CNN) イスラエル軍が包囲するパレスチナ自治区ガザ地区北部にあるカマル・アドワン病院で6日、医師4人が殺害された。これより前、同病院の敷地内にはイスラエル軍が突入。周辺地域にいた数十人を殺傷していた。現場の目撃者がCNNに明らかにした。
イスラエル軍はまた、医療従事者と患者を病院から強制退去させ、重要な医療用品を破壊した。フッサム・アブ・サフィヤ院長が声明で述べた。
アブ・サフィヤ氏によれば6日未明、イスラエル軍が病院に送り込んだ私服の使者2人が、メガホンで人々に避難するよう告げた。同軍は2時間の急襲で「多数の」若者を拘束。そこには医療従事者や戦禍を逃れてきたパレスチナ人も含まれていたという。
軍用車が病院を取り囲む中、イスラエルのクアッドコプター数機が「激しい攻撃を直接」浴びせてきたと、アブ・サフィヤ氏は振り返る。その後、同軍は患者や避難民、医療従事者らを中庭に集め、強制的に南のガザ市へ向かう検問所に連れて行ったという。
最初は病院の北側と西側で空爆も行われたと、アブ・サフィヤ氏は声明で述べた。
軍の命令で患者らを連れて検問所へ向かう途中には、病院周辺の路上で数百人の死傷者を目にして衝撃を受けたとしている。
数時間後、イスラエル国防軍(IDF)は病院から撤退した。カマル・アドワン病院はガザ北部で稼働を続ける最後の医療施設の一つ。
アブ・サフィヤ氏がソーシャルメディアに投稿した写真には、布で覆われた少なくとも17人の遺体が病院の中庭に横たわる様子が写っている。この他20人が負傷し、「すぐにも手当てが必要な」状況だったという。イスラエル軍によって酸素発生器もひどく破壊されたと同氏は明らかにした。現在病院で救命治療を行えるのは「経験の浅い」医師2人しかいないとも述べた。
IDFはCNNへの声明で、カマル・アドワン病院内での爆撃や作戦行動を否定。戦闘は「テロ施設及びテロリスト」に対するものであり、病院が近接するジャバリア地域で行ったと主張した。
ガザ保健省によると、病院周辺の家屋に対するイスラエル軍の爆撃で少なくとも30人が死亡した。CNNが放送した6日の現地の映像には、病院の中庭でオレンジ色の炎を上げて燃える瓦礫(がれき)が映っている。病院内では医療従事者が幼い子どもを含む負傷したパレスチナ人を治療している。多くは傷の痛みにうめき声を上げている他、床に倒れたまま動かない人もいる。