
苦手としていたオーストラリア代表に快勝し、6大会連続となるW杯の出場権を獲得した日本代表。
これまでレギュラーだった選手たちが、最後までベンチを温め続けた試合後には、世代交代を求める声も聞かれた。
しかし、この試合でFW浅野拓磨の先制点をアシストしたDF長友佑都は、必ずしも世代交代が必要なのではないと説く。
的中したハリルホジッチ監督の選手起用
日本代表の先発メンバーが発表されたとき、多くの人が驚いただろう。
そこにはこれまで長らく日本代表を引っ張ってきた本田圭佑、香川真司の名前はなく、代わりに22歳の浅野拓磨、21歳の井手口陽介の名前があった。
一部で、この試合の結果によっては自身の進退問題にも発展すると報じられていたヴァイッド・ハリルホジッチの選択が明らかになると、「博打」「抜擢」といった言葉が配信された。
今回の代表メンバーを発表する会見でも、指揮官は若手を信頼して起用することの重要性を説いていた。
しかし、若手起用に関してネガティブな記憶が残っている人も多かったはずだ。
W杯アジア最終予選の第1節、ホームでのUAE戦では、先発で起用されたMF大島僚太が本来の力を発揮しきれず、相手にPKを与えるなど敗戦に関与していた。
浅野、井手口にとってこの試合はA代表デビュー戦ではなかったが、
経験が重視されるアジア最終予選という大舞台での先発起用が、失敗に終わっていれば批判は免れなかっただろう。
だが、ハリルホジッチ監督の采配は的中する。
ボールをつなぐことに執念を燃やすオーストラリアに対して、走力を生かして上下動を繰り返し、球際で戦い続ける浅野、井手口の存在は、抜群に効いていた。
連係面やクロスで右ウィングとしてのプレーに物足りないところもあった浅野だが、前半41分には、DF長友佑都からのクロスを受け、喉から手が出るほど欲しかった先制点を決めて見せた。
最後まで運動量の落ちなかった井手口は、終盤まで可能な限り高い位置まで飛び出して行き、相手にプレスをかけ続けた。
後半37分には途中出場していたMF原口元気が体を張ってつないだパスを受け、勝利を決定づける豪快なミドルシュートまで決めた。
相手の戦い方を分析し、しっかりとそれに応じた戦術と選手を用意したハリルホジッチ監督の手腕は、評価されるべきだろう。
あるいは「博打」「抜擢」とも評された采配は、もしかしたら本来、ハリルホジッチ監督がやりたかった、自身の目指す戦い方なのかもしれない。
試合後、記者会見に臨んだハリルホジッチ監督は、「プライベートで大きな問題があった」と質疑応答を受け付けずに、サウジアラビア戦後の退任さえほのめかした。
それでも冒頭では「私は若手を信頼して使うべきだと思っていますが、それが正しいことが示せたと思います。
日本のサッカーにとっても、良いことでしょう」と、プライドの滲む言葉を発している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170901-00010000-victory-spo
9/1(金) 5:30配信