■温度変化に敏感、しかも逃げ場がない、400種以上で調査
温暖化からの逃げ場がほとんどない海の変温動物は、陸の変温動物に比べて2倍のペースで生息地から消え去っているとする研究成果が、2019年4月24日付けの学術誌「Nature」に発表された。
世界の平均気温が上昇すると、陸の動物よりも海の動物の方が、はるかに絶滅しやすいことを示している。
米ニュージャージー州にあるラトガース大学のチームが中心となった今回の研究では、魚から軟体動物、トカゲ、トンボに至る400種以上の変温動物を対象に、気温上昇の影響を海と陸で初めて比較した。
恒温動物と変温動物を比べた場合、恒温動物の方が気候変動に適応しやすいと示唆する研究はすでにあったが、今回の研究は海洋生物のリスクを強く示している。海は温室効果で大気中に閉じ込められた熱を吸収し続けており、その結果、海水温がここ数十年で最も高い水準となっている。陸生生物なら、日陰や穴など涼しいところに身を隠して暑さをしのぐこともできるが、海洋生物はそうはいかない。
研究リーダーを務めたラトガース大学の生態学者兼進化生物学者マリン・ピンスキー氏は「海洋生物が暮らす環境は、歴史を通じてあまり温度が変化していません」と話す。「言ってみれば、左右に『温度差』という崖に囲まれた狭い山道をドライブしているようなものなのです」
■狭い安全域
ピンスキー氏らは海の変温動物88種と陸の変温動物318種の「温度安全域」を計算し、どれくらいの温暖化に耐えられるか、限界はどこかを割り出した。その結果、最も安全域が狭いのは、赤道付近の海洋生物と中緯度に生息する陸生生物だとわかった。
現在の温度でも、多くの変温動物には暑すぎる。論文によれば、温暖化の結果、最も海水温が高い場所では、海洋生物の半数以上がかつての生息地から姿を消しているという。こうした局所絶滅の割合は陸生生物の2倍に達する。
「現実に起きていることです。抽象的な未来の問題ではありません」とピンスキー氏は話す。
ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/042500255/
温暖化からの逃げ場がほとんどない海の変温動物は、陸の変温動物に比べて2倍のペースで生息地から消え去っているとする研究成果が、2019年4月24日付けの学術誌「Nature」に発表された。
世界の平均気温が上昇すると、陸の動物よりも海の動物の方が、はるかに絶滅しやすいことを示している。
米ニュージャージー州にあるラトガース大学のチームが中心となった今回の研究では、魚から軟体動物、トカゲ、トンボに至る400種以上の変温動物を対象に、気温上昇の影響を海と陸で初めて比較した。
恒温動物と変温動物を比べた場合、恒温動物の方が気候変動に適応しやすいと示唆する研究はすでにあったが、今回の研究は海洋生物のリスクを強く示している。海は温室効果で大気中に閉じ込められた熱を吸収し続けており、その結果、海水温がここ数十年で最も高い水準となっている。陸生生物なら、日陰や穴など涼しいところに身を隠して暑さをしのぐこともできるが、海洋生物はそうはいかない。
研究リーダーを務めたラトガース大学の生態学者兼進化生物学者マリン・ピンスキー氏は「海洋生物が暮らす環境は、歴史を通じてあまり温度が変化していません」と話す。「言ってみれば、左右に『温度差』という崖に囲まれた狭い山道をドライブしているようなものなのです」
■狭い安全域
ピンスキー氏らは海の変温動物88種と陸の変温動物318種の「温度安全域」を計算し、どれくらいの温暖化に耐えられるか、限界はどこかを割り出した。その結果、最も安全域が狭いのは、赤道付近の海洋生物と中緯度に生息する陸生生物だとわかった。
現在の温度でも、多くの変温動物には暑すぎる。論文によれば、温暖化の結果、最も海水温が高い場所では、海洋生物の半数以上がかつての生息地から姿を消しているという。こうした局所絶滅の割合は陸生生物の2倍に達する。
「現実に起きていることです。抽象的な未来の問題ではありません」とピンスキー氏は話す。
ナショナルジオグラフィック日本版サイト
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/042500255/