのどうだっていい。そんな事を聞きに来たんじゃない。さんざん人のこと振り回しておいて、
気まぐれで優しくしてみたりして、それなのに突然、私の前から消えようとしたりして。
気まぐれで私の心を揺さぶる先輩にもイラつくし、なんでか先輩に執着してる私にもイラつくし。
私に一体どうしろっていうんですか!」雅の目からは、いつの間にか一筋、涙が零れ落ちていた。
80 :
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2016/10/03(月) 23:20:22.18 0
「ごめんね、みや」そう言いながら嗣永先輩は、そっと手で雅の頬を伝う涙を拭った。
「もも、怖かったの。」嗣永先輩は少しだけ俯くと、もう一度雅の方を見つめ直して続けた。
「最初、みやと学園で会えた時は嬉しかった。名前を聞いて、『ああ、やっぱりみやだ。変わってないな』って」
「でも、みやはもものこと忘れちゃってて。解ってたのに、みやがもものこと『嗣永先輩』って呼ぶ度にどんどん悲しくなっていくの」
そう話す嗣永先輩の眼は真剣そのもので、雅の背筋がピンと伸びる。嗣永先輩の目にはうっすら涙が溜まっていた。
「だから、みやから逃げた。遠くから見守るだけなら、会わなければ悲しくならないって。
なのに、みや、屋敷まで来ちゃうんだもん。ちゃんと追い返したのに。忍び込んでまで」
嗣永先輩は、雅の手をそっと両手で握った。不思議と、嫌だとは思わなかった。
嗣永先輩の手は柔らかく雅の手を包み込むようで、温かく、どこか懐かしい感触がした。
「嗣永先輩、先輩が私の事嫌いじゃないことだけはよく解りました」
「嫌いじゃないじゃなくて、好きだよ。」
「『好きなこと』は。でも、それ以外の先輩が言っていることは全然解らない。何で男の格好をしているのか。
そもそも先輩は、『私が先輩のこと忘れていた』って言うけど、私、本当に先輩に学園であうまで会ったことないし。説明してください。ちゃんと」
「わかった。ちゃんと説明する。みや、説明するから、その前に一回手を放してくれない?」
嗣永先輩は少し苦笑いしながら言った。気付かぬうちに雅は嗣永先輩の手を握り返していたようで、
目線を落とすと、自分でもびっくりするくらい手に力が入っていることがわかった。
「あ、ごめんなさい」雅は慌てて手を離した。その拍子に、手が嗣永先輩の胸に少し当たった。
先輩の胸は雅のそれと同じように柔らかくて、先輩が本当は女性であるということを実感する。
「ちょ、みやのエッチ! セクハラだよ」嗣永先輩が大げさに飛び退きながら悪戯っぽく言った。
「先輩。真剣な話をしている時にそうやってちゃかさないでください」
雅はそうやって強がってみようとしたが、偶然とはいえ胸を触ってしまったのは事実で、照れくさくてそっぽを向いた。
「みやったら、可愛いんだから」
嗣永先輩はそんな雅の態度を見逃さず、照れくさそうにする雅を笑いながら指でつついてくる。雅はだんだん、自分の顔が赤くなっていくのが分かった。
「先輩、わかったから話を続けて下さい」雅はたまらず、つついてくる嗣永先輩の指をつかまえると、言った。
「あはは。ごめん、みやがあまりにも可愛くって」
満足したのか、嗣永先輩はひとしきり笑うと、雅をつつくのをやめ、また真剣な顔に戻って、続けた。
「みや、もうもも逃げないから。」
そう言うと、嗣永先輩は懐から一枚、写真を取り出した。そこには二人、庭で遊ぶ女の子が写っている。
一人は嗣永先輩のようだった。面影が今でも残っている。
そして、もう一人、写っている女の子を見て、雅は言葉を失った。
そこに写っていたのは、間違いなく幼い頃の雅だったのだ。
そして、さらに驚くべきことに、雅は二人が遊んでいる庭に見覚えがあった。
二人が遊んでいる庭は、間違いなく夏焼家屋敷の庭だったのだ。
「みや、本当のこと、全部話すよ。」嗣永先輩はそう言うと、雅の手を再びぎゅっと握った。
81 :
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2016/10/03(月) 23:20:53.45 0
四.
