(以下、本文から一部抜粋)
しかし、実は、政界にはこのショーン氏と同様の学歴詐称をしながら、今も権力の座に居座る厚顔の人物がいる。ほかでもない、安倍晋三首相だ。
安倍首相もまた、嘘の海外留学歴を公言し、自らの箔付けを行っていたことがあるのだ。
この事実が発覚したのは、安倍氏が自民党幹事長時代の2004年。当時、安倍氏は自らの経歴をこう称していた。
〈1977(昭52年)3月 成蹊大学法学部政治学科卒業、引き続いて南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学〉
事務所のホームページ、後援会向けに作成したプロフィールはもちろん、新聞や雑誌のインタビュー記事などでも同様の記述がされていた。
南カリフォルニア大学は、1880年設立と、アメリカ西海岸の私立大学では最古を誇る名門校。成蹊大学卒という学歴にコンプレックスをもっていた安倍氏は、この留学歴を前面に出し、箔付けにおおいに利用していたというわけだ。
ところが、この〈南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学〉というのは明らかな水増し、虚偽の学歴だったのだ。
「週刊ポスト」(小学館)04年2月13日号が、当時、南カリフォルニア大に確認、広報担当者からこんな回答が得られたことを記事にしている。
「シンゾウ・アベは78年の春期、夏期、秋期のみ在籍しています。その間は本学の正規の学生であるが、専攻はまだありませんでした。
取得したコース(講座)は全部で6、そのうち3つは“外国人のための英語”です、政治学は入っていません。
1コースは4単位ですから取得単位は24。卒業できる数字ではありません」
ようするに、安倍氏は南カリフォルニア大学には「1年間」しか留学しておらず、「政治学科」どころか、そもそも政治学系の科目すら1科目も履修していなかった。
これに対し安倍事務所は、以下のように反論している。
「南カリフォルニア大には78年1月から79年3月まで在籍しています。政治学は履修しましたが、途中でドロップアウトしたため、記録は残っていないだけで、留学の実態はあったと考えています」(「週刊ポスト」より)
政治学の科目を履修したが、「落第」しただけだと言い張っているのだが、こんな弁解が通用するはずはない。しかも、安倍氏の学歴詐称疑惑はこれで終わらなかった。
前述の「週刊ポスト」の記事が出た後、「週刊現代」(講談社)が同年2月21日号で後追い報道をしている。
「現代」が問題にしたのは、母・洋子氏が毎日新聞1994年8月7日付朝刊のインタビュー著書『わたしの安倍晋太郎』(ネスコ、1992年)で、次男の晋三が成蹊大卒業後、「カリフォルニア州立大学と南カリフォルニア大学に一年ずつ留学して政治学を学びました」としたことだった。
本人や事務所と母親の間で、学歴の認識に差があるというのも驚きだが、「週刊現代」の記事によれば、安倍氏がカリフォルニア州立大学で政治学を専攻した事実はなく、大学付属の英語学校に通っていたにすぎないという。
そして、南カリフォルニア大学に関しては、「現代」の取材でも、78年年春から同年秋までの在籍しか確認できなかった。
いずれにしても、安倍氏の海外留学というのは、よくある語学留学に毛の生えた程度のものすぎなかった。
しかも、「留学」した安倍氏がホームシックにかかり、東京の実家に月10万円にもなるコレクトコールをかけまくっていたというエピソードや、
現在も安倍首相が「英語は苦手」と公言していることからもうかがえるように、安倍氏は結局、その語学すら習得できずに帰国したのである。
それを、政治学を学んだと公言し、まるで学士を取得したようにプロフィールに書き込むというのは、明らかな学歴詐称。安倍氏は政治家であることを考えると、非常に悪質な詐称といっていいだろう。
しかも、この詐称は、安倍氏側も明らかに自覚していた。
週刊誌の取材には「留学の実態はあった」と強がっていた安倍氏だが、報道に前後して、安倍氏のホームページ上のプロフィールからこっそりと留学部分の「2年間」という部分が消え、2016年現在では「米大学への留学」自体の記述まで姿を消している。
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