癌遺伝子、癌抑制遺伝子が発見されても、HLAを研究し続けた頃「多様性の遺伝子をいくらやっても
無駄である」と今では SNPs の大家に言われたことがある。 その当時は、ある遺伝子を発見しその
機能を解明すれば、すべてのことが分かると 考えられていた時代でもあった。私の恩師の先生方に
よく言われたのは 「Black Box を開けたら、また Black Box があった」と。頭の良い人は、Black
Boxを開けたい衝動に駆られるようである。私はそこまで頭が良くないと思っていたので、Black
Boxの「表ふたと裏ふた」だけを見ていたように感じる。 HLA の多様性から、同じ個性(似たよう
なHLA 遺伝子と考えた)を持っているヒトを分類することを林 知己夫先生(数量化理論(分類する
方法論)を確立した世界のトップの統計学者)にお願いをした。幸運なことに(林先生の言葉)
日本 人は4型に分類ができ、1994年に発表した(HLA タイプ1、2、3、4と称した)。日本人の
遺伝子 の特徴、すなわち、外国人に比し Homogeneity (同質性:日本は島国であり、他国の侵略
や、移民 を奨励した歴史は少ない)のためである。そのと き解析をした欧米人のデータでは分類
できるグル ープ数が多く、また分類が不可能である国民もあ った(もちろん検討した数にもよるが)
。私が欧米 に留学し、同じ期間、同じ研究を続けていたとし ても、欧米人を対象とした薬剤
感受性を研究する ことは不可能であったことになる。そのとき思った のは、日本人の遺伝子情報は、
世界の中でも遺伝 子研究の宝庫ではないかと思った。私と同じよう な発想で研究していたのは、
1996年に創設された アイスランドの deCODE genetics 社であった。
http://www.npo-jsct.umin.jp/wwaves/WWAVES%20Vol.19_p011.pdf
精神疾患の日本人のサンプルは私たち日本の精神科医しか集められないため、海外から見ても貴重なデータ
です。日本は1億2000万人の人口がいて、島国で、遺伝的にかなり均質なグループですから、遺伝研究を行う
ときに結果が見えてきやすいという利点があります。日本での遺伝子をベースにした研究はこれからますま
す大切になってくると思います
https://www.fujita-hu.ac.jp/research/story/neuro.html
本疾患の発症には強い遺伝的素因(疾患感受性遺伝子またはリスク遺伝子)が関与することが示唆されてお
り、すでに欧米では21種類のリスク遺伝子が同定されている。これらが集団差を超えて本疾患発症に共通で
あるか否かは、疾患の発症機構の解明だけではなく、人類の進化と疾患との関連の解明のための人類遺伝学
上の重要課題である。特に日本人のような比較的遺伝的均質性の高い集団における疾患感受性遺伝子の同定
は世界の注目するところであった。
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/a_00088.html