日韓の文化交流の担い手として期待、韓国の若手研究者が奈良・橿原考古学研究所で研修
奈良県橿原市の県立橿原考古学研究所で、韓国の若手女性研究者２人が、研修に取り組んでいる。
うち１人はコロナ禍の影響で中断して以来、５年ぶりになる橿考研と韓国国立文化財研究所の交換研修制度で訪れた。
２人は今回の研修成果を論文にまとめる予定で、新たな日韓の文化交流の担い手として期待される。
交換研修で訪れたのは、韓国国立文化財研究所の学芸研究士・ 李イ チョロンさん（３８）。
李さんは、韓国南部にあった 伽耶かや 地域の４世紀の土器が専門で、同研究所ではデジタル情報システムを担当。
「古代の日本と韓国は関係が深く、自分の研究を広め、深めたい」と研修を受けることにした。
１月１５日～３月２９日の２か月半滞在。
博物館や発掘現場の視察などを重ね、日本で出土した伽耶土器について考察を深めるほか、文化庁や橿考研のデジタルアーカイブ（電子資料館）がどのように構築されているのかについて調べている。
研修後、この二つのテーマで論文を書く予定だ。
李さんは「旅行で３回来日しているが、研修は初めて。日本の芸能人に興味があり、ＫｉｎＫｉ Ｋｉｄｓのファンなので、研究以外にも楽しみがある」と笑顔を見せる。
もう１人は、ソウル大大学院博士課程の 崔瑛恩チェヨンウン さん（２８）。百済と馬韓の関係を文献と考古資料から研究している。
「百済や馬韓があった栄山江流域には、前方後円墳など倭系の遺構や遺物があり、日本との関係に関心があった」と言う。
滞在期間は１月２９日～２月２３日で、研修の成果を博士論文に盛り込むつもりだ。
「皆さんから優しくしていただいて、楽しく過ごせています。たくさん勉強して帰国したい」と意気込む。
橿考研と韓国の研究機関との交換研修制度は２０００年に始まり、これまでに韓国から２７人を受け入れており、日韓交流の懸け橋となっている。
今回の交換研修では、橿考研からも韓国に１人を派遣している。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20240219-OYO1T50016/ 
