http://www.sankei.com/world/news/171213/wor1712130038-n1.html
本紙の“口封じ”はできない 中国当局また取材拒否
産経新聞は13日、中国・南京市で開かれた「南京事件」に関する国家式典への参加、取材を拒否された。本紙の“口封じ”を狙った報道規制の一環である。
習近平政権は10月の中国共産党大会を経て2期目がスタートした。対外的には“微笑外交”を展開し「ウィンウィン(共栄)」を呼びかけているが、国内ではいかなる批判も許さない強権体制を固めつつある。
本紙は、主要メディアの中で最も早く「南京事件の犠牲者30万人」説に疑義を唱え、中国当局が歴史を政治利用している実情について厳しく報じてきた。今回、日本の主要メディアのうち唯一、本紙を排除した中国側の意図は明らかだ。
本紙が取材の機会を奪われるのは今年に入って3回を数える。3月の全国人民代表大会(国会)閉幕後に開催された李克強首相の記者会見や、10月に行われた習近平総書記(国家主席)ら党新指導部の記者会見への出席も拒否された。胡錦濤前政権時代にはこれほどの規制はなかった。
中国政府関係者から「産経は中国を批判するメディアの中の先頭ランナーだ」といわれたことがある。反中メディアの象徴と位置づけているのだろう。度重なる取材拒否は露骨な報復、嫌がらせと言ってもいい。
中国当局が批判を封じ込めようとしているのは、報道機関だけではない。今年最大の政治イベントだった党大会前には、人権活動家や民主活動家、またその家族が軟禁されたり、北京から追い出されたりした。インターネット上の監視や検閲も強まるばかりだ。
世界2位の経済大国となった中国は今、グローバル化の旗手を自任し、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」への参加を各国に働きかけている。しかし“微笑”の裏には、思い通りにならない相手に対し報復や嫌がらせも辞さないこわもてが隠されている。
中国当局は13日の式典から産経新聞を排除したが、その結果はどうだったか。紙面を見れば一目瞭然だろう。言論を封じることなどできない。
中国は誤った大国の道を歩んでいる。