地名は韓流お断り 東海、独島はびこる 7月2日
『荒城の月』で知られる詩人の土井晩翠は、本来、「つちい」と読む姓を「どい」の音に改めた。還暦を過ぎた頃という。理由に諸説あり、と外山滋比古さんが『おしゃべりの思想』(ちくま文庫)に書いている。
▼世間では「どい・ばんすい」で通っており、本人が諦めた。長女の提案を受け入れた。選挙人名簿の「ど」に自分の名があった。どの説にもクスリとさせられる。言葉の持つ響きを生命線とする詩人にとっては、「どい」と「つちい」の違いは一大事であったろう。
▼常識的に考えれば、人の表札に「自分たちの呼び方はこうだから」と勝手な呼称を上書きする人はいない。公的な標識を書き換えれば、それは非常識の域を越えている。「日本海」の場合、国際呼称は“Sea of Japan”以外に正しい表記はあり得ない。
▼国連などが「日本海」を標準表記と認めているのは言うまでもない。国際社会ではしかし、韓国側の対外広報が浸透しつつある。日本海と“East Sea(東海)”を併記した地図が、海外で増えているという。竹島の「独島」表記といい、懲りない国である。
▼表記といえば、作曲家の團伊玖磨に知られた挿話がある。自宅に届いた郵便物の宛名書きに、「団」とあれば読まずに捨てた。固有の名前に対する意識とはそういうものだろう。自国の東にある海だから−の主張がまかり通るのなら、世界地図は東海であふれ返る。
▼韓国側が言うには、主要な国々の約3割が東海を併記しているらしい。言いがかりに等しい主張を真に受ける国も考えものだが、特異な国際感覚に振り回される度、「常識」の無力さに気が重くなる。子供が泥だらけの足で走り回れば、大人はその跡を丁寧にふいて回るほかない。
http://www.sankei.com/column/news/170702/clm1707020004-n1.html
英国の王立地理学会との共同編纂(へんさん)で出版されているフィリップス社の世界地図には日本海(SEA OF JAPAN)とともに東海(EAST SEA)が併記されている