新型コロナウイルスの感染拡大で、世界の景色はすっかり変わった。国により感染者数や死亡者の数にも大きな違いが出ているなかで、
ジャーナリストの池上彰氏は「こういう時こそ、その国の民主主義の度合いや日頃の医療体制の優劣がはっきり出てきます」と指摘する。
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新型コロナウイルスについて、独裁的な力で都市を封鎖して感染者数を抑え込む中国のような国もあれば、対策が遅れ、貧富の格差から人種によって死亡率に差が出たアメリカのような国もあります。
中国に関していえば、感染拡大を防ぐためには国民の行動にある程度の規制をかける必要性は理解できても、武漢という、
人口規模で東京都に匹敵する大都市をいきなり封鎖してしまうという手法には嫌悪感を抱く人も多いことでしょう。
その中国と何かにつけて比較されるのがインドです。私が6月30日に上梓した『池上彰の世界の見方 インド』で詳述していますが、
13億人をはるかに超える人口を抱えたインドは、人口増加率を見ると10年以内に中国を追い抜く勢いです。しかし、感染防止の観点からいうと、中国より立ち遅れ、感染者数は爆発的に増えてしまいました。
インドは「世界最大の民主主義国」と言われます。しかしそれゆえに中国のような強権的な手法はとれませんでした。
今、感染拡大対策が後手に回ったのではないかと批判されています。これは民主主義の弱点かも知れません。だからといって中国を見習え、とはならないでしょう。
民主主義とは何か。考え込んだ人もいるのではないでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/131e6573f70441f98dba824e15a0d0a952a6c5a7