九州を代表する駅弁の一つとして人気の「かしわめし」を、JR鹿児島線・折尾駅(北九州市八幡西区)などで100年以上にわたり販売する東筑軒(同区)は3月1日、
米の価格高騰の影響で、かしわめしのご飯を「大麦入り」にリニューアルする。
佐竹真人社長は毎日新聞の取材に「これ以上の価格転嫁は難しいと判断した。利益の確保は非常に厳しい」と明かした。
かしわめしは、鶏のスープの炊き込みご飯の上に、しょうゆなどで煮詰めて香ばしく仕上げた鶏肉、錦糸卵、刻みのりを並べた弁当。
1921(大正10)年の創業以来、折尾駅での立ち売りを続けていることでも知られる。93年の米不足でタイ米を使用した時期を除き、創業以来、国産うるち米を使用してきた。
佐竹社長によると、米の仕入れ価格は2024年11月と25年2月に相次いで値上がりし、現在は24年10月の1・75倍に。
米以外の食材や包装資材の仕入れ価格も上昇しているため昨秋、50.円値上げして、かしわめしは現在「大」を970.円、「小」を860.円で販売している。
22、23年にもそれぞれ30〜40.円の上げ幅で価格改定しているため、更なる値上げは難しいと判断した。
3月からブレンドする大麦の割合は1割。「浸漬(しんせき)」と呼ばれるご飯の浸水の時間を従来に比べ長くすることで、大麦がふっくら、軟らかくなるよう工夫する。
東筑軒は、注文用チラシなどに理解を求めるメッセージを掲載し「百年の秘伝の味はそのままに。大麦の恵みで新しい食感をお楽しみください」と呼び掛けている。
佐竹社長は取材に「かしわめしの味は変わらない。大麦を入れることで食感が変化するが、もっちり感で、個人的にもおいしく感じられたので決断した。
お客様にもそこを楽しんでいただき、さまざまな評価、ご意見をいただければありがたい」とコメントした。
米の価格高騰を巡っては、全国的な人気を博す崎陽軒(横浜市)の「シウマイ弁当」が、2月1日から120.円値上げして1070.円となるなど、業界に影響が広がっている。