強い毒を持つ外来生物のヒアリについて、国立環境研究所は早期発見や防除の研究などを進めるための実験施設を日本で初めて設け、ヒアリの飼育を始めました。
ヒアリは、南米原産の赤褐色をした外来生物のアリで、腹にある針に刺されると激しい痛みに襲われ、最悪の場合、アレルギー症状によって死に至ることもあります。
ヒアリが広がると、生態系や人間の生活などに著しい影響を及ぼすおそれがあることから、国は水際対策に力をいれていますが、毎年、日本の主要な港などで相次いで発見されています。
そこで国立環境研究所は、早期発見や防除の研究などを進めるためのヒアリの実験施設を日本で初めて設け、12日に台湾からおよそ1万匹が持ち込まれ、飼育が始まりました。
施設には、ヒアリを飼育する容器が合わせて5つあり、最大5万匹まで飼育できるということです。
容器は3重構造になっていて、内側を登れないように粉を塗ってあるほか、通気口には特注の金網が溶接されていて、ヒアリが逃げ出さないような対策が取られています。
施設では、
▽防除に適した薬剤の選定や開発を主に行い
▽カメラで撮影した画像に、ヒアリがいるかを判断するAIの精度向上などを進めていくほか、
▽啓発活動のために標本を作って、港湾関係者や自治体に寄贈することも検討しています。
国立環境研究所の五箇公一室長は「ヒアリが日本の環境にどのように適応可能なのか生態の特性を知ることで、対策を立てることができる。
生きたヒアリを使った防除技術の開発が日本で本格的に始まる1つのステップとなる」と話していました。
外来生物の対策に詳しい国立環境研究所の五箇公一室長は、実験施設のオープンについて「これまでは薬剤の有効性試験も海外に行く必要があり、時間的な制約で十分な試験ができなかったが、
ようやく生きたヒアリを使って本格的に具体的な防除技術の開発ができる。外来種対策を研究する研究者としては、本当に待ちかねていた」と話していました。
そのうえで「ヒアリが日本の気候や季節変化に対して、どのように適応可能なのか、日本で飼育して、いろいろと試験してみないと分からないことが多い。
迅速に研究・調査し、できるだけ早急に対策を立てて、水際段階でしっかりと抑えられる技術を開発するための新しい拠点として、研究所が役に立つことを期待している」と話していました。