
レイチェル・ルッカ―(米ワシントン)
アメリカのマルコ・ルビオ国務長官とテクノロジー界の大富豪イーロン・マスク氏が9日、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外相と、ソーシャルメディア「X」で激しいやりとりを繰り広げた。問題となったのは、マスク氏の衛星システム「スターリンク」のウクライナでの利用だった。
マスク氏は投稿で、スターリンクのウクライナでの利用停止に言及。これに対しシコルスキ氏は、スターリンクを停止すると脅すなら、他のサービス供給者を探すとほのめかした。
ルビオ氏はすぐにこれに反応。マスク氏がスターリンクを停止させると言っているわけではないとし、スターリンクについて感謝すべきだシコルスキー氏に促した。
その後も3人は「X」でやり取りを続け、最後はマスク氏がシコルスキ氏を「小さいやつ」と呼んで終わった。
スターリンクは、マスク氏が創業した宇宙企業スペースXのサービスの一部。同社は、世界中の遠隔地やサービスが不十分な地域(戦争地帯など)に、高速インターネットを提供するというミッションを掲げている。
「黙れ、小さいやつ」
今回の一連のやりとりは、マスク氏がスターリンクについて、「ウクライナ軍の背骨」だと投稿したことで始まった。
マスク氏は、「私がこれを停止すれば、ウクライナの前線すべてが崩壊するだろう」と書いた。
これを受けてシコルスキ氏は、ポーランドがサービス料を支払っていると投稿。「ウクライナ向けのスターリンクは、ポーランドのデジタル化省が年約5000万ドルを負担している」とした。
さらに、「侵略の犠牲者を脅すことの倫理的な問題はさておくとしても、スペースXが信頼できないプロバイダーなのだと判明すれば、私たちは他のサービス供給者を探さざるを得ないだろう」と書き込んだ。
この投稿をきっかけに、ルビオ氏が割って入った。シコルスキ氏を「単なる言いがかりだ」と批判。「ウクライナをスターリンクから切り離すなどと、誰も脅していない」とした。
そして、「ありがとうと言ったらどうか。スターリンクがなければ、ウクライナはずっと前にこの戦争に負け、今ごろはポーランドとの国境にロシアがいたはずなのだから」と書いた。
マスク氏はその後、シコルスキ氏の投稿に応える中で、同氏を「小さいやつ」と呼んだ。
「黙れ、小さいやつ。そっちが支払っているのはコストのごくわずかだ。そして、スターリンクに代わるものはない」
スターリンクは、ウクライナ軍が作戦の要として、2022年2月のロシアによる侵攻開始以来、利用している。
ウクライナ国内には、スターリンクのターミナルが数万個ある。これには、米国防総省が2023年6月に購入した約500台が含まれている。
https://www.bbc.com/japanese/articles/cwyjp8v81p1o