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日航機墜落
「安全安心いつも」妻亡くした夫、再婚の妻と
群馬県上野村の灯籠流しに初めて参加
520人が亡くなった日航ジャンボ機墜落事故で妻を失った東京都足立区の建築士、工藤康浩さん(57)が11日夜、
群馬県上野村で営まれた灯籠(とうろう)流しに初めて参加した。
工藤さんは事故後に再婚した理佳子さん(55)と一緒に地域で安全について考える活動をしている。
灯籠に手を合わせた2人は「犠牲者の死を無駄にしないために安全安心について発信していきたい」と、志を新たにした。
工藤さんは事故で、妻の由美さん(当時24歳)を失った。結婚半年。由美さんは1人で神戸市の実家に里帰りするところだった。
悲嘆に暮れる中、5年後に理佳子さんと出会う。1992年、初めて墜落現場「御巣鷹の尾根」に連れて行った。
事故当日、伊豆半島にいて事故機を目撃したという理佳子さんは、長く険しい登山道を号泣しながら上った。
「山に来て(由美さんから)バトンタッチされたんだな、と腑(ふ)に落ちた」。翌年、2人は結婚した。
2人は2年前から自宅のある足立区を拠点に「安全安心とは何か」をテーマに活動を始めた。
住民と一緒に交通事故など危険な場所を点検し、安全なまちづくりへの提言をまとめようとしている。
きっかけは4人が死傷した東武伊勢崎線竹ノ塚駅近くの踏切事故(2005年)。
工藤さんは「開かずの踏切」を保安係員が上げ下げする中で起きた人災だったと感じている。
日航機事故も遠因は修理ミス。一方、東日本大震災では、住民同士が声を掛け合って避難した話を見聞きし、
「隣人の顔も知らずに助け合いができるのだろうか」と危機感を抱いた。
工藤さんと理佳子さんは年3回の慰霊登山を欠かさない。
多くの人が押し寄せる「命日」の前後は避けてきたが、同じ日に同じ悲しみを共有したいと今年初めて参加した。
「私たちのような人を生まないためにも安全は大切だと改めて感じた」と工藤さん。
理佳子さんは「慰霊行事が上野村など多くの地元の方に支えられていることを実感した。安全のための活動につなげたい」と話す。
工藤さんは今後、他の遺族を訪ね歩き、その声を本にまとめようと考えている。【鈴木敦子】
http://mainichi.jp/articles/20170812/k00/00m/040/089000c
![日航機墜落事故で妻を亡くした男性、再婚した妻と追悼イベントに参加 新しい奥さんは事故当日、偶然伊豆半島にいて事故機を目撃していた [無断転載禁止]©2ch.net [621794405]->画像>1枚](https://cdn.mainichi.jp/vol1/2017/08/12/20170812k0000m040092000p/9.jpg)
灯籠にメッセージを書き込んだ工藤康浩さん(左)と妻・理佳子さん=群馬県上野村で2017年8月11日午後5時29分、和田大典撮影