Qシートは京王を見習うべきだった
https://trafficnews.jp/post/128441 ――なぜ、リクライニング機能を付けたのでしょうか?
5000系は「京王ライナー」として運行し、お客様からご好評をいただいております。
その一方で「クロスシート時にリクライニング機能が欲しい」
「ロングシート時はほかの通勤車両より通路が狭く、座席間に3人立つと窮屈で通れない」
との声もいただきました。
車体を担当する総合車両製作所様、座席を担当するコイト電工様と座席の構造を見直しました。
――通路が窮屈になるとはどういうことでしょうか?
第6編成(5736F)までの5000系は背もたれに10度の傾斜を付けており、
傾斜のぶん座席が前にせり出すことで通路が狭いのです。
ロングシートモード時はラッシュ時でも運用される車両ですから、改善が必要と考えました。
――リクライニング機能で背もたれ角度を変更できれば、傾斜を減らせますね。
そうです。約2年半、座席構造の検証を重ねました。
脚台を小型化しつつ、ロングシート時に背ずりの角度を既存座席より10度立たせ、
壁側に引き込む構造を開発し、通路幅の拡幅を図りました。
――クロスシートモードでの工夫を教えてください。
車掌や運転士、駅係員の意見を参考に、窓側のお客様が通路に出られるか、
ドリンクホルダーに入れた飲み物が零れない角度かを考慮しました。
座席間隔は1010mm、リクライニング角度は16度に設定しています。
もっとリクライニングさせることは可能ですが、
リクライニングした際の圧迫感を考えると、現状がベストだと考えています。
――実現を検討したものの難しかった部分はありますか?
デュアルシート車は着席位置で視界に差が出るので、戸袋窓の復活を検討しましたが、
車体強度や寿命、車体の素材などを考えると難しく、断念しました。
そのぶん、可能な限り大きな窓としています。
座席背面へのテーブル装備も検討し、装備自体は可能なのですが、弊社の駅には特急専用ホームがありません。
列車の折返し時に車内整備をして、開かれたテーブルを折り畳む時間が取れないため、
窓枠を可能な限り広げて、小テーブルとしてサービス改善を図りました。