教科書の文章、理解できる? 中高生の読解力がピンチ
教科書や新聞記事のレベルの文章を、きちんと理解できない中高生が多くいることが、国立情報学研究所の新井紀子教授らの研究グループの調査で分かった。
新井教授は「基礎的な読解力がないまま大人になれば、運転免許や仕事のための資格を取ることも難しくなる」と指摘している。
調査の名称は「リーディングスキルテスト」。教科書や新聞記事などの文章を読んでもらい、意味や構造を理解できているかを調べる内容で、
2016年4月から今年7月にかけて、中高生を中心に全国で約2万4千人が受けた。問題は、コンピューターで受験者ごとに無作為に出題した。
その結果、例えば「メジャーリーグ選手の出身国の内訳」に関する中学校の社会科教科書の文章を読み、
内容に合うグラフを正しく選べた中学生は12%で、高校生も28%にとどまった。
文章には「選手のうち28%はアメリカ合衆国以外の出身」とあったが、四つのグラフの中から「72%がアメリカ合衆国出身」という事実を示すものを選択できない生徒が多かった。
似た文章を比較する問題でも誤答が多かった。
調査では、やはり中学校の社会科の教科書にある「幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた」という文と、
「1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた」が同じ意味かを尋ねた。
幕府と大名の関係が入れ替わっているため、正解は「異なる」だが、中学生の42%、高校生の27%が「同じだ」と答えた。
調査では、中高生に読書の好き嫌いや1日の勉強時間、スマートフォンの利用時間も聞いたが、読解力との関連は確認できなかった。
一方、所得の低い家庭の子どもに学用品費などを補助する就学援助を受けている子どもの割合が多い学校ほど、生徒の正答率が低かった。
新井教授は「中学卒業までに、中学校の教科書を読めるようにすることが教育の最重要課題だ」と話す。
仕事の多くが人工知能(AI)に代替される時代が近づくなか、AIに負けない能力を身につけるには文章の意味を理解し、学び続けることが欠かせないからだ。
今後、テストをさらに多くの生徒に受けてもらい、読解力の向上の方法を検証するという。(根岸拓朗)
http://www.asahi.com/articles/ASKC36GYCKC3UTIL01K.html
不登校がなければ2に例題