コーヒーは本当に脂肪燃焼に役立つ? 研究結果と米国の例から考える
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190629-00028133-forbes-bus_all
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190629-00028133-forbes-bus_all&p=2
2019/6/29
YAHOO!JAPAN NEWS,Forbes JAPAN
【科学(学問)ニュース+】
「コーヒーは脂肪の燃焼に役立つ」と言われる方が、
「カフェインは褐色脂肪組織(BAT)の熱産生機能を高める」と言われるよりも、ずっと説得力があるように思える。
だが、これらの言い方が意味するのは、全く同じことなのだろうか?
それを知るためにはまず、私たちの体内の脂肪細胞には、
「白色」と「褐色」があり、それぞれに違いがあることを理解する必要がある。
白色脂肪細胞はサムドライブのように、エネルギーを「蓄積」する働きを持つ。
一方、褐色脂肪細胞にはミトコンドリアが多く、脂肪を蓄積するだけでなく燃焼させ、熱を産生する。
オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に先ごろ発表された論文によると、
英ノッティンガム大学と米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(デイヴィッド・ギフェン医療大学院)の研究者らは、
この疑問に対する答えを明らかにするため、2つの実験を行った。
研究チームはまず、マウスの幹細胞から脂肪細胞の培養物を作り、それをカフェインに暴露した。
すると、細胞の代謝や活動が促進されていることが確認された。
脱共役タンパク質1(UCP1)やミトコンドリアの発現の促進が見られ、より多くの酸素を消費し、
活性酸素を漏出させていたのだ。
つまり、マウスの幹細胞から作られた脂肪細胞は、より多くの脂肪を燃焼していたと考えられる。
だが、この結果が必ずしも、ヒトの細胞に全て当てはまるものだというわけではないことを忘れてはいけない。
続いて研究チームは、9人のボランティアにカフェイン入りの飲料と水のどちらかを飲んでもらい、産生される熱の測定を行った。
9人の平均年齢は27歳、体格指数(BMI)は平均23。
ゆったりとした服を着てもらい、実験中の9時間は、激しい運動やその他のカフェイン摂取、飲酒、薬の服用を禁止した。
研究チームは最初に赤外線画像装置で9人の頸部から肩にかけての熱の放射量を測定。
コーヒーか水のどちらかを飲んでもらった後で、カフェインが吸収されるまで30分待ち、再び同じ測定を行った。
その結果、カフェインを摂取した人たちだけに熱放射量の変化が見られた。
これは、コーヒーが私たちの脂肪を燃焼させることを助けるということだろうか?
・コーヒーに減量効果はあるのか
コーヒーは「奇跡の飲み物」か?
現時点で言えるのは、コーヒーには脂肪を燃焼させる「可能性がある」ということだけだ。
培養皿の中のマウスの細胞と、ヒトの細胞には多くの違いがある。
さらに、カフェイン入り飲料の摂取が体の一部における熱産生の促進につながることは必ずしも、
脂肪を減少させる可能性があることを意味するものではない。
もちろん、過去の研究には、カフェインが代謝を促進させるとの結果を示したものもある。
だが、それは長期的な体重減少とその維持につながるほど大きな影響を持つものだろうか?
さらに、利尿作用があることなどからも分かるとおり、カフェインが及ぼす影響は複雑なものだ。
空腹感を強める可能性があるとの研究結果もある。
また、心血管系や睡眠パターンを変化させる可能性があり、そのこともまた、空腹感や代謝、その他の健康上の問題に影響を及ぼし得る。
結局のところ、カフェインは脂肪の燃焼と体重の減少に役立つものなのだろうか──?
恐らくコーヒーは、減量に役立つ奇跡の飲み物ではないだろう。
また、米国が抱える肥満のまん延という問題の解決策でもないだろう。
もしそうであれば、私たちはすでに、この問題に関する変化を目の当たりにしているはずだ。
何と言っても、米国は世界有数のコーヒーの消費国なのだ。
ハフィントンポストの過去の記事よれば、米国人は1日当たり4億杯以上のコーヒーを摂取している。
一方、米中央情報局(CIA)の「ザ・ワールド・ファクトブック」によれば、成人の肥満率は世界で12番目の高さだ。
Bruce Y. Lee