
4月以降、有期契約が通算5年を超えた労働者は、希望すれば定年まで働ける無期契約へ
転換できるようになる。労働者にとっては雇用契約打ち切りの不安がなくなり、生活の安定につながる。
企業は制度や就業規則を作るなど対応を急ぐが、自動車大手など一部では回避の動きもみられ、問題となっている。
「無期転換ルール」は2013年4月に施行された改正労働契約法に盛り込まれた。
専修大学法学部の長谷川聡准教授は「雇用が安定し、会社に物を言える余地も出てくる。労働者にとってメリットは多い」と評価する。
企業の対応としては、有期と同様の条件で無期契約に切り替える事例が多いとみられる。
新たに勤務時間や地域を区切った「限定正社員」を設けたり、正社員に登用したりするなど、
無期転換を契機に、正社員と非正規社員の格差是正に取り組む動きも出ている。
クレディセゾンは昨年9月、パートを含めた全従業員を正社員にし、賃金や待遇を統一した。
対象人数は約2200人で、人件費は年数億円増加する見通し。「持続的に成長し続けるために、
社員一人ひとりの成長が重要だ」(広報)として、改革に踏み切った。
一方で、無期転換によって解雇が難しくなり、将来の負担増につながると考える企業も少なくない。
厚生労働省の調査では、自動車大手10社のうち7社が、契約更新の際に6カ月以上の無契約期間を設けることで、無期転換を回避していた。
厚労省は「直ちに法律違反ではない」(労働関係法課)としているものの、自動車は日本を代表する産業だけに批判が上がっている。(2018/01/07-14:37)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018010700243&g=eco