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新築戸建て住宅などへの太陽光パネル設置義務化を目指す東京都の方針を巡り、キヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹らが6日、記者会見を開き、人権侵害が疑われる中国製パネルの輸入増加が懸念されることなどから、義務化に反対した。一方、東京大学大学院の前真之准教授らも同じ日に会見し、電気代が高騰する現状では「義務化は有効な手段」と述べ、導入推進を訴えた。
杉山氏らは会見で、義務化の問題点について言及。再生可能エネルギーで発電した電力を電力会社が買い取り、その費用を「賦課金」として電気料金に上乗せしている制度下では「パネルを設置できる住宅の住民は売電収入で潤うが、電力を買う側の住民の負担は重くなり格差が拡大する」と述べた。
さらに、大規模水害などでパネルが水没した場合、感電事故が起きる危険性があると指摘。新疆ウイグル自治区での強制労働による製造が疑われる中国製パネルの輸入増加も想定され、ウイグル人の人権侵害などにつながるとした。
これに対し、前氏や、発電設備の関連企業などで構成される一般社団法人「太陽光発電協会」らは会見で、感電事故について「知る限りでは一件も発生していない」と強調。設置に伴う格差拡大については「戸建て住宅などへの設置が普及すれば、市場の競争原理などが働き上乗せ金額も減る」との見通しを示した。
人権問題については前氏が「太陽光に限らず、あらゆる問題で議論されるべき課題」とし、「義務化は、高騰が続く電気代の都民負担を軽減する有効な手段」と主張した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/9d9db3fb45b1b3a2e71026bdda5c9f616d68d91b