米国では今、
「自国通貨建てで借金している限り、政府は財政赤字など心配せずどんどん借金していいよ。政府は限度なく通貨を発行できるからデフォルト(破産)なんかしない」
という経済政策が話題になっている。
MMT(現代貨幣理論)という。サンダース上院議員や民主社会主義者たちが経済政策のバックボーンに据え、若者を中心に人気だ。
しかし、人気といっても奇策は奇策、異端は異端。私は、ブードゥー経済学とさえ思っている。ブードゥー教は、いけにえの儀式など呪術的な性格から怪しげなものの代名詞だ。
そう考えるのは私だけではない。主流派経済学者やFRBなどの政策当局はことごとく反対だ。シカゴ大学が3月13日公表した調査結果によると、米経済学者40人のうちMMT賛同者はゼロだったという。
米ブラックロックのラリー・フィンクCEOもMMTを「ゴミ」と酷評したそうだし、サマーズ元米財務長官も米紙への寄稿で同理論を「誤り」と指摘し、
債務が一定水準を超えれば超インフレにつながると警告したそうだ(日本経済新聞3月15日付夕刊「ウォール街 ラウンドアップ」)。
3月18日の参議院予算委員会で、浅田均議員が麻生大臣に「MMTをどう受け止めるか」と質問した。
大臣のお答えは「私どもはそれはちょっといかがなものかという感じが率直にある」(議事録から)と答えられた。
質問時間はそこで切れてしまい、浅田議員は「ポール・クルーグマンとかサマーズさんと全く同じ御意見なので、そういうふうに受け止めさせて頂きました」と締めくくった。
が、ア、レ、レである。サマーズ氏の発言は、財政赤字に警鐘を鳴らし「このまま借金を増やすとハイパーインフレになるぞ」という私の主張そのもの、MMTは日本のリフレ派の主張そのものではないか。
政府・日銀はリフレ派の主張に乗って異次元緩和政策を始めた。
なのに、その政策を自ら「それはちょっといかがなものか」と自己否定していいのか? それとも自らの政策がMMTだと理解していないのか?
米国の政府債務は22兆ドル、名目GDPは20.5兆ドルだから債務残高の対GDP比は107%。
その段階で、主流派経済学者や当局者がこぞって「このままだと超インフレになる」と一層の財政悪化に声を上げて大反対する。健全な姿だ。
日本は債務残高の対GDP比が240%もあるのに、「このままだとハイパーインフレになる」と私が警告すると過激論者と非難される始末。日本は大丈夫か?
毎日新聞の福本容子論説委員は「フリーランチ(タダ飯)は存在しない。必ず高い請求書が後で回ってくる。M(未来は)、M(もっともっと)、T(大変)」と表現した。けだし名言だ。
3/28(木) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190327-00000011-sasahi-bus_all