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https://digital.asahi.com/articles/ASN6V6R64N6TPTLC02D.html
徳島)有害鳥獣でジビエ料理 徳島文理大に感謝状
徳島文理大学短期大学部(徳島市山城町)の学生たちが4年前から、徳島県那賀町の山林をシカの食害から守るため、地元で捕獲されたシカの肉をジビエ料理に活用する取り組みを続けている。活動が森林保護に貢献しているとして、このほど林野庁長官から感謝状が贈られた。
林野庁徳島森林管理署によると、県内では、農作物の食害などの防止のために、シカの駆除が進んでいる。2017年には計1万2752頭が捕獲された。だが、このうち食肉として利用されたのは1割未満で、大半が廃棄処分されている。
短期大学部生活科学科では16年から、森林保護に取り組む住民らでつくる「南つるぎ地域活性化協議会」(那賀町)などの協力で、栄養士などを目指す食物専攻の学生が、シカの解体実習やシカ肉を使った「ジビエ料理」のレシピ開発などを続けている。
昨年度の実習では、学生たちがシカの侵入を防ぐ防護ネットを設置したり、おいしく調理するための解体方法を学んだりした。解体したシカ肉を大学に持ち帰り、シチューやショウガ焼き、ミンチカツなど約30種類のレシピを考案。学生食堂の限定メニューとして販売した。
今春、短期大学部を卒業して大学の3年生に編入した比嘉梢乃(ひがたかの)さんは「解体は難しかったけれど、ショウガ焼きにしたらとてもおいしかった。後輩たちにも、シカ肉のおいしさやありがたみを知ってほしい」。指導する長尾久美子准教授は「学生たちが考えたメニューは学生食堂でも好評で、レシピ集も作った。学生たちは普段の授業では学べない貴重な体験ができた」と話す。
徳島森林管理署の川上伸一署長が24日、大学を訪れ、本郷浩二・林野庁長官名の感謝状を手渡した。式典に駆けつけた南つるぎ地域活性化協議会の平井滋会長は「初めはシカを目の前にして一歩引いていた学生たちも、次第に慣れた手つきで解体できるようになった。これからも山の現状や、命をいただくことの大切さを学んでほしい」と語った。