熊本地震 下敷きになった東海大生は友人の手を握りしめた 11人が生き埋めとなったアパート
救出してくれた友人の手を強く握った男子大学生、「友達も助かって」と祈る中国人留学生−。
16日午前1時25分ごろに発生した地震で、震度6強の激しい揺れに襲われた熊本県南阿蘇村では
2階建てアパートの1階部分が崩壊、近くにある東海大学阿蘇キャンパスの学生ら計10人以上が
下敷きとなった。消防隊員や難を逃れた男子学生らは、激しく変形したアパートで必死の救助活動を続けた。
地震発生から約3時間半が経過した午前6時前。アパート1階で就寝中だったという同大農学部3年の
鷲頭朋之さん(21)は、救出活動にあたっていた消防隊員に抱きかかえられるようにして、天井と床の
わずかな隙間から救出された。すぐに毛布にくるまれ路上に横たわる。
「大丈夫か」。胸を負傷し、苦しげな表情を浮かべる鷲頭さんのもとに、救出活動に加わった友人らが
駆け寄ってきた。鷲頭さんは右手で胸を押さえながら、左手で友人らの手をしっかりと握りしめる。
「天井に挟まれて動けなくなった。でも、外からの友人の声に励まされた」。痛みに耐えながら絞り出した
その声には、友への感謝と安堵が感じられた。
同学部1年の梁嘉玲(りょう・かれい)さん(19)は相次ぐ地震に恐怖を感じ、眠れないまま部屋で
友人4人と話をしている最中に、激しい揺れを感じた。「最初に床が抜け、次に天井が落ちてきた」。
偶然、こたつテーブルが支えになり、天井と床の間にスペースができたため、押し潰されずに救出を待つことができた。
しかし、一緒にいた友人は安否不明のまま。「絶対出られる、絶対助かると思っていたが…怖かった。友達も早く
救出されてほしい」と祈った。
同大農学部4年の女性(22)は、1階の自室のベッドで寝ている最中に地震に遭遇した。起き上がろうとしたが、
気づいたときには天井や壁がすぐ目の前に迫っていた。そこで初めて生き埋めになったことを知った。
残された狭い空間で、前屈みの姿勢を強いられたまま救助を待った。救出の手が差し伸べられたのは午前6時ごろ。
「5人くらいの助けを求める声が聞こえた。みんなで『頑張ろう』と大きな声で励まし合いながら耐えていた」。
救助隊から渡された毛布に身をつつみ、震える声でこう話すと、救助活動を心配そうな表情で見守った。
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