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健心さんはダウン症で、中度の知的障害がある。だが、「同年代の友達と学校生活を送りたい」と希望し、特別支援学校でなく、地域の小中学校へ通った。学校で同級生と同じ授業を受け、一緒に学校生活を送っていたため、健心さんは自分自身を障害者と思っておらず、むしろ、障害のある人との集いは避ける傾向があるという。母親の玉枝さん(59)は「学校に障害者がいなかったからではないか」と話す。
高校受験では、入試で必要なマークシート試験に答える練習を重ねて合格し、都立の商業高校に入学した。学校のにぎやかな雰囲気が好きで、同級生と一緒にいることが「とても楽しかった」と健心さんは振り返る。
「勉強が好きだから、大学へ行きたい」と情報処理が学べる学科を受験したが、小論文で 不合格となった。玉枝さんは「手の不自由な子どもは口頭で、目が不自由な子どもは点字でテストを受けられます。でも、知的障害の子どもには代替手段がありません。健心は抽象的な内容は苦手ですが、具体的な質問には選択式で答えることができます」と話す。
そこで、健心さんと玉枝さんは「地域の小中学校の通常学級で、障害のある子どもの就学を拒否しないこと」「知的障害児を排除している高校、大学の選抜制度を改めること」などを障害者権利委員へ訴えるため、ジュネーブへ向かった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7769c44ea0310c09cf6680f6e7f36f72597b3f4c?page=2