
民主主義考 白井聡さんが語る安倍政治(上) 国家権力の腐敗と本質
https://news.yahoo.co.jp/byline/shiraisatoshi/20170522-00071188/
《以下抜粋》
■朝鮮半島危機があぶり出したもの
安倍首相の発言の重大な意味を考える必要がある。
トランプ大統領は「全ての選択肢がテーブルの上にある」と言った。そこには先制攻撃という
選択肢も含まれるわけだが、安倍首相は躊躇なく「支持する」と言った。
それは、「私たちには犠牲を払う覚悟がありますよ」という決意表明にならざるをえない。
だが、いつ私たちはそんな覚悟について相談されただろうか。
一度たりともそんな相談を受けていない。安倍首相は、国家と国民の運命そのものを勝手に売り渡した。
■能天気のツケ
ところが政府は何をやっているか。各地でミサイル対策の避難訓練をしている。馬鹿丸出しである。
ミサイル攻撃にさらされたとき、公民館に逃げ込んだところで何の意味があるのか。
竹槍でB29を落とそうとしていた頃から進歩ゼロだ。こういう無意味なことをやることの目的はただ一つで、
支配者に盲従する自分の頭で考えないロボット人間を作るためである。
しかも、多数の自治体が自ら進んでこの恥ずかしい訓練に取り組んでいる。
レジーム(体制)全体が劣化し、腐りきって朽ち果てるのを待つのみ、という現在の政治状況を映し出している。
■消失する民主化
これは何もなかったところから、いきなり腐り始めているわけではない。
明治以来の国家権力の本質が表出し始めているという見方の方が正確だ。
この国の国家権力が民衆の自立的な活力を信頼することによって社会を成り立たせようとしたことは
一度たりともない。
1945年の敗戦によって民主化されたというは全くの嘘だということ。敗戦のショックと占領という
究極の外圧によって、権威主義的な政治が一時的に薄らいだだけのことだ。
民主主義を形だけ標榜する政治は70年余りを経てその本来の姿に戻りつつある。
■「愚民」の選択
しかし、何も為政者のみが悪いのではなく、このような状態を許容しているのは、
究極的には国民大衆だ。昨年7月の参院選の際、神奈川新聞が実施したアンケート結果を見て
私は衝撃を受けた。
質問は、参院選で焦点となっている「3分の2」の意味を知っていますか−。
100人に聞いたところ67人は「知らない」と回答したという。憲法改正を発議するためには
「両院それぞれ3分の2以上の賛成」が必要という数字であり、今後安倍政権が進めたがっている
改憲論議を踏まえれば、参院選の最も重要なテーマだったはずだ。
だがおよそ7割の有権者はそのことを認識していなかった。正論を言えば、
こんな状況下で普通選挙をやっている事の方が間違っている。
かつて制限選挙が当たり前だった時代の普通選挙導入論に対する批判は、
「判断力のない人々(愚民=貧乏人と女性)に選挙権を与えたら、ろくでもない政治家を選ぶので危険だ」と
いうものだった。貧しい人や女性には判断力がないという考え方は間違っているが、しかし判断力が
ない人間に参政権を与えるのは不適切、という論理はもっともである。
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