ホントのじぶん
道端に一台、ロールス・ロイスが停まっている。運転席には執事服に身を包んだ女性が一人。
「もしもし、クマイだけど…うん。そちらの様子はどう?」
クマイは五分ほどかけて電話の主から報告を受けると、電話を切った。
マイは電話を切ると、運転席のシートに一旦体を落ち着かせたが、すぐに何かを思い出したかのように起き上がると、エンジンに火を入れた。
それから慣れた手つきで車を発進させると、まもなく、車は夕闇の中へと姿を消した。
◇
「ねえ、いい加減『もも』って呼んでよ!」さっきから事あるごとに先輩はこうやって文句を言ってくる。
毎回、イチイチ頬を膨らませ、腰に手を当てながら文句を言う姿を見て、
不覚にもかわいいと思ってしまったが、本人に言う予定も、もちろん「もも」と呼ぶ予定もない。
今、私たちは嗣永家の応接室にいる。なんでも本当のことを話すには「準備」が必要らしく
先輩は先程から壁一面の本棚の前を行ったり来たり。
ときどき本をひっぱり出してはそのまま戻したり、タイトルに目を凝らしてはため息をついたりで、もう三十分はこの状態だ。
「先輩、本なら一緒に探しますから、タイトルを教えてください」
「いいよももが探すから。あと呼び方!」
何度か手伝おうと提案はしてみたが、毎度こんなやり取りを繰り返すばかりなので、
雅もすっかり諦めて、椅子に座っておとなしく待つことにした。
それにしても静かだ。こんなに広い屋敷なのに、聞こえてくるのは先輩が本を探す音ばかり。
使用人も、先程紅茶を運んできてくれたサキさんと、途中、部屋に入ってきて先輩に何やら耳打ちした後、慌ただしく部屋を出て行った須藤執事以外はいない様子だ。
そういえば、あの勝手口前でのやり取りの後聞いたのだが、嗣永家の庭には何台か監視カメラが仕掛けられていて、どうやら私の動きは先輩に筒抜けだったらしい。
「一生懸命かくれんぼしてるみや、可愛かったよ」と、先輩がニヤニヤ笑いながら教えてくれた。
「先輩。それで、さっきからずっと何を探してるんですか」
「んー? ちょっとね…」
手が届く範囲には探し物が無かったらしく、先輩は梯子を使ってさらに上の段を探していた。
梯子はだいぶ古いものらしく、根元がフラついていて心許ない。
「先輩。あたし危ないから梯子持ちます」
「ありがとうみや。でも、もう…あっ!」
桃子が雅に何か言おうと振り向いた瞬間、梯子はバランスを崩し、桃子と共に雅の方へと倒れてきた。
雅はなんとか桃子を受け止めようとしたが、さすがに人ひとり分の体重は支えきれず、桃子と共に床へと倒れこんだ。
「んっ…いてて」
少したってから、先に桃子が起き上がった。雅が受け止めようとしてくれたおかげか、体は思ったよりも痛くない。
それよりも心配なのは桃子と梯子の下敷きになった雅だ。
「みや、大丈夫?」慌てて雅の様子を確認する。見ると雅は今やっと気が付いたのか、目をこすりながら起き上がるところだった。
「うん…ももは大丈夫だった?」そう言いながら雅は重たそうに体を起こし、それから少し伸びをした。
「もちろん。ももは大丈夫だよ。でもよかった、みやに何かあったらどうしようかと。ありがとね、みや」桃子は立ち上がると、床にへたっている雅へと手を差し伸べ、そして、気付いた。
「あれ? みや、今『もも』って…」
「…? ももはももでしょ。 あれ? 私…」雅は自分でも頭の中を整理できていないのか、不思議そうな顔をして桃子の方を見つめている。
明らかにその様子は先程までの雅とは違うように見えた。一体何が起きたのか。桃子は色々と思考を巡らせ、そして、一つの結論へと辿り着いた。
「…もしかしてみや、もものこと思い出した?」
82 :
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2016/10/03(月) 23:23:27.01 0
83 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:23:44.43 0
これでたぶん全部貼り終わったと思う
この小説の他にもう一つ新しいのが投下される予定らしいから保全レスするも良し画像や小説を貼るも良しパンツ脱いで待機も良し雅ちゃんの胸が大きくなるように祈るも良し
とにかくみんなで盛り上げていきましょう
84 :
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2016/10/03(月) 23:29:36.40 0
>>83 ありがとう
小説の続きも新しい小説も楽しみ
何よりみやもも好きがたくさんいて嬉しい
85 :
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2016/10/03(月) 23:38:47.34 0
このご時世他のスレでみやももみやもも言ってると亡霊扱いされるから
このスレのおかげで俺のみやもも愛爆発できて嬉しいよ
86 :
