――前編で話に出た「LOVEマシーン」では、それまでのモーニング娘。の路線、
「サマーナイトタウン」や「抱いてHOLD ON ME!」のような大人っぽい曲を歌っていたときとは方向性がガラッと変わります。
その後の「恋のダンスサイト」や「ハッピーサマーウェディング」も明るい曲でした。
僕もいろいろチャレンジしたけど、「サマーナイトタウン」や「抱いてHOLD ON ME!」のときは、
どこかまだ、「この時代の中ではこの路線だろう」というラインを追いかけていたところがあった。
一定の成果は上がったけれど数字が頭打ちになって、もうこれ以上ここで待っていても順番は回ってこないなと思った。
かといって気をてらうように別の方向に切り替えようとしたわけではなく、「今のこのメンバーでの最高到達地点は何だろう」と考えた。
当時、チャレンジをする中では、うまくいったり、うまくいかずに言い訳したりもしましたが。
例えば「モーニング娘。」以外でいうと「太陽とシスコムーン」というグループもありました。
――独特の路線で人気を得たグループ、という印象です。
モーニング娘。よりメンバーの年齢が少し上で、そもそもの経験値もあったので、ちょっと複雑で音楽的にもマニアックな香りのする曲で挑みました。
当時の結果としてドカーンと売れたわけではないけれど、20年以上経った今でも太陽とシスコムーンの楽曲は評価されるので、丹精こめたらちゃんと伝わるんだなというのは今になって実感しています。
そんなことも体験したうえで考えます。「全然天才ではない普通の子、学校のクラスにいるような子たちがアイドルとしてどんな歌を歌う(踊る)ことがベストなのか」に頭を集中させました。
だって当時のモーニング娘。に「バキバキ踊って、ガンガンハモって、3オクターブの音域で歌ってほしい」とか、そんなことは誰も求めていなかったし。
https://toyokeizai.net/articles/-/738781