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【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)の欧州議会は26日、著作権法の改正案を賛成多数で承認した。
インターネット上で配信されるニュース記事や音楽、動画などに対する著作権保護を大幅強化し、米グーグルなど「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業に適切な使用料の支払いも求める内容だ。
約20年ぶりの抜本的な法改正で、巨大IT企業が無断でニュース記事や音楽をサイト上で使い、大きな利益を上げている状況を是正するのが狙い。
EU加盟国の承認後、各国が2年以内に法制化して施行される。
改正案はプラットフォーマーに対し、コンテンツの使用許諾を著作権の保有者に求めたり、許諾のないコンテンツを制限したりする努力を求めると規定。
著作権保有者は公正な使用料も要求でき、対応が不十分で著作権が侵害された場合、プラットフォーマーが法的責任を担うと明記した。
中小規模のIT企業や事業開始3年未満の新興企業は対象外とし、教育・研究目的のコンテンツ使用は規制されない。ニュース記事に関しても、ごく短い抜粋は認める。
記事集約サイト「グーグル・ニュース」や動画投稿サイト「ユーチューブ」を持つグーグルなどIT大手は法改正に反対してきた。
欧州メディアによると、グーグル担当者は26日、「欧州の創造的なデジタル経済を損なう」と反発した。
法改正をめぐっては、メディアや芸術家が支持する一方、IT大手に限らず、ネット上の自由を損ない、消費者にも不利益になるとして反対意見も強い。
欧州各地では最近、反対デモも発生。欧州議会の採決も賛成348票、反対274票と賛否が割れた。
https://www.sankei.com/world/news/190327/wor1903270018-n1.html