──1月6日の襲撃には、軍や警察とつながりのある者が少なからず参加していました。その割合を考えると不安になりませんか?
その通りです。CIAには反乱に関するマニュアルがあります。ネット検索すれば見つかるようなものです。米政府が反乱分子をごく初期の段階で見つけられるように書かれたもので、たとえばフィリピンやインドネシアで何かが起きているとしたら、気をつけるべき兆候はどのようなものかといった内容です。
このマニュアルには3つの段階について書かれています。第1段階は反乱の前段階で、ここで特定の不満を抱えた人たちを動員しようとする集団化が見られます。出発点はほとんどの場合、ただ何かをひどく不満に思っているほんの一握りの個人。彼らが不満をはっきりと主張し始め、そしてメンバーを増やそうとします。
第2段階は、初期の紛争段階と呼ばれます。この段階で集団は戦闘部隊を作り始める。通常は民兵組織です。そして武器を手に入れ、訓練を受けるようになる。それから元軍人や現役の軍人、法執行機関からメンバーを募り始める。
また、国軍への入隊を志願するメンバーがいれば、喜んで送り出すでしょう。国軍で訓練を受けさせるためだけでなく、機密情報を入手するためです。
CIAは、諸外国で観察してきたことをこのマニュアルにまとめました。でも読んでいくと、いまアメリカで起きていることとの類似性に驚かされます。
たとえば第2段階では、孤立した攻撃がいくつか起きるようになります。マニュアルによると、この段階で非常に危険なのは、政府も市民も反乱への準備が進んでいることに気づかないことです。
そのため、攻撃が発生しても大抵は個々の事件として片づけられ、点と点はまだ線につながらない。点と点がつながらないからこそ、そうした動きは反乱として世に知られるまで、無視できなくなるまで着々と増大していくのです。
そして、これもまた内戦の危機にある国に見られるプロセスの一部なのですが、反乱を組織する者たちは、従軍経験の元軍人をリクルートし始めます。アメリカは、アフガニスタンやイラク、シリアでの一連の戦争を経て、経験を積んだ帰還兵をたくさん抱えている。リクルートされるのを待っている即戦力の層ができあがっているわけです。
https://courrier.jp/news/archives/291947/