
【独自】容疑者からの電話音声を入手 介護事業者にも「線香あげにこい」
埼玉県で銃を持った男が自宅に立てこもり医師が殺害された事件で、
男が事件当日、在宅介護サービスの事業者にも電話をかけ、自宅に呼び出そうとしていたことが分かりました。
JNNは、その電話の音声を入手しました。
立てこもり事件当日の昼過ぎ。介護サービスの事業者に一本の電話がかかってきたといいます。
「母が死んで今までのことを謝りたい、払ってないお金を払いたい、線香だけでもあげにきてほしい」
電話の主は渡辺宏容疑者。この事業者は、かつて、母親の在宅介護のサービスを請け負っていましたが、
渡辺容疑者から「寝たきりの母を歩けるようにしろ」など理不尽な要求をされたり、ものを投げつけられたりしたため、サービス継続を断っていました。
その後は連絡も途絶えていましたが、事件当日の昼過ぎ、突然、電話をかけてきたという渡辺容疑者。
当初は丁寧な口調で、“介護サービス費用の未払い分を支払いたいので自宅まで取りに来て欲しい”と話したといいます。
ところが、電話を受けた職員が「請求書を送る」と伝え、訪問を断ると渡辺容疑者は態度を豹変。
不審に思った職員は、電話の録音を始めました。
渡辺容疑者
「どうなんだよ」
介護サービス事業者
「ですから、御請求書をお送りさせていただきまして、そちらの方に振込等を行っていただければと思いますけれども」
渡辺容疑者
「こっちはちゃんと来てくれないと払えないよ。ちゃんと筋通してもらわないと」
介護サービス事業者
「筋ですか」
渡辺容疑者
「あんなはした金さ、集金来ないあんたらが悪いんだから」
介護サービス事業者
「すぐに集金に行かせていただいたんですけど、払わねえって言ってお支払いにならなかったのは多分・・・」
渡辺容疑者
「払わねえじゃねんだよ、お前のところの対応が悪いからだろ」
エスカレートする言いがかりに対し、職員が電話の目的を尋ねると・・・
介護サービス事業者
「どういう意図で今、お話をされているんでしょうか?」
渡辺容疑者
「何が?」
介護サービス事業者
「今、現在の話です」
渡辺容疑者
「だからいいよ、お前みたいなバカと話したってしょうがねえんだよ」
介護サービス事業者
「では、お切りしてよろしいですか?」
渡辺容疑者
「だから線香をあげてこいっていうんだよ」
介護サービス事業者
「個別の家に線香を、私はあげに行ったことはありませんので」
渡辺容疑者
「だからそれはね、おかしな、だからそもそもな、お前のところの介護のそういう会社は、おかしいところなんだよ、バカやろう」
この電話から8時間半後、渡辺容疑者は、母親の訪問診療をしていた医師の鈴木純一さん(44)を人質に、自宅に立てこもりました。
警察によれば、鈴木さんらも、「線香をあげに来てくれ」などと呼び出されていました。
電話を受けた介護サービス事業者の職員は、JNNの取材に「もし家に行っていたら殺されていたかもしれない」と話しました。
警察は、渡辺容疑者が、実際に殺害した鈴木さんの他にも危害を加える相手を探していた可能性もあるとみて捜査しています。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4460936.html