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2016/10/03(月) 23:40:10.36 0
雅ちゃんがももち好きなの隠しきれてない感じ愛おしい
87 :
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2016/10/03(月) 23:41:14.83 0
88 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/03(月) 23:44:24.69 0
24レスってことは作者さんほぼ1ヶ月毎日更新してくれてんだな
感謝だわ
89 :
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2016/10/04(火) 00:01:30.12 0
規制くらって書けなかったから画像で貼ってみる
こんな感じ
90 :
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2016/10/04(火) 00:16:13.34 0
91 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/04(火) 00:23:57.68 0
92 :
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2016/10/04(火) 00:24:06.85 0
ドキドキした
93 :
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2016/10/04(火) 00:24:06.93 0
一瞬ももちにチンコはえたのかとオモタ
94 :
名無し募集中。。。@無断転載は禁止
2016/10/04(火) 00:30:57.73 0
>>89 勝手に続き
「じゃ、今度はももの番ね」
「え、うちは凝ってないからへーきだよ、ってどこ触ってんの!」
「ま、いいからいいから」
「ちょっと、くすぐったいからぁ…あっ」
「みや、どう?気持ちいい?」
「やっ、だっだめっ」
「えーっ、でもほら、ここ。凝ってるんじゃない?かたくなってるよ」
「ば、ばかっ」
こんな感じ?
95 :
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2016/10/04(火) 00:31:54.44 0
雅ちゃんにもちんこが?
96 :
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2016/10/04(火) 00:35:52.85 0
みやびちゃんのちくびちゃんだよ
97 :
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2016/10/04(火) 00:46:28.72 0
>>93 ももちの栗ちゃんを連想していただければなと思ったんだけどそういう考え方もあるのか
98 :
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2016/10/04(火) 00:53:52.65 0
最近ももち♂夏焼か夏焼♂ももちの妄想が凄く楽しい
99 :
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2016/10/04(火) 00:57:29.23 0
俺は最近は雅ちゃんがももちに媚薬を飲ませる妄想ばかりしてるから妄想シリーズを書くことができないでいる
100 :
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2016/10/04(火) 00:59:20.26 0
長編投下するつもりでいたけどしばらく文章書いてなかったせいか台詞以外全然書けなくてわろた
時間かかっちゃうかもだけど許してにゃん
101 :
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2016/10/04(火) 01:10:38.82 0
いつまでも待つ
102 :
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2016/10/04(火) 01:16:06.13 0
わたし待ーつーわ
103 :
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2016/10/04(火) 03:03:39.26 0
オフちはみやち
104 :
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2016/10/04(火) 03:04:49.86 0